第41話 心中
正人の腹からは赤い液体が流れ出していた。
「くっ・・・」
正人は苦痛の声をあげた。
「親父!」
達也が駆け寄った。
「来るなっ!!」
正人は怒鳴り、達也が止まった。
「お前ら、何してやがる・・・先に行け・・・ここは俺に任せろ・・・」
「でも親父・・・」
「何だ?お前はそんなに親父が信用できないか?」
正人は腹を抑えながら笑っていた。
「達也・・・お前はお前の使命を果たせ。」
「・・・・・・分かった。」
「行けっ!!!」
正人が掛け声を掛け、皆が一斉に走り出した。
10人が再びレーザーガンを構えると、正人はゆらりと立ち上がった。
10人が引き金を引くと同時に正人がかがみ、地面を蹴って距離を縮めた。
正人は9人をあっという間に倒してしまった。
「よう、確かお前は・・・カール、とかいったか?」
「その通りです。」
そこに立っていたのは前にリンの隣に居た男、カールだった。
「もう何もいうことは無いな?」
「あなたこそ。」
正人はカールがそう言った瞬間、蹴りを繰り出した。
カールはそれを避け、レーザーガンを放った。
正人は思いっきりかがんでそれを避け、カールの腹に向かって殴りかかった。
カールはそれを避けようともしなかった。
正人の手はカールの体を貫通した。
「何故だ?何故避けなかった?」
正人は手に生暖かさと捕まれるのを感じた。
「ふっ・・・俺の目的はあなたを殺すことですよ?」
カールはそう言ってレーザーガンを構えた。
「なっ!?」
正人は避けようとしたが手がカールの体を完全に貫通し、さらに捕まれている為逃げられない。
「俺と心中しようってか?」
正人は笑った。
「そういうことです。」
カールも笑い、そして引き金を引いた。
そこには10人の若者の死体と正人の死体だけが残った。