Anotherstory1
「う~ん…………は?」
目が覚めるとそこはお花畑だった。
「いや、ないわー。」
どこのファンタジーですか。
もしかして私死んだのか?
いや、昨日は確実にベッドに入って寝た、…はず。
「じゃあこれは夢だ。」
夢の中でこれは夢だと気づくことがある。
つまりはこれもそれと一緒。
「まいどりーむわーるど。」
お花のベットにだーいぶっ。
そうです。Diveです。
ふと昨晩、寝る前にママに言われたことを思い出す。
「ホント、あなたの頭にはお花畑でも詰まってるんじゃないの?」
ああママ、あなた様のおっしゃるとおりでございます。
返す言葉もございません。
「にしても、見たことない花。」
こんな花、図鑑にも載っていないだろう。
どれも綺麗で甘い香りがする。
寝転んだまま空に手を伸ばす。
その時頭上をひらひらと黒い影が舞った。
音を立てて起き上がる。
緑色に光る宝石のような蝶だった。
「…綺麗。」
影の主はそのまま花畑を抜け森の中へと向かっていった。
私の体は自然と蝶を追いかけた。
せっかくの夢の中、自由に散策するのも悪くない。
ひらひらと蝶は森の小道を飛んでいく。
時折光を浴びる羽がキラキラと輝いた。
私はそれを夢中で追いかける。
「ちょっと……待って…。」
声をかけたって蝶が止まるわけもないんだけど。
「わっ!!」
やってしまった。
木の幹に足が引っかかり思いっきり前にこけた。
夢の中なのに痛い。
そして走っててこけるとか恥ずかしい。
思わず周りを見回す。
「…って、私一人なんだから誰も見てるはずないか。」
気を取り直して立ち上がる。
蝶はもうどこかへ飛んでしまった後だった。
一体どれくらい追いかけていたのだろう。
振り返ってみても最初にいた花畑は見えない。
蝶はいなくなったが戻っても仕方ないのでふらふらと歩き出す。
前方に光がさした。
現れたのは一軒の家だった。