第39話 空間移動
慎之介の部屋の中に大蔵正人、大蔵達也、荒木慎之介、小泉あんな、そして荒木燃の5人が集った。
「皆、いよいよ敵陣に乗り込みます。これからは気を引き締めていきましょう。」
慎之介はそう言ってふすまを開いた。
そこには縛られている一人の男がいた。
「あ・・・あにき?これは・・・?」
燃は戸惑いながら訊いた。
「敵方の偵察だ。」
「で?こいつをどうするのさ?」
「師匠。」
慎之介があんなを呼んだ。
「はいは〜い。」
あんなはそう言ってその男に近づいた。
首に手を当て何かをした。
燃と慎之介は何をしているか分かっている風であった。
あんなはしばらくすると自分の喉に手を当てた。
慎之介が通信機を渡すとスイッチを入れた。
「こちらカイ。偵察が終りました。」
突然可愛らしい少女から男のような声が出てきた。
大蔵親子はかなり驚いていた。
「転送お願いします。」
あんなは通信機のスイッチを切った。
「な・・・なんだよ今の・・・・」
正人が言った。
「そんなこといってる場合じゃないです。皆構えろ!」
慎之介が突然大きな声をあげた。
正人は戦闘体制をとり、あんなと燃は体にエネルギーをめぐらし、慎之介は気を練っていた。
燃は達也を見て驚いた。
達也は拳銃を持っていた。
「なっ!?達也お前それ・・・」
「話は後!」
達也に言われて燃は慌てて構えた。
上から光が降ってきて、燃たちの周りに暴風が吹いた。
周りの風景が変わり、虹色の世界に変わった。
燃たちは重力を全く感じなくなった。
だが突然、燃たちにものすごい圧力がかかった。
「うおおお!」
「ぐああああ!」
「死ぬうううう!」
「うえ〜ん、潰れちゃうよお。このままじゃティッシュみたいになっちゃう〜〜〜」
「うるせえ!お前は潰れてろ!どうせ、あんまり変わんないだろ!うおっ・・・喋るんじゃなかった・・・息が・・・」
「燃くん、助けて〜〜〜」
「ちょっ・・・師匠・・・まじで・・・ヤバイから・・・」
「え〜何?聞こえないよお〜」
約一名、苦しそうではないが、皆苦しそうな顔をしていた。
突然風景が変わった。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
燃たちは苦しみから解放された。
「ここは・・・」
燃は首だけを上げ周りを見渡した。
そこは機械だらけで人がたくさん座っていた。
おそらく何かの管理室か何かなのであろう。
だが、一つだけ問題があった。
「なあ・・・兄貴・・・ここって・・・」
燃は嫌な予感がしていた。
「ああ・・・おそらく敵の本陣だ。」
その時、警報機が鳴らされた。