エピローグ
「なあ、カノ」
「なによ?」
織御島隼坂町、休日の芥川家……そのリビングで俺とカノはグダグダ過ごしている。
「この前の隼町内会の事なんだけどさ、俺がリサを押さえている必要ってあったのか?」
「はあ? あんたってバカすぎて本当にバカね! あんたがリサに卑猥に抱き着いてたから、あたしの攻撃が当たったんでしょ!?」
「い、いやまあ」
言えない……お前の攻撃はグラウンドではなく、校舎に直撃したのだと。まあカノの攻撃の余波は凄まじく、織御島を地図から消滅させるほどだったため、結果的にはリサを倒しはしたが、攻撃は当たってはいないのだ――ちなみに、織御島は寝て起きたら元に戻ってました。
つまり俺が言いたいのは、カノの奥の手は俺が居なくても問題なかったんじゃないか? ということだ。つーか、あんなに爆発するならどこに撃ちこんでも勝てていた気がするのは、この俺の気のせいだろうか――くっ、頼むから気のせいであっていてくれ! じゃないと俺の頑張りの意味が……、
いかん! なんかこれは考えてはいけない部類の事のような気がする……って待てよ。
「誰が卑猥に抱き着いてたんだよ!?」
さっきは普通に聞き流してしまったが、良く考えたら聞き流していい事じゃないぞ!
「真夜から聞いたんだからね! リサに抱き着いて、顔をリサの髪に埋めて……に、匂いを嗅いでたって!」
「してねえよ! 誰だよ、そんな事言ったの!? 絶対に俺に悪意があるよね!」
「はあ!? だから真夜から聞いたって言ったでしょ! あんたバカすぎなんだけど!」
俺達が言い合っていると、外から……玄関の方から何やら声がしてくる。
「なんで、お前がここに居るんですか?」
「うむ、夏目と仲直りでもしようと思ってな」
「意外ですね、カノが男と同棲するのは認めないのでは?」
「それは変わっていない。しかし、とても素晴らしい方法を思いついたんだ」
「それでその大荷物ですか? なにやら凄く嫌な予感がしますが、所詮は他人事なのでどうでもいいです」
この声は……リサと真夜か?
「ちょっと! あたしの話を聞きなさいよね! どこ見てんのよ!?」
耳元で聞こえる怒声、引っ張られる俺の耳。
「痛っ……っちょ! いたたたたたたっ……痛い、放せバカ! 千切れる!」
「誰がバカよ! あたしがバカだったら、世界中の人みんなバカなんだからね!」
「お前だよ! お前がバカなんだよ!」
俺はいつの間にか隣に立って居たカノを見上げながら思う。
ほんと……賑やかな島だな。
一応第一部完結みたいな感じです。
楽しんでいただけだしょうか?




