パンツとふんどしとバスタオルで戦う冒険者
「もうっ?! もうお嫁にいけないッ?!」
扇情的な肉体をかろうじてバスタオルで隠すミザリィ嬢だが太ももは隠し切れない。
それに腰が細すぎていろいろと外れそうでヤバい。
ヒサシはまぁ良いとして問題はサラマンダーだ。
肩にかけた布を尻に回して交差。残りはクルクル巻いてゆったり。
正しくは腰巻のはずなのだが『ふんどし』である。
「ふんどしはシルフィードなのにっ?!」しらんがな。
武器はかろうじて持っているがこのような格好で戦闘行動は行えない。
特にミザリィ嬢は動くだけで魅惑的な四つのコブが身体を辛うじて覆う布を弾き飛ばさんと試みる。
男二人の視線がちらちら。不可抗力だ。
「では今日のセッションですが、無事青の魔法使いから赤き宝玉を死守したみなさんは様々なツテを頼り、赤き宝玉の正当な持ち主であるこの国の侯爵家に向かいます。王家とも関係のある由緒正しい家柄で、先の迷宮探検競技の主催者でもあります」
迷宮探検競技においてまったくノーマークの冒険者が大活躍、その冒険者は先の侯爵に騙されて迷宮に放り込まれた犠牲者であったため彼を逆恨み。
「まて、正当な怒りだと思うのだが人はそう思わないのか」「魔王よ。とりあえず押さえろ」
迷宮探検競技のどさくさで弑逆を試みたらしい。
そして場所は迷宮であり、迷宮はある種の魔生物である。
侯爵様は迷宮に『食べられた』形となり、捜索の結果も空しく。
「どうして貴族様がたが八方探しても見つからなかったのに、私たちにこの宝玉が見つかったのかしらね」「知らん」「迷惑な」
プレイヤーキャラクターたちの苦悩は尽きない。
そしてこれらの騒動の発端は青き宝玉の後継者であるこの国の公爵らしい。
王家の長子であったがあまりの魔力の強さと野心の強さにより継承権を弟に譲る形になったということだが。
「つまり、あの魔法使いはこの国の重要人物か」「いえ、表向きは『病気療養中』で外には出ることが叶いません」
瞬間移動の魔法で出入りは自由だが。
「しかし、なぜ青の宝玉を公爵が」「ああ、こうしゃくこうしゃくワケわからねぇ?!」
ヒサシ、気持ちはわかるぞ。発音も同じみたいだし。
「長子だからということらしいです。単体ではなんの力もないのでただの宝石とみなされるようになって長く、彼が死ぬまでの『貸出』となっているもようです」
苦しい言い訳だな。GMさん。
「じゃ、今日の我々の仕事はこの宝玉を正当な持ち主に返却すること。か」
しかし、全裸に近い恰好である。三人はあっさり兵士の職務質問を受ける羽目になったのであった。




