第34話 修行
燃はあんなの顔に向かって掌低を放った。
あんなはそれを後ろに転びながら避け、燃に向かって蹴りを放った。
燃はそれを伏せて避けた。
「燃くんのH〜〜。」
あんなは悪戯な笑みを浮かべていった。
「なっ!?」
燃は一瞬怯んだ。
あんなはそれを見逃さず、燃の懐に入り込んで、突進をした。
「ぐはっ!!」
燃は数メートル吹き飛んだ。
「ちゃんとこういう攻撃にも慣れとかないと駄目だよ〜」
あんなは人差し指を立て、横に振りながらいった。
「げほっ、げほっ。」
燃は苦しそうに血を吐いていた。
「ありゃりゃ・・・」
あんなは気まずそうに頬を掻いた。
「はあ・・・はあ・・・・・・ふう。」
燃は何とか落ち着いたようだ。
「燃くん辛そうだねえ。」
あんなは心配した顔つきで言った。
「はあ・・・まあ、そうですね・・・辛いと言えば辛いんですけど、大分慣れてきましたね・・・」
燃とあんなが修行し始めてから、すでに10日が経っていた。
「そう・・・」
あんなは暗い顔になった。
おそらく、ひどくなったのは自分のせいだと思い、責任を感じているのであろう。
「大丈夫ですよ。この生活には俺も慣れてきましたし、あれは師匠のせいなんかじゃありません。」
燃はそう言ってあんなの方に手を置いた。
だがその手をあんなに捕まれた。
「なっ!?」
その途端、燃の中で世界が反転し、燃は背中に衝撃を感じた。
「ぐっ!」
燃はかろうじて受身を取った。
「あははっ。また引っかかった。」
あんなは楽しそうに笑った。
「師匠〜〜〜」
燃は肩を落としながら言った。
「駄目だよ?相手に容赦しちゃ。」
あんなはそう言って、手を差し伸べた。
燃はその手をとり、あんなを投げた。
「うわっ!?」
あんなは軽いのでかなり吹っ飛んだ。
ドサッと言う音がして地面に落ちた。
「よし。」
燃は嬉しそうな顔をした。
「うわ〜ん。燃くんに手を差し伸べたのに投げられた〜。」
あんなは泣きながら声をあげた。
「容赦するなって言ったのは師匠でしょう!」
「うっ、ひっく、ひっく・・・」
本気で泣いているようだ。
「ああ、もう・・・大丈夫ですか?どこが痛いんですか?」
「うっ・・・うっ・・・膝・・・」
あんなは泣きじゃくりながらそう言った。
「膝ですか・・・」
燃はあんなの膝を覗き込んだ。
その途端、膝が燃に向かってきた。
燃はそれをまともに食らってしまった。
「ぐあっ!!」
燃は宙に浮かび、そして落ちた。
「いてえ・・・」
燃は鼻を抑えながら言った。
「油断は禁物だよ?」
あんなはそう言ってウィンクをした。
実は全く泣いていなかったのだ。
「ひでぇ・・・」
燃はそう言って仰向けに倒れた。