Anotherstory2
お母さん。花畑を抜けた先、森の奥には一軒の家がありました。
庭にはあの花畑と同じ花が咲いており、小さな湖もあった。
手入れも行き届いていて素直に綺麗だと思った。
玄関に向かう。
そこには看板が立てかけていた。
『喫茶Polvorone』
「喫茶…ぽ、ぽ~、ぽるぼろね?………へぇ喫茶店か」
こんな小洒落た喫茶店見たことも入ったこともない。
…さすが夢。
「てか閉まってんじゃん」
扉にはCloseの看板。このくらいの英語は読める。
店の外観もそうだが、この扉も凝ってある。
扉自体は普通だが、扉にはまっているガラスの模様だとかノブの彫刻だとかがなんかすごい。
一言で言うなら綺麗。
専門家じゃないから細かいことなんて分からないけど。
中も綺麗なんだろうな。
どうにか見れないか扉のすりガラスから覗いてみる。
「う~、やっぱよく見えない…」
「どうなされました」
「ひっ!!」
後ろから声がした。慌てて振り向く。
背の高い男がすぐ後ろに立っていた。服装からしてこの店の人間だと分かる。
男からしたら私は店を覗き見ている不審者だろう。
「す、すいません。決して怪しい者では…ちょ蝶追いかけてたら転んで道に迷って…」
私の弁解にならない弁解を聞き男はクスリと笑った。
思わず呆けた私に男の手が伸びてくる。
やばい殴られる。
瞬間的に目をつぶったがなんともない。
ゆっくりと目を開けると、男の手は私の背後にあるドアノブへとかけられており扉がすっと開いた。
「こんなところではなんですから、どうぞ中にお入りください」
「は…はい」
促されるまま私は店へと入った。
あ、やっぱ店内も綺麗。
「喫茶ポルボローネへようこそ」
あの看板、ポルボローネって読むんだ。