17.いざ母艦へ
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あれから3日が過ぎた頃。
色々と予定をすっ飛ばし、ダラダラと過ごしていたツケが回って来たのか…急いでアルメイアとイルダの両名は自分の国へ帰っていった。
アリスはというと、彼女も書類が大量に溜まっているらしく…部屋に籠ったまま帰って来ない。
「で? なんだって?」
「アリスちゃんが言うには、帰って良し! との事です!」
ビシッと綺麗な敬礼をして見せたサラに拍手を送った俺は帰る事にした――
「あれ? ご主人様? ここってお城の裏手ですよね?」
不審に思ったのか思わず俺にそう尋ねるサラ。
「あぁ、そうだな?」
「逆…ですよね?」
「何が?」
「いや、だから…家とは…」
あぁ、そうだった。
「主語が抜けてたな、サラ? 母艦(もう1つの家)へ帰るぞ?」
「へ?」
天を指差しそう告げる。
なんだその顔は? 今から?みたいな顔してるが、俺とお前からすれば上空3万メートルなんて目と鼻の先だ。
「って、って事は!? ガーデンデーヴァにですかぁ!?」
「あぁ。 色々と挨拶する連中も居るだろうしな? しかし――どうするか」
だが、1つだけ問題がある。
それは俺1人が外気圏へ抜けるのは慣れた事だが、こいつはまだ宇宙へ行った事すら無い。
「ん~アルジュナ? レッドクイーンの性能で上空3万メートルへ行く時間は?」
『約3分です。 ですが、宇宙での姿勢制御等のシュミレーションはまだです。 つまり――』
「逆に危険か」
『トラクタービームの使用が可能であれば、問題は無かったのですが。 残念ながら今日は、定期メンテナンスを実行中です。 ですので――後12時間57分の使用が不可となっています』
「しゃあねぇ、迎えに来てもらうか」
「む、迎え!?」
すかさず俺はゴッド組に通信を飛ばした。
ピピッ。
「あ~聞こえるか? 誰かこっちまで迎えに来れる奴は居るか? ちょっとサラをそっちまで連れて行きたくてな?」
『こちらヴァーユ。 悪いな艦長。 現在はあのおっさんに船の解体を手伝わされてる、後シヴァも…というかアグニ以外全員!!』
「了解。 ん? アグニは何してんだよ?」
『待機だとか言ってサボってが、艦長が仕事を与えやがった』
「あ、すまん」
どうやら、綺麗好きのアグニは油で汚れるのが嫌だったらしく…仕事をサボっていたらしい。
が―――俺が丁度いい所で仕事を与えてしまったので――
「あ~サラ? アグニが迎えに来てくれるらしい。 それも超特急で」
「へ?」
キラン!と青い空に小さな赤い斑点が見えた。
それは速度を増し、こちらへ一直線でやってくる。
「あ、あ、あ、あれがアグニさんですか!?」
「あぁ。 ていうか…あいつ不可視モードにチャンネル設定してるか?」
『してないようですね』
「『あ…』」
途中。 自分で気付いたのか、音声アナウンスで『アグニ…不可視モードON』と通信が届く。
あいつ――
「完全に浮かれてたな?」
『その様ですね。 まぁ、今回はよしとしましょう。 かなり早い到着ですし』
数分後。
ガシャン!!!
カッコイイヒーロー着地でのご到着。
『失礼! アグニ! 只今到着いたしました! 艦長!!』
ビシッと敬礼したアグニはサラを見て察したのか、膝を付き体勢を低くした。
『(人体スキャン開始―――認証。 サラ、並びに艦長。 搭乗の許可を致します。 A・A・A、アグニ――コックピットハッチ展開。 搭乗どうぞ―――)』
ガチャ!!
すると後ろの城の窓が開き、身を乗り出す人物が1人。
「な、な、うちの城の裏で何してんだぁぁぁ! って! 乗れるの!? それ、乗れるの!? 人形兵器じゃなかったの!?」
「あ~えっと。 一応乗れるんだな~これが…まぁこいつらも元はこういう仕様だし」
「そ、そんな…じゃあ。 私達が乗ってたアサルトアーマーなんてクソ雑魚中のクソ雑魚じゃないのよ!」
「あはは…今度乗せてやるから。 そう怒鳴るな。 ほれ、サラ。 さっさとのれ」
「は、はいぃ!!」
だがここで勘の良いアリスは目の色を変える。
「ねぇ、リュウジ? あんた、まさか…1人用のコックピットに2人で乗ろうなんて、思ってないわよね?」
「…………そ、そんな訳ナイジェリア…フルドレス!!」
あからさまに目を反らした後アーマー状態になった俺は先に母艦へ向う事に。
「では、アグニとサラ! 俺は先に行くぞ! とぅ!!」
「あ、こら! 逃げんな!! 今度は私もつれてきなさいよぉぉ! そっちにぃぃぃ!」
「あ~はいはい」
聞こえていないだろうが一応言っておく。
「おっかね~…」
不可視モードを起動した俺はオートで宇宙を目指す。
久々の宇宙だ。
正直気乗りはしないが、サラを一度案内すると言った手前引けない自分が居た。
いやなんだよな~宇宙は。
広くて暗いから…
『あれだけ宇宙戦艦を乗り回していた人間の台詞ですか?』
ぐうの音も出ない。
宇宙戦艦の艦長でありながら広くて暗い所が苦手とか――泣けてくるぜ。
そうこうしている内に宇宙へ上がった俺は久々の景色を前に緊張していた。
やっぱりここは異世界か――
振り返ったそこには青く光る地球が存在していなかった。
大きさは地球と変わりないが、まるで地上の景色が違う。
「地上、陸がほとんどか…」
『はい。 約30%が海…そして残りの70%が』
「陸。 まるで地球とは真逆だな。 どうりで海を見ない訳だ。 おまけにこの星の周りは小惑星だらけ―――本当に月と太陽しかねぇのか―――」
『他に星は発見できませんでした。 まるで箱庭の様です』
「確かに。 言われてみれば――まぁ。 向こうも似たようなもんだったろ? 宇宙コロニーとか地球が茶色だったり」
『…ですね。 で、艦長? 何故動かないのでしょうか? ガーンデーヴァまで目と鼻の先なのですが?』
いや、なんというか。
久々に無重力を感じると言うか、変に眠くなるんだよな…これ。
「ふぁ~まぁ。 母艦で寝るか。 じゃ――」
「うわぁぁ! うわぁぁ! 凄い凄い凄い凄い!! これが宇宙!? すごーーい! あれはなんですか!?」
『あれは小惑星。 通称アステロイド―――まぁ言わば。 岩石の塊です』
「すごーい! あんなもんが一杯浮いてるんですね!? それにあれが私達の――綺麗!」
『あはは、喜んでいただいて何よりです。 しかし、まだまだですよ? ガーンデーヴァの中を見ればもっと腰を抜かすと思います』
「あははは! じゃあアグニさん! 全速前進!!!」
『はい!』
ブースターをふかし俺よりも先にガーンデーヴァへ向かっていった。
あいつら楽しんでやがるな?
『いい事です。 それにあの惑星の住人ではこの場へ行き着く事すら難しいでしょうし…』
「確かにな。 それはあるな…喜んでもらえたなら。 何よりか」
『では、我らも行きましょうか?』
「はいよ。 じゃあ行くか――」
アグニとサラの後を追うように俺達も母艦ガーンデーヴァへ向かった。




