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23話(48話)


「それじゃぁこの話からしましょうか」

 ヴィルマ様が一呼吸おいて話し始めた。


 だけど話しがすぐに脱線してしまうので要約すると、

 獣人族の巫女は死ぬことで巫女の役割と記憶を、次の巫女に継承する。

 巫女が存在している時は獣人族が住まう地域を囲むように結界が張られている。

 ただし結界は巫女の力で解除することができる。

 問題は記憶を継承することで結界を解除しなくなってしまう。


 ヴィルマ様は気の迷いで一度神様に巫女を止めたいと言ってしまったことがあったらしい。

 そのせいなのか七年前ヴィルマ様が相応しくないとなり、巫女の役割が私に継承された。

 ヴィルマ様が気付いた時にはもう死んだことになっていたらしい。

 これは本来在り得ないはずだがヴィルマ様が死んでいないから私に記憶は継承されなかった。

 ヴィルマ様は巫女ではなくなったからか、今まで考えることができなかった事まで考えられる様になっていた。


 考えているうちに記憶と巫女が別々にある今なら結界を解除できるのではないかと考えるようになった。

 その為に今まで此処に隠れ住んで機を待っていた。

 そして今に至るらしい。


「それでは、この七年間ずっと一人で生きて来たのですか」

「そうね……もう七年になるのね。早いわね……でも一人は寂しくなかったは……月に一度食料が此処に運び込まれるから食べるものには困らなかったし……魔物とかの脅威もないし……」


「奉納品に手を付けていたんですか!! ……それってばちが当たるのでは?」

「……食料に毒が入ってたり……変な夢を見るけど……これは違うし……ばちは特にないと思うけど?」

「絶対にそれです、それが罰ですよ! 何で気付かないんですか?」

「……別に困ってないから?」

「……そうですか」


 ヴィルマ様と話すのはなんだか疲れる。

 基本無表情だし何を考えているのかもわからないし、これが記憶の影響なのか元々なのか、どちらか気にはなるが深く追求すると何か怖いのでしないことにする。

 一つ気になった事を訊いてみることにした。


「ヴィルマ様は『やった事にも意味があったのね』って言ってましたけど、それって神に巫女を止めたいと願った事ですか?」

「そうだけど……他に何かあるの?」

 さも当たり前かの様に言うヴィルマ様に呆れてきた。

 言い方的に、もっとすごい事をしたのかと思ってた。

 だけど実際には気の迷いで一度言っただけ、それも何故か叶っただけだった。

 これからはヴィルマ様の話は話半分で聞いておこう。


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