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出ていった
A子さん、さっき部屋を出て行きました。
六時少し前くらいに帰ってきて、朝工場に行く前に電気毛布や着替えを詰めておいたボストンバッグと紙袋持って。
私はいつも会社に行く夫くんを見送るように、玄関先でA子さんを、見送りました。
A子さんは通りいっぺんの挨拶をしました。
迷惑かけてごめんなさいとか、お世話になりました、みたいなことを。
私も、気をつけてね、とか元気でねと声をかけました。
玄関のドアがゆっくり閉まっていく時、ああ、しんどかったこの人との生活も終わるな…と思った。
けど終わらなかった。
ドアは閉まる寸前にグワッともう一度大きく開き、A子さんはドアの向こうから顔だけ出して
「にゃにゃ子さん…○○くん、浮気してるよ」
と一言言ったかと思うと、今度は本当にドアを閉めました。
その後マンションの廊下を歩く彼女の足音が聞こえてきました。
えっと…
どういうことなのかな?
夫くん、浮気?
どうしてA子さんが…それを
誰と?
もしかして…
え?
やだ…
嘘…
ごめん、私、もうブログ書けない。




