第31話 集合
「キンコーン」
と夜中にチャイムが鳴らされた。
「全く誰だよ・・・」
燃は布団から出て不機嫌そうに時計を見ると午前2時丁度だった。
燃はカギを開けてドアをゆっくりと開けた。
「よお。」
そこには燃の兄の荒木慎之介がいた。
「兄貴!?どうしたんだよこんな時間に・・・」
燃は不意を突かれて驚いた。
「いやあ、ちょっと知らせたいことがあってさ。」
慎之介は頭を掻きながら言った。
「例の事件のことか?」
燃は声を小さくしていった。
「そうだ。」
慎之介も真面目な顔をして言った。
「正人さんと師匠、それから達也君もここに呼んできてくれ。」
「達也も?何で?」
「それは後だ。とりあえず呼んで来てくれ。」
「分かった。」
燃はそう言うとエネルギーを足に送りこみ、民家の屋根の上を走りながら皆のところへ行った。
燃はまず正人の家に行った。
「正人さん正人さん!燃です。」
チャイムを鳴らしても出てこないので燃はドアを叩いて名前を呼んでみた。
正人と達也はそれでも出てこなかった。
「くそっ!」
燃はやけくそになって、ドアの取っ手を引いてみた。
すると、ガチャリと案外簡単に開いてしまった。
「な・・・なんて無用心な・・・」
燃はお邪魔しますと言ってから家の中に入っていった。
「正人さんの部屋は・・・ここか。」
そこには院長室と書いてあった。
「まさとさん、開けますよ!」
返事がない。
燃は静かにドアを開けた。
そこにはベットがあり、人が二人寝ていた。
「ま・・・正人さん?」
燃が見たものは正人とあんなが同じ布団で寝ている所だった。
正人は気配を感じたのか目を覚まし、起き上がった。
「よお、燃。どうしたそんなところで固まって?」
「いや、正人さん・・・なんで師匠が・・・?」
正人は下を見下ろす。
「またこいつ寝ぼけやがったな。」
正人はそう言ってあんなをベットから落とす。
「ふぎゃ。」
あんなは変な声をあげた。
「こいつ寝ぼけてたまに俺の部屋と自分の部屋を間違えるんだよ・・・」
正人はやれやれと首を横に振った。
「あれ・・・?師匠ってここに住んでましたっけ?」
燃は意味が分からなかった。
「ああ。それはだな・・・こいつが勝手に空いてる部屋を使って住み着いてるだけだ。で?何か用か?」
「ああ、そうだった。え〜と、俺の兄貴がなにやら例の事件について知らせたいことがあるらしくて、
正人さん、師匠、達也の三人に俺の家の集まってほしいとのことでして・・・」
燃は簡単に説明した。
「・・・分かった。じゃあすぐ行く。」
正人はそう言って支度をし始めた。
「おい起きろ。」
と言って正人はあんなを蹴飛ばした。
「ふにゅ・・・」
と言ってあんなは目をこすりながら起きた。
「あれ・・・私は何をして・・・あっ!燃くんだぁ・・・」
そう言って燃に抱きついてきたかと思うと、そのまま再び寝始めた。
「・・・はあ。」
結局あんなのことは正人に任し、燃は達也を起こした。
燃と達也が正人の部屋に戻るとあんなが頬を腫らしていた。
「う〜・・・おじさんがつねったぁ〜〜」
とあんなは涙を流していた。
「お前が全然起きねえからだ!」
正人は強行手段に出たようだ。
「とりあえず行くぞ。」
と言って正人は燃の家に向かった。