92.闇と深淵
不定期ですが普通にいきてますよ!!(笑)
多忙により、更新はおそいかもしれまんせんが…生きてます!!
ピーピーピーピーピ!!!
チャージから10秒程して、至る所から警報音が鳴り響き始める。
といっても、主に俺のアーマーからだが。
『艦長。 合図と共に前方の装甲部へジャンプポイントを生成致します。 その間のバランス調整はこちらへ譲渡をお願い致します』
「いや、こっちは姿勢制御で手一杯だ。 アルジュナ、お前が船の微調整を頼む」
『了解。 ―――――メインシステムの譲渡を確認、何時でもいけます』
「標準セット完了。 ジャンプポイント発生地点のマーキング完了…さて…避けれるもんなら避けてみな? デストロイキャノン!! ファイア!!!」
ドゴン!!!!
凄まじい反動により、船が大きく後ろへと傾いた。
ギギギギ…
『ふむ…これでは完全に沈みますね。 アグニ? 緊急出撃要請を発令致します。 ジャンプポイント生成後速やかに対処してください』
『はい!? 今からですか!? ら、ラジャー!! 至急そちらへ向かいます!!』
おいおい、まじかよ!?
アルジュナが対応していてもこれだけの反動か? や、やべぇ…流石は”浪漫砲”こっちの状況なんて考えちゃいない馬鹿武装だ。
「やべぇ…こいつはまじでやべぇ…」
モニタに映った映像を確認する俺は思わず黒ずくめの連中に同情したくなってしまった。
いや、なぁ? この威力はマジでやべぇって。
――――――――???視点――――――――
我々の目的は”企業”の殲滅。
今回に至っては報酬も割高で、容易に達成できるものと踏んでいた。
何時もの様に、索敵されない位置から最大火力で目標を殲滅する。
それが我々のやり方だ。
「隊長? 今回もスコアは俺らのもんすっね?」
「ふん。 私語は慎め、我々は存在を知られてはならん。 それが奴との契約だ」
「はいはい。 んじゃま、こっちはチャチャッと攻撃しますわ」
「ふん。 よかろう」
部下の一人がそう告げると同時に攻撃は開始された。
この世界で言う所の上級魔法なるものを駆使し、まるで的の様に止まった得物へ集中砲火をかける。
「終わったな」
そうこちらが発言するのと同時の事だった。
「おい? ありゃなん―――」
「な―――」
凄まじい勢いでこちらへやって来た謎の光る弾。
その光を見た次の瞬間である―――
「…ぐふっ! ば、ばかな…ありえぬ。 ぜ、全滅だと?」
気付けば近くにそびえ立つ山は消し飛び、部下の殆ど…いいや、ほぼ全ての部下達の姿はそこにはない。
咄嗟に防御魔法を発動した、こちらでさえこのダメージだ。
何が起こったの理解できない。
爆発? 魔法か? それとも他ならぬ脅威的な…駄目だ。 意味が解らない、相手は何をした?
我らにどの様な攻撃を行った?
何をした? いいや、寧ろ索敵される筈もないのだ。
こちらは50㎞以上先から攻撃しているんだぞ? まるで相手は我らの位置を正確に把握していたかのような攻撃だった。
いや、しかしそれどころではない…今すぐクライアントに報告をしなくては。
もしかすると我々の知らぬ所で驚異的存在が生まれているのかもしれない。
すぐに報告―――
「ん? ゴキブリ…?」
落ちた杖を拾おうと手を伸ばした方向には確かに”ゴキブリ”が存在していた。
だが、この世界でゴキブリなる存在が生息しているなど聞いた事がない。
なんだ? こいつは?
姿形はゴキブリそのものだが、何やら奇妙な音が聞こえる。
生物特有のそれではない、むしろ…機械的な何か…
ピッ。
「ん?」
奴と目が合った。
『生存者を確認。 バイタルをチェック――――』
ピッ、ピッ、ピッ。
違う。 こいつはただのゴキブリではない!!
だが、こちらが気付いた時には全てが遅かった。
『―――拘束を開始致します。 暴れない方が、身の為ですよ?」
やむを得ない、こうなってはこちらも依頼を破棄させて頂こう。
なに、命を失う事に恐怖など無い。 何故なら、我々は―――
「なっ!?」
しかし、思う様に手足が動かない事に気が付いた。
自分の意思に反して、全く違う行動を取る身体。
まるで何者かに身体を乗っ取られたような、そんな気分だ。
「ぐっ!! なぜだ。 何故!!」
『問題ありません。 貴方の”遺伝子情報”を少し書き換えさせて頂きました。 残念ですが、貴方に決定権はありません。 我々の命令に従う以外―――選択肢はないのです』
「は、はい。 わかりました」
!?
なにが? いったい、どうなっている!?
遺伝子情報を書き換えた? な、なんの話をしているんだ!
この私の身体に何をした!?
駄目だ。 つらつらと相手の声に反応する様に私は相手の思惑どうり…いや、まるで人形の様に相手の命令を聞いてしまっている。
『何も問題はありませんよ。 元々交渉するつもり等微塵もありませんでしたから。 貴方はこちらの質問に答えればいいだけです。 後は生きるも死ぬもご自由に―――』
恐怖? 違う、これはそんな生ぬるい感情などではない。
相手の質問に素直に答え、命令通り身体を操られる――これではあまりに一方的である。
まるで我々の存在を何とも感じていない。 いや、むしろ…その辺に転がる石ころとでも思っているのだろうか。
相手の質問はとても単純で、こちらの思惑――それら全ての事に付いては何も触れることが無かった。
そう、まるで相手にされていないのだ。
『――――ふむふむ。 ”黒の執行者”ですか。 組織名が解れば十分です。 それでは、さようなら――』
話を終えた私は恐らく、かの存在に解放されたのだろう。
身体の自由もきくようになり、損傷していた身体も元通り――ここへやって来た当初となに変わらぬ万全の状態となっていた。
だからこそ私は感じる。 あれは、あの存在は直ぐにでも知らせなければならないと。
あの人に!! 今すぐあの方に!!
「あ、いやまて…あの方? だ、誰だ?」
駄目だ。 思い出そうとすれば思い出そうとするほど、その人物の顔と名前が薄れてゆく。
なんだこれは? 私に何が起こっている?
そうだ、ここへ来た理由は―――
「理由はなんだ?」
先程まで確実に記憶していた筈だ。
確かに、確かに先程まで私は―――
「そうだ!! 部下の名を――――」
まただ。 また記憶が薄れてゆく…確かにそこにあった記憶がまるで何かに吸い込まれていくように奥深くへと消え去っていく。
そして私は最終的に―――
「あぁ、そうか。 私は冒険者だったな。 一体何を考えていたのだろうか、全く。 今日は魔法の試し撃ちをしに来たのであったな。 うむ、そうだ」
後ろにそびえ立つ山の状態を見て、満足気に微笑んだ。
いやはや、流石は私だ。これ程の精度を誇る魔法を発動出来ようとは。
それにしてもこの場所。 何か臭うな?
若干焦げ臭い気がする。 ん~そう言えば途中で何かあった気がするのだが、思い出せん。
「いかんいかん。 そろそろ街へ戻らなければ。 それにしてもなんだ? このセンスのない真っ黒なローブは? ふん、捨て置くか」
私は着ていた真っ黒なローブを脱ぎ捨て、近くに落ちた杖を拾うと、懐から地図を取り出し次なる街へと足を進めたのである。
え~…今回からちょこっと、主人公側のブラックな所も見せて行こうかなと思います。
何故、人の死に無頓着。
というよりも、何も感じることが無いのか―――その裏で何が起きているのか!
ちょっと怖いかもしれないですけど!! そ、そこは我慢という事で!!




