13話
冒険者ギルドに来ると大騒ぎになっていた。
大まかな内容は二人から聞いたけど詳しいことはまだ知らない。
なので誰からか聞きたいのだが大騒ぎになってて聞けそうにない。
「二人共討伐隊を編成してるとこって何所」
「それなら二階で参加者募集してたよ、普通は一階でやるんだけど人数が要るからって大勢はいる二階を使ったみたい」
二階に行くと高校の教室の四倍くらいの広さの部屋で募集していた。
この町は他の町と王都の中間くらいにあるらしく中継地点として使われる為、冒険者が集まりやすいみたいだ。
ギルドの職員にギルドカードを見せ討伐隊に参加する。
部屋で数十分待つと職員が前を向くように指示してくる。
「皆さん、私はこの町のギルドマスターリベルトと申します。今回ゴブリンキングとオークキングの討伐に参加して頂きありがとうございます。それでは討伐についての打ち合わせをしていきましょう」
説明された内容はこの町の南側の森に巣があるらしく魔物の数は不明。
ゴブリンキングとオークキングが居る事から魔物はゴブリンとオークの上位種が居ると推測される事。
そして普通魔物が別の種族と一緒に居る事は無い事から裏で操っている何者かが居る事。
これらを踏まえたうえでまずは巣を囲み一斉に攻撃を仕掛ける。
ランクの高い冒険者を前に配置し戦力を分散させランクの低い冒険者が数の減った魔物を狩ると言ったかんじだ。
勿論僕達はランクが低いので後方に配置された。
できればゴブリンキングとオークキングには『血肉化』を使いたいがそんな機会があるかどうか。
準備などもいるだろうという事で討伐は明日の明朝に出発することになった。
あれから二人には明日に備えてポーションや食料の買い出しを頼んだ僕は図書館に行くと言って一人でこっそりと巣がある森まで来ていた。
討伐隊と一緒に来たんじゃ前線には出してもらえないから仕方がない。
マップを確認すると巣には大量の赤いアイコンがあった。
多すぎて数える気にならないので目標と地形を確認して閉じる。
敵が多いので一匹ずつ殺してたら時間が全く足りないからゴブリンキングとオークキングを最短距離で一気に近づき殺すことにする。
魔物に気付かれない位置ギリギリまで行き様子を窺う。
ゴブリンとオークが数匹見張りとして立って居た。
構っていると時間が足らなくなるので形状変化で手のひらサイズまで小さくになり高くなりすぎたステータスと疾走、跳躍、身体強化を使い走り幅跳びの要領で空から奇襲をかける。
ステータスが高いおかげで巣の中心に余裕でとどく。
空中で元の大きさに戻り仮面のバイク乗りみたいにゴブリンキングの頭めがけて蹴りを入れて着地する。
ステータスが高過ぎるせいかゴブリンキングの頭が爆発四散!
突然の事で魔物も驚いているのか戸惑っている中オークキングが一匹だけ迷いなく僕に大剣で容赦なく叩き潰そうと振りかぶってきた。
前回グリードと戦った時に油断して先手を打たれたのを反省して今回は集中していたのでそれを右に避けて詠唱しておいた「水ノ魔弾」を顔に打ち込み、目に水が入った瞬間にグリードが持っていた片手剣で首を刎ねる。
グリードが持っていた片手剣は僕が持っていた剣よりも良いものだったから遠慮なく貰って来た。
あんなのが使ってたと思うと嫌になるが武器のせいではないのでそこは割り切って使ってる。
ゴブリンキングに続きオークキングも殺された事で他の魔物も逃げ出すかと思ったがそんな事は無く一斉に襲い掛かってきた。
一応その可能性も考えて対策案を考えておいた。
形状変化で先っぽをダイアウルフの牙に変えた触手を全方向に打ち込み一掃する。
あるものは頭をあるものは腹を貫かれ倒れていた。
マップで確認すると近くに赤いアイコンは無く、代わりに黄色のアイコンが一つあった。
気になったので探してみるとそこには白い肌に灰色の髪で背中から灰色の翼が生えた女の子が怯えながら座って居た。