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urban legend  作者: 子寝虎
4/15

紅き鎮魂歌

やっと好きなキャラが書けましたwww


ちょっとキャラの濃い人たちが登場します。

楽しんでよんでくれたら幸いです。

感想や罵倒がありましたら気軽にお願いします!

あと、@koneko451040でTwitterもしていますのでよかったらフォローをw


では、いい夢を

  「えーっ、おにぎりが3つでで396円になります」

 

  店員の女性が僕に向かってそう告げた。その瞬間、とんでもないことが僕を襲った。

  財布を見たらワンコインしか入ってなかったのだ。

  僕はしぶしぶ財布のなかにいるコインの王様をレジと言う名の戦場へと連れ出した。


「さらば、コインキング」

「…………ひゃ、104円のおつりです」


  どーやら、心の声が漏れていたらしい。恥ずかしい。非常に恥ずかしい。

  僕はその店員に目を合わすことなくおでんとお釣りを貰うと自動ドアへと小走りした。

  ウィーン。ひとりでにドアが開いた。僕は恥をコンビニのゴミ箱に捨て、身軽になった身体と夕飯を家に持ち帰ろうとしたその時だった。

  僕の目には電柱の光に照らされながらボロボロの布にくるまっている幼い少女の姿が映っていた。

  見てはいけないものを見てしまったのだろうか。僕はそう思うと目線を帰路の方向に修正し直し、そのまままっすぐ帰ろうとした。

  そして、ちょうど彼女の目の前を通り過ぎよう時


「……………こわぃ」


  まるで、夏の夜に咲く消えかけの線香花火のように脆く冷たい声が僕の耳に届いた。


「……………こわぃ」


  おそらく少女のものだろう。僕は帰路に向かって鳴らしていた足音を止め、ひとつ深〜いため息をついた。

  また、面倒なことに巻き込まれる。僕の脳はそれを確信していた。けど身体は、血は傷ついた少女を無視することをゆるさなかった。

  僕はしぶしぶ少女の前にしゃがむと


「ねぇ君、こんなところでなにしているの?」


  と声をかけていた。

  周囲から見たら確実に僕は不審者だ。しかし、彼女の喉はただ「こわぃ」と、呟くだけでそれ以上のことはなにも言わなかった。


「んーーー」


  僕は頭を掻き毟りながらどうすればいいのかわからなくなっていた。

  身長からして小学生低学年ってところだろうか。あとわかることといえば爪が長いってこととボロボロの布から微かに見える髪の色が金髪だってことだけだ。


  「ねぇ、いつからここにいるのさ」


  僕は別の質問を少女に問いかけていた。しかし彼女の口は同じ言葉を繰り返すだけだ。


「もしかして、おなか………空いてないか?」


  あ、ダメだ。このセリフは完全に不審者のセリフだ。僕は自分の言動に後悔を覚えながら少女の反応を伺った。

  …………………。こくり。

  少女の首が微かにだが微かに縦に動いたのがわかった。

  僕はさっき買ったコンビニのおにぎりを袋を開けると「ほら」と言いながら少女に差し出した。

  少女は汚れた両手でおにぎりを掴むと、まるで久しぶりに獲物を捕らえた肉食動物のようにおにぎりに噛り付いた。

  よほどお腹が空いていたのだろう。おにぎりは数秒もたたないうちに少女の胃へと送られていった。


「ほら、もう一つ食うか?」


  僕がまた、袋を開けたおにぎりを見せると

  こくり。

  今度は大きく頷き、また小さな両手でおにぎりを掴み、むしゃむしゃと食べ始めた。

  おにぎりを食べ終わったらしく、少女はさっきまで怖がっていた口でちいさく「ありがとう」といった。


「それで君、名前は?」


  僕は少女のほっぺについたご飯粒を取り、迷子に聞くような質問をしていた。

  しかし、反応はなかった。


「僕の名前はコータロー。君は?」


  僕はもう一度問いかけて見た。


  「……………。ルナ」


  少女はさっきまで閉ざしていた口を開いた。ルナ、そう名乗った彼女の目は紅く、服はボロボロだがかろうじて原形をとどめていた。

  金髪といい外国人なのだろうか。いや、それにしては日本語が上手すぎる。………。ハーフか?


  「じゃあさルナ、お父さんとお母さんはどうしたの?」

  「知らない」


  彼女は俯いてまるで何かを隠すように否定した。親の存在を知らないと言う意味なのだろうか。僕は少し 首を傾げながら「じゃあ、家はどこ?」と聞いた。

  この答えも「知らない」だった。 それ以外にも「兄弟は?」とか「なんでこんな場所にいたの」など質問してみたが、答えは全て「知らない」「覚えてない」の一点張りだった。


「じゃあ、何に怯えていたの?」


  僕が最後の質問を投げかけた時、彼女の瞳孔が見開いた。


  「うぅ………。うぅ………」


  ルナはその小さな両手で自分の頭を抑え込み始めた。

  「………それは、うゥ………」


  彼女の心拍数はクレッシェンドをかけてるように上がっていくのがわかった。


「わかった!わかったから落ち着いて!」


  僕は叫んでいた。突然のことすぎてついていけてないが、確実にわかるがあった。

  今彼女は恐怖に怯え、苦しんでいるということだ。

  まるで、三年前の僕のように………

  僕は少女の両肩を掴み「落ち着け!落ち着け!」と叫びながら揺すった。

  しかし、彼女の恐怖は鎮まることなく、むしろ叫びに近い声に変わっていた。


  「うゥウぅあぅァアぁウゥアアぁァアぁアゥアァアアア」


  彼女の叫びが最絶頂に上ったその時だった。


  「やっと見つけたよ。ルナ」


  後ろでまだ声変わりをしていない声が聞こえてきた。

  僕はゆっくり後ろを振り向くとそこにはお祭りで売っているヒーローのお面を被った少年がぽっつりと立っていた。

  ルナの兄かなんかか?いや、でもさっき兄弟は「知らない」っていってたし………。


  「でも、どうしたのさルナ。そんなに泣いてさ」


  そういいながら少年は僕のことはまるで見えてないように振る舞いながらルナに近づいていった。そして、怯えているルナの前にたった。

  叫ばなくなったものの相変わらずルナは怯えている。


  「……………て。…………けて」


  少年のお面から微かに笑い声が漏れると


「大丈夫、僕が助けてあげるから」


 とルナに言葉をかけていた。

  やはり、兄弟なのだろうか。そう思ってた瞬間。


  少年は自分のポケットからハサミを取り出すと片手で握るように持ち、ルナの左肩に向けて突き刺した。




  グチュり





  刃物が肉片に刺さるにぶい音がした。

  ルナの声が悲鳴になって飛び散った。

  何が起こったのかはわからない。ただ景色は辺り一面真っ赤に染まり、僕の耳にはルナの叫び声と少年の笑い声だけが響いていた。




  グチュり……グチュり





  少年はハサミをいったん抜くともう一度ルナの左肩めがけてさしていた。


「あはははははは」


  少年はただ笑っている。その姿はまるで怪物を倒した正義のヒーローだった。


「何してるんだお前ハァアアアァアアアァアアア」


  僕は叫びながら少年にタックルした。ドスッ!こちらもにぶい音をさせながら少年はアスファルトに倒れこんだ。


  「大丈夫か!」


  僕はルナの方を見ながら叫ぶと、バックの中に入っていたハンドタオルを取り出し左肩に巻きつけた。

  応急処置をしたとはいえお世辞にも安全だとは言えない状態だ。僕はスマホを取り出すと電話の画面に切り替え119のボタンを押していた。


  「無駄だよ」


  それより早く少年から声がした。少年はゆっくりと起き上がった。

「さっき人払いの呪術をかけといたからね。たとえ救急車を呼んでも来ないと思うよ。それに………。」

  少年は僕のタックルで吹っ飛んだお面をまたつけると


「ルナはその程度じゃ死なないよ」


  片側だけが紅く染まったお面はとても不気味な笑みを浮かべながら夜に浮かんでいた。

  僕は唾を飲んだ。


「それにしてもコータローくんは酷いなぁ」


  僕は驚いた。


  「いつも、いつも僕の周りをチョロチョロしてさぁ」


  この感覚、前にも感じたことがあったからだ。


  「ほんっとそういうのメ ザ ワ リ」


  しかし、どこで覚えた感覚なのかはわからない。僕は一回こいつにあったことがあるというのか?そう思っているとお面は両手にハサミを持ちものすごい速度で僕に突っ込んできた。


「コータローくーん。あーそびーましょ!」


  まるで、二〇世紀少年のトモダチのようだった。

  僕は手に持っていたバックでハサミを受け止めるとすかさずポケットからハンドガンを取り出し二、三発少年に撃ち込んだ。

  カキン!銃弾は少年のハサミに見事に当たった。

  ハサミは綺麗に弧を描き少年の手から離れていった。

  僕のハンドガンを武器を失った少年へと向けた。


  「何が目的だ」


  そう問うと少年は天を見上げながら高い笑い声を上げた。


  「わかっているくせに………。まだ、そんなこと聞くの?」

「わかっている?何のことだよ」

「君は僕のことを知っている。そして、僕が何をしたいのかもね」


  そういって少年は一歩ずつゆっくり、ゆっくりと僕は方に近づいてきた。

  僕は銃の照準を少年の眉間へと合わせトリガーへと手をかけた。


「撃ちたいなら撃てよ。どーせ僕は死ねないんだし。」


  少年の足は止まらない。僕の心拍数は確実に上がっていた。

  いま、ここで撃たなきゃ後悔する。本能がそういっていた。


「どうやら、僕のことを忘れいるようだね。まぁ、無理もないか。三年前とは姿も名前も違うんだから。」

  そういうと少年はお面を脱ぎ捨て「まだ、名乗ってなかったね」といった。

 


  紅く染まった世界。



  それを嘲笑うように浮かぶ三日月。



  そして、その世界の中心にいるかのように笑顔で笑う少年。



  少年の裂けた口は絶望の言葉を残していた。



「僕の名前は『都市伝説』。君と同じ…………」






  「夢の住人だ」


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