TRPGは体験するのがいちばんさ
「こ……これは」
ざわ……ざわざわ……。
「じゃ、邪教の儀式か」
ざわ……ざわざわ……。ざわ……ざわざわ……。
「いえ、普通に必要な道具を出しただけですが」
ざわ……ざわざわ……。
ざわ……ざわざわ……。
ざわ……ざわざわ……。
一ミリの太さの製図用シャープペンシルは鉛筆削り要らず。
絵も描けて書き心地良好消しゴムあたりも滑らか。
作者の友人よ。家族よ。いい加減かえしてくれ。
消しゴムは柔らかくてシートを傷つけないノンダストタイプ。
何度も書いたり消したりするうえでは便利な代物だ。
昨今はタブレット端末をキャラクターシートに使うこともできるので過去の技術である。
計算もやってくれるし、位置関係を示す地図もメタルフィギアも要らない。
履歴書を思わせるコピー用紙。
人を撲殺できるサイズの分厚い邪本。
謎の音楽を奏でる小さな小人が入っていると思しき箱(DVDぷれいやー)。
その他チャート類が印字されたマスタースクリーンなる覆い。
ファンタジーの世界に生きる三人にはいろいろ面妖な物体である。
「解るか。神聖皇帝」「解らん。魔王。警戒しろ」
二人とも妖術・『コタツdeミカン』の魔力にとりつかれ、今や一歩も外に出られぬ身である。なんと恐ろしい魔術?! 世界を滅ぼす二人をもとらえて離さぬその悪魔の兵器は更なる奥義を出してきた。
「アイスクリーム。美味いぞ」ぼそっと告げて差し出すオリジナル『ディーヌスレイト』。
その冷たい暴力的な刺激。滑らかな舌触り。
己の舌がなまめかしくいやらしい動きを行うのを防ぐことができず二人はさらに自堕落の海に堕ちた。陥落である。
「柔らかい……」「溶ける……」別の意味に読者さんが取られるから帰ってきて?!
既に二人の表情は『むにゅ~』である。威厳のかけらもない。
我々の世界だと『赤の書』に見えるかの本は洒落にならない大きさと重さで魔王を圧迫した。
平然と『るーるぶっく』を読む神聖皇帝は結構いい趣味をしている。
「ふむ。これがこの『げえむ』の世界の理か」
「重い。重い~」ぱたぱた。もがく姿は結構可愛い魔王様。
「解説するより、体験してみるのが一番わかって楽しいですよ」
GMはそう述べた。
「どうせもやしが最後の宝物だろう。やらん」「な、なんですって~!?」
四人の破壊魔法がさく裂した。
世界が滅ぶのでやめてほしい。
作者註:
TRPGではごっこ遊びの最終手段『殴りあって解決』を平和的にダイスで決めるよ!
しかもTRPGの目的は勝つことじゃなくてみんなで楽しむ、物語の成立を楽しむことなんだ!
だからこいつらの真似をしちゃいけないよ?!