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9話(34話)


 あの少年から逃げ出してからというもの体に違和感がある。

 体が軽く力が湧き上がってくる。

 右腕だけではなく体の隅から隅までだ。


 十中八九あの少年が腕を付ける時に何かしたのだろう。

 だがこれで魔物に怯えずにアルノルト様の下へ帰ることができる。

 あの少年は何がしたかったのだろう。

 目的は神具だったと思うがそれだけではない気がする。

 それなら私を逃がす必要がないからだ。

 ならば何が目的なのか?


 この戦争を止めると言っていたがそれは嘘であろう。

 それなら私を開放せずに情報を引き出そうとする筈だ。

 それをしないということは私に関わりの無いものの可能性が高いとみるべきか?

 いくら考えても狙いが読めない。

 考え事をしているといつの間にか拠点のすぐ近くまで来ていた。

 先ずはアルノルト様にこのことを伝えて指示を仰ぐか。


 緊急でお伝えしたいことがあると伝えるとすぐにアルノルト様の下に通された。

「ご報告します。神具の捜索中魔物に襲われ私以外の者は亡くなりました。その後私は一人で神具を回収するも、森で突如現れた少年と少女に神具を奪われてしまいました」

 っは?私は何を言っているのだ?


「クリストフ、それでお前はのこのこと帰って来たと?」

「申し訳ございません。私一人の力ではその者達に手も足も出ず──」

「言い訳は良い。それでその者達は今どこに?」

「森の中、ここからすぐ近くかと思われます。その者達は迷いの森を彷徨い抜け出せないようです」


 可笑しい、何故私の意志とは関係なく口が勝手に動く。

 如何いう事だ?

 何故急に私の意思とは関係なく動き出すのだ。


「そうかならば私が出ることにしよう」

「っそ、それは──」

「お前が意見できるとでも思っているのか!」

「っは申し訳ございません」

「お前もついてこい、案内役として使ってやる」

 アルノルト様が立ち上がり横を通り過ぎようとしたとき、今度は口だけでなく体も勝手に動き出した。


 右手から突如として現れた短剣でアルノルト様を刺してしまったのだ。

 これは本当に私がやった事なのか?何故だ?何故体が勝手に動く?

「貴様、拾って育ててやった恩も忘れたか!!」


 違います。私はアルノルト様、貴方様に拾われて救われました。

 貴方様を裏切ることなんて絶対にしません。

「せめてもの手向けだ。私が自ら貴様を殺してやろう」

 アルノルト様が剣を引き抜き私に切りかかろうとすると、途中でその動きが止まった。


「アルノルト、君は今から私以外の獣人種を全て殺せ、皆殺しだ」

「はい、承りました。ただいまより同胞も敵も全て殺してきます」

 そう言ってアルノルト様は部屋を出ていかれた。

 アルノルト様、貴方様は何を仰っているのですか?

 同胞を殺すなど元の貴方様に戻ってください!


「取り敢えずは実験成功かな。後は頃合いを見計らって……、そうだ目的は達成したし君にこの身体は返すよ。後は君の眼でアルノルトが起こす悲劇を見届けるといいよ」

 私の身体を操る何者かがそう言い終わると、体が私の意思で動かせるようになっていた。

 私の身体を操っていたのはいったい……いや、恐らくあの少年か。


 そんな事より早くアルノルト様を止めなければ。

 取り返しの付かないことになってしまう。


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