96.似て非なる力
今回は…はやいと思います!! そして、気軽に感想などを頂ければより励みになるとおもいます!!
時は少し遡る。
シールドブースターにて移動を開始した俺はアルジュナの話を聞いていた。
到着まで約3分程。 それまでに何故、この様な行動に出たのか説明を聞く為にだ。
「で? 珍しいな、お前が独断で調査を開始するなんて」
『申し訳ございません。 しかし、今回は四の五の言っている暇はなさそうだったので』
「ふむ。 となると余程の何かを検知したわけか?」
『はい。 艦長も驚きになるかもしれませんよ? 規格は異なりますが、ナノ装甲によるアーマーの構築、及びサポートシステムの存在を確認出来ました』
「おいおい。 俺達以外にこの技術を使ってる連中が居るって事かよ!?」
『遠隔スキャンによるデータなので、詳細までは掴めませんでしたが…恐らく。 我々と同じ技術力を持つ存在が居る―――と言う事は確かです。 幸いにも向こう側は救難信号を発する程に消耗しています』
なるほど。 アルジュナの言いたいことは解った。
救難信号を発してる連中が”こっち側”の連中を知りたい訳だな。
いいだろう。 こんなチャンスは滅多とない話だ、しかし救難信号を発するなんていったい向こうで何が起こってるんだろうか?
反応を見るからに、そこまで危機的状況にも思えないが…
念の為、目の前に表示されたデータを確認した俺は”即席バトルロイド”と書かれた項目を選択した。
『バトルロイド・キューブウエポンの使用準備を開始。 艦長、嬉しく残念なお知らせです』
「おいおい。 なんだよ!? その含んだ言い方は!?」
『前方地中から巨大な熱源反応を検知致しました。 おそらく―――』
「まさか…あれか?」
『はい。 我々の求めていたそれです』
成程。
それは呑気に会話をしている場合じゃないだろう?
なんせあいつらは”酸”を吐いてくるクソほど厄介な連中だ。
それが超巨大な反応となると…想像しただけでもヤバい。
機動力で何とかなっている俺でさえ正直正面から相手をしたいと思わない。
なんせ磁気荒らしが酷くてな、バリアの反応も緩々だ。
「仕方ない。 アルジュナ? ロケット砲だ!」
『了解。 サブアームにて展開致します。 キューブウエポンセレクト…ロケット砲』
「サンドワームですら、あの強度だ。 出し惜しみするなよ? 全弾発射だ!」
『では、全弾。 一斉発射』
ズガガガ!!
「うおっ! 流石にサブブースターでは姿勢制御はつらいな…」
ロケット弾が一斉発射されたのを確認した俺は、救難信号を発する連中の位置を特定。
近くなってきたと言う訳か――
そして―――
「アルジュナ! バトルロイドを展開後、背中のコンテナを切り離す! しっかり受け止めろよ!」
目の前にして思う、流石にあの巨体だ。 コンテナを背負って戦闘をするにはこちらの分が悪い。
おまけにロケット弾を全弾受けておいてほとんど傷が無い。
『了解。 お二方の援護はお任せ下さい』
「あぁ、まかせた。 バトルロイド展開! コンテナパージ!!」
ガシュン!
地面へ向かってキューブを投げつけた俺は瞬時にコンテナをパージした。
すると強い光を発したキューブが展開すると同時にそこからは4m程の人型兵器が出現。
『バトルロイドの操縦権を移行。 起動――――コンテナの回収を確認。 スキャニング開始―――』
「なっ…どこからこんな…」
「ど、どぅぅぅえぇぇぇ!」
驚きを隠せない様子の2人の少女。
汚れは酷いが、パッと見ただけでもそれが俺達に似た力であることは確認出来る。
なんせ身体にビッチりと纏わりついた金属のパーツと、肌の露出は多いがしっかりとナノ装甲で保護された地肌。
間違いない。 あれはこちら側の技術だ。
「まぁ、後でじっくり調べるか。 アルジュナ! そいつらは動けそうか!?」
『ジェネレータ部分に異常発生を確認。 これは…』
「ん? どうした?」
『彼女らは地上戦を想定されたアーマー設計ではありません。 宇宙戦闘用をメインに設計されたアーマーなのでしょう。 恐らくですが、地上での無理な運用によりかなり劣化した状態だと思われます』
「…なるほどな。 そりゃ逃げ切るのには無理があるな。 だったらプランBだ。 コンテナサブアームで直接背負って退避だ」
『あの、艦長。 それでは彼女らの…』
「後で謝る事にしよう。 なんせこっちは命の恩人だぞ!? むしろ感謝してほしいくらいだ!! なはははは!!」
等と言い訳を放った理由はほかにある、それは…無理やりサブアームであの子らを掴み。
高速機動で戦線を離脱することだ。
ただ、彼女らのアーマーのジェネレータ…つまり姿勢制御等の機能が一部制限された状態にある。
それはつまり…あとで色々と吐く可能性が出てくるというわけだな!!
『知りませんよ? ですが、その方が戦闘は楽そうなので。 了解。 プランBへと移行。 アーム展開』
「ちょ、ちょっとマシロ!? なんかあーし! 掴まれてるんだけど!?」
「残念。 私も同じく捕まった所…」
『失礼。 これより、戦線の離脱を開始致します。 それでは皆様、気をしっかり持ってください』
「え!? え!? どういう事!? マシロ!? どういう事!?」
「ふむ。 つまり、これから高速機動で戦線を離脱する…」
「ってことは?」
「ゲロる」
『3.2.1…』
マシロと呼ばれた少女は涼しい顔でグッと親指を立てると、何かを悟った様な表情でもう1人の少女を見つめた。
ゴゴゴゴゴ!!
バトロイドのバーニア+コンテナに装備された補助ブースターが火を噴く。
「い―――」
『では。 ブースト出力全開で戦線を離脱致します。 オーバーブースト!!』
「いやだぁぁぁぁぁぁ!! 吐きたくなぁぁぁぁぁい!!」
「舌を噛む。 黙れ」
「はい…」
と言いながら消えていった。
「な、なんだあいつら。 さっきまで死にかけてた連中のやり取りかよそれが」
ただ、お陰でこっちはあのデカぶつを心を置きなくぶっ倒せるわけだ。
しかしあの化け物…こっちのミサイルを食らってもすぐに身体の傷が癒えてしまう。
ますます質の悪いモンスターだことで。
「アルジュナ? そっちを追う気配は?」
『ありません。 恐らく先程の一撃が余程癪に障ったのでしょう。 艦長をガン見しております』
「それはありがたい事で。 しかし、奴め…どんな性質をもってやがるんだ? 今まで戦った中では群を抜いてウザいだろ」
『恐らくですが、雑魚のワームを糧とし―――身体の損傷した部分を癒している。 この上なく鬱陶しい相手かと』
まじかよ。 んじゃあ何か? あいつは雑魚が居る限り、再生し続けるって?
ははは…それはクソほど厄介だ。
「ひとまずこっちを試してみるか…」
距離を取りつつも、敵の周りをぐるぐると周りはじめた俺は一度…ビームガトリングガンによる威力調査を行った。
バババババ!!!
「グォォォォ!!」
うん。 全くと言っていいほど効いている気がしない。
効果は微量ながらにあるんだろうが、それでもまだこっちの攻撃がチマチマヒットしているに過ぎない。
「くそっ…これでもダメか」
『ふむ。 これは少々厄介ですね、艦長。 暫くの間的になっていてください。 最終兵器を呼び出します』
「なに? 呼び出す?」
『えぇ。 キューブウェポンの威力では恐らく奴を一撃で仕留めるのは不可能でしょう。 おまけに、こちらのステークも…あの分厚い装甲には意味を成しません』
「まじかよ…」
と言う事は…まさかと思うが。
『こちらも”彼”の出動を要請すると致しましょうか』
「ははは…だろうな」
砂漠地帯で身動き取れる奴なんて、俺はたった1人しか思いつかない。
そうだな。 奴の名は”スティンガー”ひとそれをサソリと呼ぶってな。
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