10話(35話)
今回は9話(34話)の涼視点です。
クリストフを逃げたのを確認してから木の下に移動して腰を下ろした。
「当初の予定とは違うけど、獣人種とは別の脅威が迫ってる事を気付かせられただろうから休憩しようか」
「これから如何するんですか?」
「取り敢えずは様子見かな。神具を取り返すための部隊が向かってくると思うから、その規模を見てからかな。だからそれまで休んでていいよ」
リコリスは頷くと疲れが溜まっていたのか木にもたれかかって目をつぶってしまった。
リコリスが眠ったのを確認してから同じ様に木にもたれかかって、クリストフに取り付けた腕に意識を切り替えて状況を確認すると、たった今拠点に着いたばかりのようだ。
周りの者に気付かれないように腕の主導権はクリストフのままにしてアルノルトの下へ運んでもらう。
本当はもう一個小さい体を用意しようかとも考えたけど、見つかる可能性が高まると思ったから腕に小さな目を生やすだけにしておいた。
建物の構造を確認しているとアルノルトのいる部屋に着いたらしくクリストフが止まった。
部屋の中に入る前に念の為に、腕に生やした目は消しておいた。
それじゃあアルノルトがどんな奴か確認させてもらおうか。
部屋に入るとそこには一人の獣人が椅子に腰掛けていた。
視てみると如何やらアルノルトは獅子の獣人みたいだ。
しかも嬉しいことにアルノルトが今回の目的の人物だった。
取り敢えず様子見がしたいから、クリストフは余計な事を言ってほしくない。
一応口止めはしたけどもしも約束を破られると困るからクリストフの体の主導権を奪い代わりに報告をする。
報告しながらクリストフの記憶を探ってみると如何やら獣人種は相手のにおいで判断しているらしい。
だからなのかアルノルトは目の前にいるのがクリストフではないことに気が付いていないようだ。
思いついたことを適当に報告しているとアルノルトが出陣しようと横を警戒もせずに通ろうとしたので、ついうっかり短剣を生み出して刺してしまった。
うっかりとはいえやってしまったものは仕方がない。
一瞬だけ意識を体に戻してリコリスが寝ているのを確認してから──を有効化する。
すると切りかかろうとしていたアルノルトの動きが止まる。
──が聞いているのを『血肉化』で確認して、獣人種を皆殺しにするように命令を下す。
すると同胞も敵も全て殺してくると言って部屋から出て行った。
それを見届けてからクリストフに体の主導権を返し意識を体に戻した。
これで予定が大幅に変わってしまったが面白くなりそうだから問題は何もない。
そんなことよりもリコリスを如何やって騙そうかそれを考えなければいけない。
まぁそれは追々考えるとして、今はこれから起きる事が面白くなることを期待しながら一眠りといきますか。
念の為に結界を張ってから眠りについた。




