4話(29話)
戻ると狼の獣人の男性が立っていた
「助けてくれたことには感謝する。だが貴方方は何者だ! 見たところ尻尾もなく耳の形も違う、その翼も見たことがない」
リコリスが獣人の気迫に押されて僕の後ろに隠れて覗いている。
「何者って言われても、ただの人類種と聖魔種だけど」
「嘘ではなさそうだな、物語に登場する空想の存在だと思っていたがまさか実在したとは……、して貴方方は何故このような場所に居るのだ?」
「ちょっといざこざを止めに……かな?」
「何故我々が主導権を巡り争っていることを知っている!?」
本当に種族間で争ってたんだ、予想が当たって良かった。
「想像にお任せするよ、ところで貴方は何故この様なところに? この辺りに争いを優位に進められるものでも隠してあるのですか」
「……貴方方はこの争いを止める為に此処に居るのですね」
頷くと獣人は少し悩んだ末提案をしてきた。
「実は私はこの迷いの森に封印されている神具と呼ばれる伝説の大剣を取りに来たのです。その神具さえあればアルノルト様はこの争いを確実に勝利に導いてくださるはずなのです。ですがその神具を取りに来た部隊もご覧のあり様……恐らく生き残っているのは私だけでしょう。そこで御二方にお願いがございます。如何か私目にそのお力をお貸しください」
「なるほどね~、僕としては力を貸すのは別にいいけどリコリスは如何する」
「リョウさんが手伝うなら私も手伝う」
「それじゃあ決まりだね、力を貸すよ。ところで貴方の名前は何て言うんですか?」
「まだ名のっていませんでしたね、私はクリストフと言います。御二方はリョウ様とリコリス様ですね」
「様はいらないよ、呼び捨てで良い。それで神具は何所に封印されているの?」
「此方です。心配は不要かと思いますが念の為、この森に暮す魔物は気配を消すのが上手く、近づかれていることに気付きにくいので注意してください」
そう言うとクリストフは木々をかき分けながら森を進み始めた。
リコリスが怪我をしないように先を剣に変えた触手で木々を切りさき、リコリスが問題なく歩ける幅を作りながら進んでいった。
途中でそれに気付いたクリストフが自分の前の木々も切り拓いて欲しいと頼んできたので仕方なく切り拓くことにした。
休憩をはさみながら二十分程歩くと雑草に覆われた井戸らしきものがあった。
「ここです。この井戸の中に神具が封印されているはずです」
井戸の中と言われても、雑草が生い茂るぐらいの間放置されていたことを考えると入りたくない。
マップには道具は表示されないから、確実にあるとは言い切れない。
そのせいで余計行きたくなくなってきた。
「っで、ここから先に一緒に来て欲しいと。井戸の中に入ると汚れそうだけど如何する」
「ここまで来たからには行く」
リコリスが行くと決めたので仕方がない気が乗らないけど行くか。




