戦線離脱
さっきアクセス数をヒョイっと見たのですが思ってたより多くの人が読んでいて驚きましたw
ほんとに嬉しいかぎりです!
これからも頑張って更新していくのでよろしくお願いします。
では、いい夢を
夜空を貫く聖なる槍〜グングニル〜
それは、この槍を向けた者に絶対的な勝利をもたらすと呼ばれる槍………。
それをハヤミさんは日本刀一本で眩い光の残骸に変えたのだ。
都市伝説の目付きが明らかに変わった。しかし、口はまだ「新しい玩具が来た!」と喜ぶ少年のようだった。
「ハヤミさん………三年ぶりくらいですかね」
都市伝説が笑っている口を動かした。
ハヤミさんは周囲を見渡すと弱っているルナを見つけ、「dust Childrenか………なるほどね」と呟いた。
そして、全てを把握した顔をすると僕の顔をに向かって
「コータロー君、まだ動けるかい?」
と尋ねた。
僕は「いいえ、正直ギブです」と答えるとハヤミさんは天に向かって大笑いをした。
「正直でよろしい!」
そう言うと僕の身体をヒョイっと肩に抱え
「いざ、さらば!」
と告げた。
「ハヤミさん!お願いがあるのだ………」
僕がハヤミさんにルナの事を言おうとした瞬間、ハヤミさんは被せ気味に
「わかってる。あの少女だろ!大丈夫、あっちは店長がもう連れて帰ったから」
といってきた。
「え!店長が!?」
僕はそう言ってルナがいた電柱を見ると、そこにルナはもういなかった。
当然そのことを都市伝説も把握していなかったらしく、電柱を見るとさっきまで笑っていた口から笑みは消えていた。
「………僕があなたを逃すとでも思いですか?」
そう言うと都市伝説はまわりの景色をまるで宇宙のような色に染めていった。
「空間魔法の束縛結界か………それもまためんどいやつ」
ハヤミさんはそうに呟くと僕に向かって
「ちょっと富◯急のジェットコースターよりデンジャラスな乗り心地になるが我慢しちょれ!」
「え!?何をするんで…ダフッ!」
ハヤミさんは結界の天上めがけて思いっきりジャンプした。
「うわぁアァァァアァアアアァァアァア‼︎‼︎」
「コータロー君!うるさいからだまっちょれ!」
乗り心地悪いどころではない。オッさんの肩に布団を干すように乗りながら上下左右にものすごい勢いで加速度運動しているのだ。最悪中の最悪だ。
すると都市伝説は追尾する無数の弾幕を張り巡らせていた。光の無数の砲弾がハヤミさんに向かって一気に飛んでくる。
ハヤミさんは日本刀に力を込めると「せいや!」という掛け声と共に振り下ろした。
ズドドドドドドォオオォオォオォオン‼︎‼︎
無数の砲弾はハヤミさんに到達する前に鮮やかな色に爆発した。
「す、すごい」
僕は驚く事しか出来なかった。
「驚いている場合じゃないぞぉコータロー君!帰ったら店長ちゃんのお説教フルコースが待っているのだから」
背筋に悪寒という悪寒がまるでマラソンをしてるかのように走った。泣き面に蜂とはこの事だ。
ハヤミさんはまた、日本刀を構えると術式を展開した。
「そうやってまた僕から逃げるのですか!ハヤミさん」
都市伝説は空中を飛んでいるハヤミさんに向かって深く低い声で叫んだ。
「逃げる?失敬な。戦局が不利だから戦線から離脱するだけだよ」
そう言うとハヤミさんは日本刀に込めていた魔力を解放した。
「威神 衝略‼︎‼︎‼︎」
振り下ろした日本刀は鮮やかな色と共に張り巡らせていた結界を粉砕した。そして僕の視界は光の世界に包まれていた。
眩い光が四方八方に飛び散ってあとで僕の耳に轟音が舞い戻ってきた。
ズドドドドドドォオオォオォオォオン‼︎‼︎‼︎
「ハヤミさん、僕はあなたを許さない」
光の奥からそのような言葉が聞こえたような気がした。
シャアアアァン!
光の世界が徐々に薄れていくと目の前には「だがし屋 はやみ」の看板と一匹の魔女帽子を被った猫の姿があった。
猫はハヤミさんの肩からゆっくり降りた僕のことを睨みつけている。
僕は自分の頭を撫でながら苦笑いした。
すると、猫は僕に向かって思いっきり飛びかかり、とびきりの猫パンチをお見舞いした。
僕は勢いよく後方に吹っ飛び、綺麗に電柱にぶつかった。
「おいコータローォ………何かわたしに言うことはないかぁ?」
猫は殴り飛ばした僕に近づきながら怒りの声でそう言った。
「えぇ…あぁ……あの、その……た、ただいまです。店長。あはは」
僕は猫(店長)に向かってなんともキレの悪い挨拶をした。
さぁ、お説教のフルコースが始まる