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プロローグ:二度目が在るとは予想していなかった。

新作連載です~よろしくお願いいたします!

感想&要望等頂ければ幸いです!

『超巨大駆逐型宇宙戦艦ガーンデーヴァ。 全ユニットの収容を確認。 これより、マザーベースへの帰投を開始。 お疲れ様でした―――』


目の前の巨大ディスプレイから聞こえる馴染の音声を確認後、俺はぐったりと椅子へもたれ掛かった。

ピピッ!


『艦長。 通信が大量に届いております。 繋ぎますか?』

「あぁ頼む」


ピピッ!


『こちら戦艦ベガルタ。 まさか…ファントム。 お前1人しか乗艦していない、その船に手柄を取られるとはな? 恐れ入ったぜ――まぁ? お前は英雄ってガラじゃねぇわな!? がははは! ほら! 帰ったら宴だ!』


ピピッ!


『こちら戦艦クラウ・ソラス。 ファントム様…おめでとうございます。 これで我らは、いえ。 この銀河系に住まう全ての人々が明るい未来を歩めることでしょう。 帰りをお待ちしております――』


ピピッ!


『あ~あ~テステス! こちら戦艦オルナ! いや~! 流石は一騎当千のファントムさん! 恐れ入ったっすよ! まさかラスボスが惑星そのものなんて! 聞いた事ないっすよね!? いやはや、一時はどうなるかとおもったっすけど! 俺達はあんたに救われたっすよ! じゃ! また後で!』


ピピッ!


『こちら戦艦カラドボルグ。 ファントム…いや。 阿久津あくつ 竜司りゅうじ君と言えばいいかな? ふふっ。 貴殿には感謝している―――ふっ。 今日からエイリアン退治をしなくていいと思うとな? 気が高揚して仕方なくてね? ではまた後程』


ピピッ!


『こちら戦艦フラガラッハ。 ファントム…いや、やったわね竜司…っていうか! さっさと帰ってきなさいよ! 何を海域圏外でボサっとしてんの! あんたが居ないと盛り上がりに掛けるじゃない! これからは明るい未来が待ってるんだから! ほら!』


と言われてもな。

マザーベースへの帰投は果たせそうにない。

先程とは打って変わり、鳴り響くアラート音。

激しく揺れる船内、慌ただしい格納庫。


「あ~アルジュナ? 遺言とか残しておいた方がいい?」

『そうですね。 その方がいいかと―――』


互いに冷静な対応の俺達は危険慣れし過ぎているせいか、この状況下であっても冗談を言い合える位には色々と麻痺している。


「じゃ。 オープン回線で通信を繋げ! 遺言を残す!」

『ラジャー。 オープンチャンネル開放――どうぞ』

「え~こちら超巨大駆逐型宇宙戦艦ガーンデーヴァ。 現在、前方に謎の次元の歪を感知――繰り返す。 前方に謎の次元の歪を感知。 皆、残念ながらパーティーは欠席で頼むわ。 あ、あと! アリス? すまん! 約束は守れそうにないわ! じゃ! さようなら~! さよなら”異世界”!」


それだけを告げた俺は通信を一方的に切断した。


「さ~て。 このパターンは初めてだぞ? 全員! 耐衝撃に備えろ! 格納庫で慌ててる奴ら! 船が揺れるだろうが! おとなしくしとけ!」

『艦長。 残念ながら、この船の力を持ってしても脱出は不可能と断定。 一方的に吸い寄せられています。 解析の結果”次元渦”では無いことが判明致しました―――まるでこれは―――』

「なに? 次元渦じゃない?」



――――――――――――――そこで俺の目の前は真っ白になった。



夢を見ていた。

4~5年前の話しだ。

当時20の俺は普通に日本での生活を謳歌していた。

そんな時である――湯船に浸かった俺は素っ裸のまま訳の分からない施設に放り投げられていた。


目の前の金髪の少女は告げる――


「ようこそ。 勇者様? 私の名はアリス・R・マクリル。 貴方の正式なヒロインよ! ヒロイン!」


ヒドインの間違いだろうと当時の俺は思ったっけな?

まぁ5年もの間…忙しすぎたせいでヒロイン的な要素はゼロだったが、せめてセックスの1つや2つはしておくべきだった! まさか童貞で世界を救う事になるなんて!

ん? というか、俺は死んだのか?


いや死んでいない。

手足の感覚はある…それに何か動物の鳴き声の様なものが大量に―――


「嘘だろ…」


目を覚ました俺の一発目の発言がこれである。

綺麗な青空を気持ちよさそうに泳ぐ深紅のドラゴンの姿。


幻覚だと思った俺は何度も目を擦る。

ゴシゴシゴシゴシ!!


駄目だ。 ドラゴンが消えない。


ゴシゴシゴシ!!


「ギャォォォォ!!!」


寧ろ余計に現実味が増して来たのは気のせいだろうか?


「ふっ…まさかな? お決まりの2度目の転移とかそういうアレか? 近未来的な所から一変、次はファンタジーと? ははは…神様との対面は!? 交通事故は! おい! どうなってんだ! 宇宙戦艦の次は剣と魔法か!? えぇ!? ふざけんな! エイリアンの次はモンスターってか!?」

「グォ?」


おっと。 俺が大声を出して向こうさんがこっちの存在に気付いたらしい。

やばい、目が合った。 ドラゴンと目があった。


「グォォッォオ!!」


凄まじい咆哮の元、俺を獲物と捉えたドラゴンは空から急降下。

正直な話をしよう。 俺が相手にしていたエイリアンの何倍もの迫力が奴にはある!


「嫌だぁぁぁ! 童貞のまま死ぬは勘弁してくれぇぇぇ!」


そのまま俺は全速力で森の中へ飛び込んだ。

当てなどない、ただひたすら捕食されない様に必死に走るだけである。


「ギャオオオオ!」

「死ぬ死ぬ! まじで死ぬ! これ死ぬ! ってか魔法! 魔法使えないのか! 魔法!!」


一か八かで振り返った俺は右手を前に突き出しながら叫んだ。


「ファイア!!」

「グォ?」


目の前で身構えたドラゴンがその場で静止する。

・・・・・・・・


「まっ。 いきなり使える訳ないかぁ~」

「グォォオオオオオ!!」


至近距離で咆哮を浴びせるドラゴン。

耳鳴りが酷く体勢を立て直すのに時間が掛かる。

しかし、容赦ないドラゴンは大気中の何かを口内へ収束し始めた。


おいおいおい! まさか!? 

ブレス―――あんなものを受ければ俺はひとたまりも無いだろう。

死を覚悟した俺は目を瞑る。

さらば俺、異世界に来ていきなり死亡。


その時である。

―――ドゴン!!!


「は? ごほっごほっごほっ!! なんだこれ!?」


凄まじい爆音がしたかと思えば、目の前は大量の砂埃が舞い、俺はポカーンと大きな口を開けていた。 

あれ?


「ド、ドラゴンが肉片に…」


4~5m程あったドラゴンの姿は原型を留めていない程、ひどい状態になっていた。

まるで空から鉛玉でも降って来たかのような…強い衝撃を受けた感じに。

その現場を見て俺は色々と察した。


「おいおいおい、まさか!? いるのか!? 宇宙そらに!?」

『ご明察です、艦長。 アルジュナ及び戦艦ガーンデーヴァ共に無事な様です。 ですが、座標の特定に少し時間を有してしまい申し訳ありません。 現在ガーンデーヴァは上空3万メートルを航行中です。 以後、艦長の指示に従います』

「あはは…」


どうやら俺は、宇宙戦艦と共に…2度目の異世界転移を果たしたらしい。

あはは…あははは!





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