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馬鹿なA子さん

すごく気になって、聞けば益々気になるってわかってるんだけど、聞かずにはいられなくなって、図書館から帰って来たA子さんに聞いてみた。


二人の出会いの経緯を。




やっぱりA子さんから声かけたんだって。


お店に来た夫くんと少し話をした時、すごく穏やかで話しやすい人だなと思って、こっそりデートに誘ってみたんだって。


断られるかと思ったけれど、誘いに応じてもらって、そこからはガンガンA子さんの方から攻めたらしい。


そして一年弱ほどお付き合いをしたんだそうな。


A子さん21歳、夫くん25歳のときのこと。




五年も前のことだったんだ…


つい最近まで付き合っていたような雰囲気あるけど…




A子さんはぐるり日当たりのいいリビングを見回した後、私を羨ましがった。


「いいなぁにゃにゃ子さんは○○くんと(←夫くんの名前)結婚できて」と。


なんだか夫くんに未練があるような言い方をしたA子さんに思わず私、言っちゃった。


「は?夫くんがA子さんと別れた理由はA子さんの浮気が原因みたいなこと言ってたけど、違うの?


夫くんのことが好きだったらならなんで浮気したの?」って。


A子さんは苦笑した。


そして「ん〜徳利とっくりにカフェ・オ・レ入ってたら変しょ?」と言った。


なんのこっちゃ?


「物にも人にも釣り合いというものがあるんだよ。


○○くんもにゃにゃ子さんも同じお日様の匂いがするじゃん?


ちゃんとした親の元で育ち、世間一般の価値観を受け入れられる人のみが歩くことのできる社会の大通りを堂々と闊歩する人特有のお日様の匂い。


私には無い匂い。


私ねえ、○○くんを好きになればなるほど辛くなっていったんだよ。


どんなに好きでも住む世界が違う人とは一緒になれないだろうなと思って。


私はさぁ、子供の頃からなんか親と反りが合わなくって…何かある度に手を挙げられていたし。


高校生のときもう無理と思って家出しちゃったの。

学校も辞めちゃって。


つまり私、ドロップアウトした人間なんだよね…


一方○○くんはちゃんとしたところにお勤めしていてエリート街道歩いてる人じゃん?


付き合って行くうちにだんだんそういうことに引け目感じるようになって行ったんだよね。


私もちょうど世の中の仕組みがわかってきた頃だったし。


なんとなくこのまま付き合っていてもこの人と結婚はできないだろうなーと、思ったら、なんか辛くて逃げ出したくなったんだよね。


自分がうんと傷つく前に。


だから浮気しちゃった。」




私はA子さんの話を聞いて、A子さんって馬鹿だなと思った。


自分で自分に負のラベリングしちゃって。

勝手に先走って自らの手で幸せ捨てちゃって。


夫くんは、どんなに器にも収まる水みたいな人なのに。


A子さんが望めば世間体を気にせずちゃんと結婚してくれただろうに。


A子さんのことうんと好きだったろうから。


じゃなきゃ、路頭に迷ったあなたを新婚家庭に連れて来たりしないよ。


それに夫くんは別にエリートというほどのエリートじゃないよ?


あとさ〜あんまりテレビ見ない人だけど、深キ○ンが出てるドラマだけは録画して見てるんだよ?




うぅ…なんか私辛くなってきたな。

やっぱり聞くんじゃなかった…

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