第38話 決戦までの一日
燃がテレビを点けると、空の割れ目がニュースになっていた。
「ふう・・・」
燃は特に面白そうな番組はやっていなかったのでテレビを消した。
燃は仰向けに寝っ転がり、しばらく天井を見上げることにした。
正人は相変わらずタバコを吹かしていた。
何もせず、ただ壁を見つめている。
「おーい、親父!」
達也が待合室に入ってきた。
「何だ?」
正人は視線を達也に向けた。
「久しぶりにゲーセン行こうぜ?どうせ暇だろ?」
「親をゲーセンに誘う息子が世の中にいるか。」
正人は面白そうに笑いながら言った。
「まあ、普通の親じゃないからなあ・・・」
「お前、それどういう意味だ?」
「いやいや、特に意味はねえよ。」
達也は楽しそうに言った。
「全く・・・変なやつだな・・・」
正人は呆れたように言ってから立ち上がった。
「親父に似たんだよ。」
達也は笑いながら言った。
「はっ!お前も言うようになったなあ。」
正人も楽しそうに言った。
二人はそんな無駄な会話をしながらゲームセンターに向かった。
慎之介が目を覚ますと、隣にはあんなが寝ていた。
慎之介は起き上がり、あんなをベットから落としてみた。
「ふぎゃ!」
あんなは変な声をあげた。
それを見て慎之介は声をあげて笑った。
「何かみんな私に対してひどくない?」
あんなは率直な意見を述べた。
再びベットに上って来た。
「勝手にベットに入ってくるからです。」
慎之介は素直に答えた。
「おじさんも同じことしたんだよ?」
「正人さんにもの間違いでしょう?」
「うっ・・・」
あんなは体全体で『うっ・・・』を表現する。
「で?何のようですか?」
慎之介は呆れたように訊いた。
「特に何もないよ?」
あんなは笑いながら答えた。
「・・・・・・」
慎之介は無言であんなの体をポンと押した。
「あ、あわわわわわわわ・・・ふぎゃ!」
あんなはしばらく頑張ったものの結局はバランスを崩してベットから落ちた。
「何するのさあ・・・」
あんなは頭を抑えながら言った。
「あははははははっ。」
慎之介は声をあげて笑った。