20話
リコリスは僕の話が終わるまで何度も驚きながらも、最後まで聞いていた。
聞き終えるとリコリスは疑問をぶつけてきた。
「リョウさんは如何してリョウさんのいた世界……えっと……地球? に戻らないの?」
「戻らないよ」
「それって、私がいるから……帰らないの?」
「違うよ、リコリスがいるからじゃないよ。この世界に来た時から決めたんだ。地球よりもこの世界の方が面白そうだから、この世界に残りたいって」
そうだ、どうせ地球にいたってただ周りに流されて周りの望むように生きて、老いて死ぬしかないんだから。
「でも……リョウさんがいなくなって悲しむ人はいないの? 家族とか……」
「いないよ、両親は僕が7歳の時に事故に巻き込まれて亡くなったし、引き取ってくれた祖父母もこっちに来る二か月ぐらい前に強盗に押し入られて亡くなって、親戚からは僕は周りに不幸をもたらす死神だって言われて遠ざけられてるから、僕がいなくなって悲しむ人は誰一人いないよ」
「そんな!……でもアズマさんもマイさんもリョウさんが突然いなくなったら悲しむんじゃないの」
確かに二人のここでの記憶は消すようにアヴェリティアに頼んであるから、二人には僕が突然いなくなったように見えるかもしれない、その事を悲しんでくれるかもしれない、けど……
「二人が悲しむとしても僕には関係ないよ」
僕はこの世界にいたいから。
「如何して? 関係なくなんかないでしょ! 友達なんでしょ!」
僕が二人の事を関係ないと切り捨てたからか、その声には少し怒りを含まれていた。
「友達……友達ねぇ……ねぇリコリス、友達ってどういうものなの? みんな友達って言葉を使うけどさぁ、友達って如何したら友達なの? 調べてみた事もあるけどよく分からないんだ。だから友達が欲しいとも思った事が無いよ」
「それは……私にも分からない。でもじゃあ如何してリョウさんは二人を地球に帰してあげるの?」
「二人を帰すことは僕がこの世界に居続ける条件の一つだし、それに舞への恩返しだよ。舞のおかげでこんなにも面白い世界に来られたんだ。だから舞が地球に変えることを望むのなら、そのために力を貸すだけだよ」
リコリスは少し悲しげな表情で下を向いたまま口を閉じてしまった。
僕は話しかける言葉が思いつかなかったので、そのままお互いに一言も発さず交替の時間まで見張りを続けた。
交代の時に二人には眠たいからだと適当に誤魔化し、見張りの交代の時も、眠りにつく時もお互いに一言も発さずに朝を迎えた。




