4、ソロキャンパー、出会う。
4話目です('ω')ノ
コメディタッチが過ぎたかもしれません。
※整合性等気になる部分が多い為、明日改稿予定です。
【改稿しました】
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とにかく美しかった。
それに僕のタイプそのものだったのだ。
少しだけ癖のある黒髪で、肩甲骨まで有りそうなロングヘアー、大きくてパッチリとしているが少しだけキツそうに見える目、すっと通った鼻筋、厚くもなく薄くもない柔らかそうな唇、服の上からでも分かる素晴らしいプロポーション。
その姿は僕の永遠のアイドル『どまぐれデコポンロード』のヒロイン『鯉山まどか』を彷彿とさせた。
「き、キミは?一体?」
「&D(#$!K>‘は¥ )」
何を言ってるのかが全く分からない。
ハッとアキュアリエスに言語能力と書いてあった事を思い出す。
僕は斧を下ろすと、明らかに狼狽している女の子に向かって両手の平を向け『ちょっと待って』とジェスチャーしてみる。分かってくれるといいんだけど。
どうやら理解してくれたようで、女の子は静かになった。
ワタワタと振り回していた手も降ろしてくれたようだ。
「と、取り敢えずここに座って?」
先程まで自分が座っていたローチェアーを指し示す。
女の子は理解したのか、恐る恐るながらもローチェアーに腰かけた。
チョコンと腰かける姿がとても可愛い……って!違う、そうじゃない。
本当に言語の理解能力なんてあるのだろうか?
そう疑問に思いつつも僕はアキュアリエスのペットボトルを手に取り、簡易浄水器を着けずに1口口に含むと、女の子に話しかけてみる。
「ぼ、僕の言葉、分かる?」
「ッ!分かりますっ!さっきまで全く意味が分からなかったのに…、どうしてですかっ?どうして突然?」
……やばい。声まで好みだ。って、違う、そうじゃない。
というか、これはもう間違いない。
謎の光、角付きハクビシン、無くなったザニトラと管理棟。それにこのペットボトル。
更には言葉が理解できない美少女!
どうやら僕は本当に異世界に来てしまった様だ。
只、なぜ周りの景色は変わってないんだろうか?よくある異世界転移物では全然違う場所に飛ばされるのが定石だと思ったのだけど。
「あの?すいませーん」
見た感じ周りの景色に大きな変化は見当たらなかった…。
「あーのー!もしもしッ!?」
異世界に来たとして、ここまで景色が変わらないなんてことがあるのだろうか……。
「ねえ!?聞こえてますかー!?」
先程管理棟があった場所から眺めた時も、九つ山群の硫黄岳辺りから噴煙が見えた。今は目の前で振られる手の平が見える……、って!
「え?……あ、ご、ごめんなさいッ!考え事してました!」
僕の目の前で美少女が顔に向かって手を振っている。やっぱり可愛い。
「もう!やっぱり聞いてなかったんですね!?だ・か・ら!なんで突然言葉が分かるようになったんですか?って聞いているんですぅ!」
「そ、それはこのペットボトルの中身を口に含んだから…、あ、ペットボトルって分かる?」
そう言いながら、女の子に向かってペットボトルを差し出す。
「? 何ですかこれ? 水筒? でもこんな透明なものは見たことがないですね?さ、触っても?」
「ど、どうぞ」
女の子はペットボトルを手に取ると、さすってみたり、握りこんでみたりしているが、やめて頂きたい。
良からぬことを想像してしまうじゃないか。
「硬いようで、柔らかくもあり…不思議な素材ですねぇ。これは文字?…でしょうか?全く読めません」
「あ、あのそろそろ返して貰っていいか、な?それと、僕は石動弓弦って言います」
「えっ?ああ!どうも有り難うございました!私はアイーシャ。アイーシャ・エル・ピオーネ、と申します。ユ・ズ・ル?様?さん?変わったお名前ですねぇ」
「ははっ、変わっていますか?呼び捨てで構いませんよ。そちらはアイーシャさんで宜しいですか?」
「いえいえ、そういう訳には。では、ユズルさんとお呼びさせて頂きます。私の方こそ呼び捨てで構いません。ところでユズルさんはここで何をなさっていらっしゃったのでしょう?見たところ野営していらっしゃるご様子ですが…」
そう言いながらアイーシャはサイトを見回す。どうやら焚火が気になるようで、その一点をまるで獲物でも狙うような目つきで見つめている。
「アイーシャさん?どうしたんですか?」
「えッ?い、いや!こ、これは!『ぐううううううぅ!』ッ!ち、違うんですぅぅ!お昼から何も食べてないだけで…。あッ!と、とにかく違うんですぅ!…うう…」
どうやらお腹が減っていらっしゃるようだ。
「アハハ。大した物は無いけど、袖触れ合うも他生の縁。です。良ければ食べていきませんか?」
そう言いながら、アイーシャさんをローチェアーへと促す。
こうみえて女性に免疫はあるんだ!なぜならバイト先がシャレオツなコーヒースタンド『ブルースハレルズコーヒー』なのだから!
嘘です。内心ドキドキです。バイト先でも女性のお客様にお釣り渡すときドキドキしちゃいます。
「本当ですか!?有難うございますっ!!実はものすごーくお腹が減っていたのです!」
キラキラした笑顔で彼女はそう答えた。
「そうですそうです!まだ質問の答えを頂いていませんでした。ユズルさんは何故こんな所で野営を?」
「えっと……、そうですね。話すと長くなるのでまずは食事をどうぞ……って!もう食べてる!?」
こちらが勧めるよりも早く、彼女はステーキの8割ほどを口の中に頬張っていた。
「なんですか!!なんなんですか!?このお肉!!!とんでもなく美味しいです!こんなお肉食べたことがありません!…ユズルさん!!」
「ハッ!ハイッ!?」
「これは一体何のお肉なんですか!?」
「何って、牛ですけど。和牛ですよ。ビンゴ牛」
「ウシ?ビンゴギュウ? ウシというのは一体どんな動物なのでしょう?ビンゴギュウとは?」
そうか、ここはやはり異世界だ。牛がいないのだろう。
僕はそう考えながら、携帯を取り出して、写真のフォルダから以前撮った黒毛和牛の写真を表示し、アイーシャさんに見せる。
「これが牛です」
アイーシャさんは僕のすぐ傍まで来て、携帯を覗き込む。ち、近い!顔が近い!
「えっ!?これってプウメじゃないですか、って!この器具は!? 解りました!魔道具の一種ですね?そう考えるとさっきの水筒も…、成程成程…」
「あの、アイーシャさん?」
「そうなのですねっ!!!!」
「ヒッ!?」
「解りましたよぉ!!ユズルさんはいずれ名のある魔導師様なのですね?高名な魔導師様に“さん”付けするとは、私としたことが、失礼いたしました。ユズル様」
「い、いや、僕は魔導師じゃないんだけ…ど…」
「いえいえ!皆まで仰られなくても大丈夫です!! 御身分をお隠しになって旅をされているのでしょう?その不思議な天幕、奇妙な御姿も!全ては周りを欺く為の物!!!ああ!なんと素敵な!やはり好奇心に逆らわず足を赴けて良かったのです!!」
「奇妙って…、アイーシャさん?だから僕は…」
「ユズル様!ご心配なさらなくとも大丈夫です!このアイーシャ、ピオーネ家の名に懸けて、この事は一切他言いたしません!魔道具の事も、二日前の光の事も!ええ!決して漏らすものですか!私にお任せくださいませぇっ!!」
「いや、だから違うって……?光?アイーシャさん、光を見たって!?どこから?いつ見えたの??」
僕はアイーシャさんの肩を掴みながら問いただす。
「ちょ、ちょっとユズル様?!お顔が!お顔が近いですー!!」
「えっ?あ、ああ、ごめんなさい///」
「い、いえ。大丈夫です///」
なんだこれ。ラブコメか。
「とにかく光を見た時の事を教えてくれますか?」
「え、ええ、あれは2日前の夜。8つの鐘位でした。私の部屋からこの神山の方を眺めていた時でした眺めていると、突然お山の方で光が爆発したように見えたのです」
「ど、どんな光だったんですか?」
「七色に見えて、白くも見えました。渦の様で……、あ、人の手の様にも見えました」
「そう…なんですね……」
もう間違いない。夜中の光。あれが僕を異世界に転移させたんだ。
しかし何故荷物も一緒に転移して、ペットボトルは不思議な道具に変わってしまったんだろうか?
それに奇妙なのは、僕にとっては今日の夜中の出来事がここでは2日前?時差…か何かかな?
まあそれはとりあえず置いておこう。ここにきてどうして聴きたい事が僕にはあった。
「アイーシャさん。その光って良くあるんですか?例えば何日かに一回とか、数年に一回とか」
「い、いえ、初めて見ました。ですから気になってここまで来たのですよ。というよりあの光もユズル様の魔法なのでしょう?」
「いや…、それは僕ではないですね」
「そうなのですか?あっ!そうですね。そういう事にしておきます。ただですね、光には言い伝えがあって、といってもおとぎ話のような物ですが…」
「そういう事って…、ん?言い伝え?言い伝えってなんですか!?」
「ちょ、ちょっとユズル様?!また!?お顔が!お顔が!!」
「えっ?あ、ああ、ごめんなさい///」
「い、いえ。大丈夫です///」
再度問おう。何だこれ。ラブコメか。
「い、言い伝えというのはですね、今からおよそ300年前、突然現れた光から別世界の人間が現れたらしいのです」
「それで?」
「その方は『はぐれ人』とよばれ、その方に最初に出会えた人はとても幸せになる事が出来たそうです。ただとんでもない冒険に巻き込まれたとも言われています。以上です」
「え?」
「え?」
「それで終わりですか?」
「ええ」
「勇者として魔王を倒し世界を救うとかではなく?」
「ええ」
「逆に魔王になったとかでもなく?」
「ええ。そもそも魔王なんていませんもの」
「え?」
「え?」
「魔王がいない?じゃあ魔物は?」
「魔物はいますよ?」
あ、魔物はいるんだ。
もしかしたら、伯父さんはこの光に巻き込まれたのかもしれない。そう思ったんだけど、どうやら違うようだ。300年前だもんな。
「ユズル様?」
「え? あ、ああ、すいません。魔物がいるって、例えばどんな奴なんですか?」
「そうですねぇ。この辺りですと一番よく見るのは『ラクー』でしょうか、大きいものでは『トライアド・ベア』ですかねぇ」
ベアって事は熊なのだろうか?あと『ラクー』ってのは、もしかして。
「ラクーというのは、角があって、黒くて目の周りが白い?」
「そうですよ?どうしたんです?ラクーなんてよく見る魔物じゃないですか」
「え、いやぁ、とするとトライアド・ベアはやはり大きいのでしょうか?」
「?何を仰ってるのですか?どちらも左程大きくはないですよ?魔法で一発です!」
「魔法、魔法かぁ…、魔法、使えないしなぁ…」
「え?何を仰ってるのですか?物凄い魔力をお持ちなのに…、ああ!そうでした、世を欺く御姿なのでしたね!うっかりしてました!」
「え?」
「え?」
「僕に魔力が?」
「ええ」
「膨大な?」
「ええ。ですから高名な魔導師様かと」
「え?」
「え?」
*****
――魔力?この僕に?さっき試してみたけれど魔法なんて出なかったぞ?やりかたがおかしかったのかな?というか、なんでこの子は僕に魔力があるって分かるんだ?
「ね、ねえアイーシャさん?」
「はい?なんでしょう?」
「僕に魔力があるってどうして分かったのですか?」
「え?どうしてって、当たり前じゃないですかぁ」
「だ・か・ら!それがどうしてって聞いてるじゃな・い・で・す・かっ!」
「ええっ!三度目ぇっ!?ですからユズル様!お顔が!お顔が!!近いですうううう!」
「ハッ!す、すいません!何度も何度も」
「い、いえ、構わないのですが///」
「とにかく、何故魔力の有無が分かるのか教えてくれますか!?」
「本気で仰られているのですか?」
「はい。本気も本気です」
「世を欺く…」
「もうそれはいいから!早く教えて!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃないですかぁ…」
「怒ってません。ですから教えて下さい」
「わ、分かりましたよぅ。ですけど!ユズル様?!」
「な、なんでしょう?」
「先にこのビンゴギュウ?もっと頂いても宜しいですか?」
「え?ど、どうぞ……」
魔力が何故見えるのか?一体ここはどこなのか?まだこの謎は解明されない様である。
ハァ…。
いかがだったでしょうか?
魔法が使えないが、魔力はあったようです。
後おじさんが持ってた気まぐれオレンジロード。今でも大好きです!
ユズル様は魔法が使えるようになるのか?
評価等お待ちしております。




