GMな人は小説家を夢見る
軍隊がその村を訪れたとき、既に住人はもぬけの殻。
「くそ。感づかれたか」指揮官は舌打ち。
手に握るたいまつはヒトの血をすえず、不満げに煙をくすぶらせ、剣は子を守らんと腕を抱えて悲鳴をあげる女の身体を引き裂けず不満げに鞘に収まる。
「でもまぁガキどころか幼女なんて抱けませんぜ」
ゲラゲラと笑う山賊まがいの傭兵たち。
「油断するな。相手は『子供たち』だぞ。奴らは我々を全滅させることなど訳もない」
とはいえ、数の暴力には敵わないはずだ。隠れても見つけることも容易のはずだ。
もっとも、相手が『子供たち』ならば大分違う。
「深追いはよせ。引き揚げるぞ」
指揮官は賢明な判断を下す。戦利品を期待していた傭兵たちには受け入れがたい案だが。
「待ってください。旦那。せめて村の戦利品だけでも漁らせてくださいや」「却下する」
村すべてが罠の塊になっているかもしれぬのにそのような命令は下せない。
などというNPCたちの思惑は現在コタツで眠る魔王たちには関係ない話である。
「ね、ね、だから今凄いの!」ぐだを巻くGM様だが誰も聞いていない。
知らないうちにGM様の脳内だけで設定ができていく。
GM様は『きゃ~』と素敵妄想に囚われ、プレイヤーキャラクター三人を主役にした小説を書きだした。
絶対エタるか、マイナー作品になる。




