第三章 ある夜の星の風祭り
暗く長い小路を通って祭りの喧騒の中へ戻る。提灯や街灯の明かりの下でおじさんのくれた石を眺めて見ると、その石は薄い緑に輝いていた。
「なんて綺麗……」
ほうっと、ため息の出る、そんな美しさ。私は石に見とれながらキネムの後について歩いた。
みず屋に着くとキネムに倣って食べ終えたゼリーのコップを台へ置く。
マダムは「ずいぶんとゆっくりとしていたね」と不敵な笑みを見せた。
「何か分かりましたか?」
自信満々の顔のマダムは「私を誰だと思っているの? バッチリさ」と煙草を口にした。
「月光市場に行きな。確かなことは分からないけれど、そこで何かしら見つけると出てるよ」
「月光市場?」
口にしながらキネムを見る。
「月光市場か……。歩いてはいけないな」
「そんなに遠いの?」
「電車に乗らなきゃ。駅で言うと……確か三つ分くらいだ」
マダムがライターで煙草に火をつける。
「遠かろうが近かろうが関係ないだろう。私の占いを無駄にする気なのかい?」
「そうだね。亜子、行ってみよう。マダム、ありがとう」
「マダムさん。ありがとうございます」
お礼を言って頭を下げるとマダムは「ふん」と鼻を鳴らして、細く長く煙草の煙を宙へ吐いた。




