主従逆転 下剋上
姫:では本日のセッションをはじめますね。
ミザリィ:今日はSFなのね。
ヒサシ:このサイコロ、チンチロリンでもするのか?
サラマンダー:お菓子できたぞ。
本日のセッションは魔法が復活した科学世界を舞台にした物語。
攻撃的ハッカーにして電子の魔法使い、『ミス・オリジナル』。
三人のコネクションである『チャーリー』。
切り込み隊長であるサイバー侍『神聖皇帝』。
そしてチームのまとめ役のサイバー魔導士、『魔王』。
三人がちょっといかれた売人から色々ちょろまかし、一発楽しんでいるところにチャーリー登場。
「貴様ら、またダラダラしているのか。仕事もってきてやったのだが」
魔王「ふにゅにゅ。チャリだ~!」
チャーリー「私は自転車ではない。チャーリーだ」
神聖皇帝「チャーリー、今は電子ドラッグが主流なのだぞ。あちらのほうが快楽が深い。しかるにこの古典的な享楽を楽しむのは一種の外連と」
オリジナル「煩い。せっかく食品会社のメインコンピュータに入ったところなのに」
外は雨の中、ずぶ濡れのコートを拭きもせずチャーリーは肩をすくめる。
「仕事の依頼だが」「断る」「面倒」「ダラダラして一生過ごしたい。何もせず尊敬されて安全に生きたい」
はぁあああああっ。チャーリーの長い長いため息が湯気となって安酒場跡地の廃屋天井に広がっていき、周囲の天井の染みと同化していく。
「世界を救ってくれ。
この『赤の宝玉』を守るんだ。
対になるのは『青の宝玉』。
かたや魔力を無力化し、かたや無限の魔力を生み出すと言われている秘宝だ」
「報酬は」「お前たちの命」「ナイスジョーク。引き受ける代わりに今夜は一杯付き合ってよ」
ウインクを歳相応に可愛らしく行うゴシックロリータ衣装の少女。
パンキッシュな衣装に身を包む妖艶な美女は銃の手入れをはじめ、脳髄と電子世界を直結するハッカーはさっそく行動を開始した。
冒険は。雨上りのあとで。




