【付録】にゃにゃ子さんが知らないこと
一回終わった話ですが、う~んとゆるいペースでもう二、三読み切りのおまけ話を追加したいと思います。(月一くらい?)
登場人物や話のイメージを変えてしまう可能性がありますので、ここから先はお好みでお読みください。
「収穫?」
「いや、そのことについて電話したんだワ、俺。
お前、その後にゃにゃ子ちゃんとどうなった?」
「だれ?にゃにゃ子ちゃんって」
「ほら、あの日最後の方でお前と連絡先の交換してた丸顔のOL」
「ああ…すっかり忘れてた。いたな?そういうヒト」
「…すっかり忘れてたってことは…お前全然興味ないんだな?あの娘に」
「うん、まあ」
「じゃあ、俺ににゃにゃ子ちゃんの連絡先教えて!」
「?お前のタイプじゃないじゃん」
「いや、そうなんだけどー結婚するならあーゆー大人しそうな娘がいいかなって。
堅い仕事についてるし、ぎりぎり連れて歩いて恥ずかしくないレベルだし。
歴代の彼女けっこう遊び人が多かったから…付き合うぶんには面白くていいんだけど、結婚となるとねぇ。
なんかあの娘に、話しかけようとしたら、連れのお姉さん睨むから、俺連絡先ゲットできなかったんだよね?」
「…勝手に連絡先なんか教えられないよ」
「真面目かっ」
「鈴木、どうした?どういう心境の変化?お前ずっと結婚せずに独身を通すって宣言してたのに。自由を愛す、とか言って」
「…うーん、実は…うちの母ちゃんがさ、まさかの再婚することになったんだわ、あの歳で。
したら、俺もう母ちゃんと一緒に暮らす必要ないじゃん。
ってか、暮らせないし。
だから俺も結婚でもしようかなと思って。(←寂しくなっちゃった)
堅実な人と出会いたかったから市町村主催の婚活パーティをチョイスしたわけ。
さえないおとなしそうな女子がウヨウヨいそうじゃん?」
「そういうことを早く言えよ。
あとさ、おとなしそうな女が堅実とは限らないよ?
そういうの幻想だから」
「まあ、たしかに。
でも、にゃにゃ子ちゃんがなんとなく良い子っぽかったなと思って」
「ああ、じゃあ聞いてやるよ、彼女に。お前に連絡先教えていいか」
「おっ、サンキュー、そうしてくれ。
じゃ、よろしく頼むなー
そば打ち邪魔してすまん。
今度また蕎麦食わせて?」
「ん、じゃまた」
プツッ。
「にゃにゃ子さん?こんにちは。
先日市町村の婚活パーティーでお世話になった○○ですが…
今お電話大丈夫ですか?」
「ぜ、全然大丈夫です。(ハフハフ)
連絡来るといいなーってずっと思ってたんで、お電話いただけて嬉しいです!(ハフハフ)」(←フライング気味)
「あ…そう…ですか」
「お風呂にもトイレにもスマホ持って入ってたかいがあったー」
ジャー(←水の流れる音。今流しちゃっだめじゃん!)
ゴソゴソ(ズボンを引き上げる音)
バタン(トイレのドアの閉まる音。どうやらトイレから出たらしい)
え、このヒトほんとに自分からの連絡待ってたんだ。
ほんとにトイレに携帯持ち込んでたっぽい。
うわ…友達に君の連絡先教えていいかって言いにくい。
「…? あの○○さん?(わくわく)」
「えっと、あの、にゃにゃ子さん」
「はい?(わくわく)」
「実は…」
「はい。(ドキドキ)」
…ふぅ
「…映画の株主優待券があるんですけど…良かったら今度一緒に映画観に行きませんか?」
↑にゃにゃ子さんの電話越しのはしゃぎっぷりに負けた夫くん。
生まれて初めて自分から女の子を誘いました。
この成り行きをにゃにゃ子さんは知りません。
その後夫くんは鈴木くんにどう話したのかな?
性格的なことを考えればれば、きっと正直に成り行きを話したんでしょうね。
鈴木くんもいい人っぽいので怒らなかったんじゃないかな。多分。




