急転直下
工場から帰ってきたA子さんがこんなことを言ってきました。
「にゃにゃ子さん、私、今週末にこの部屋出るから。
○○くんやにゃにゃ子さんに甘えて長くいさせてもらっちゃったけど」
反射的に「ど、ど、ど、どういうこと?出てどこ行くの?お金とか大丈夫なの?」と言ってしまった私に、A子さんは事の成り行きを説明してくれました。
「ほら、先週○○県のショッピングセンターに連れて行ってもらったじゃん?あの時、昔のお客さんに会ったの。
その人東京の会社に勤めていて、こっちに出張の度に私の勤めていた店に寄ってくれていたんだけど、二、三年前に会社を辞めて、実家の家業を継いだのね。
で、それっきり店に来ることもなくなったんだけど…
そのお客さんと偶然あの日出会ったの。
彼の実家○○県だったんだって。
ご家族と一緒にショッピングセンターに来ていたんだけど、それぞれ見たい店が違うので別行動をしているときに私と会ったの。
で、ちょこっと立ち話で今の境遇を話したら、同情してくれて、
なにか力になれることがあったら協力するって言ってくれたんだよ。
まあ、その時は連絡先を交換してすぐ別れたんだけど、その後すぐ連絡くれて。
彼、早く独立して新しい生活をスタートした方がいいって言って、○○県にウィークリーマンション借りてくれたの。
その連絡が昼に来たのね。
あ、契約してくれただけで家賃はもちろん私が払うよ?
この街で、ヤツとの遭遇を恐れて暮らすより、いっそ他県で暮らした方が私も安心して暮らせるかと思って。
も、ビクビクして暮らすの、マジ無理。
金曜まで工場で働いて、仕事終わったらその日のうちに○○県に行くつもり。
善は急げだもんね?」
私はこの話を聞いて、ヒャッホーとはならなかった。
なーんか引っかかるものがあった。
この街を出るのはいい選択かもしれない。
うん、いい選択。
元カレの家の廊下で過ごすより、早く自分の部屋を借りて暮らすほうがいいに決まってる。
でもそこにX氏(←A子さんの元客)が絡むのが…
なんかやだなぁ…




