第29話 エネルギーと気
燃の格好と衝撃波が飛んで来た方向からすると漆黒の衝撃波は燃が放ったものだろう。
「許さない・・・許さない。許さない!許さない!!これ以上誰かを殺すのは許さないっ!!」
燃はそう叫んで再び手に漆黒のオーラを纏った。
「くっ・・・!!燃くん、ごめん!!」
あんなはそう言ってからものすごい衝撃波を燃に向かって放った。
燃は十数メートル吹き飛んだ。
「おじさん!!燃くんを縛り付けてから看病して!!」
あんなは叫んだ。
「わ・・・分かった。」
正人は燃のところへ向かっていった。
「く・・・くそっ・・・」
シンの腕は変な方向へ曲がっており、あちらこちら皮膚が破け、血が滴り落ちていた。
「一旦引く・・・転送頼む・・・」
シンは無事な方の手で通信機を取り出しそう言った。
すると嵐が起き、シンの姿は無かった。
念の為戦闘の構えを取っていたあんなは緊張を解いた。
「燃くん、大丈夫!?」
あんなは心配して駆け寄った。
燃からは返事が聞こえなかった。
どうやら気絶をしているようだ。
「何とか応急処置は終ったぞ。とりあえずこれで死にはしない。」
正人は疲れた顔で言った。
「ありがとう・・・おじさん。」
あんなはこうなったのは自分の責任だと思っているのか、かなり落ち込んでいた。
「後は心だが・・・」
正人は心配そうな顔をした。
「そこは燃くんに頑張ってもらうしかないよ。私達に出来るのは燃くんを応援するくらいだよ。」
あんなは苦しそうな顔をしている。
「そ・・・そういえばよ、漆黒の衝撃波は何だったんだ?」
正人は話を変えようと別の話題を切り出した。
するとあんなは余計に暗い顔をした。
「あれが、気とエネルギーを合わした結果だよ・・・」
「なっ!?・・・あれが・・・」
正人は驚いた顔をした。
「そう・・・これを見て・・・」
そう言ってあんなは燃の腕を指差した。
「何!?これは・・・」
燃の腕は所々皮膚が弾けた跡があった。
「そう・・・あれを使うと体が耐え切れなくなってどんどん壊れていくんだ。」
あんなは燃の腕を見ながら言った。
「成る程な・・・」
「でも・・・燃くんが使ったからこれだけで済んだんだよ。」
「どういうことだ?」
「私が使ったら体全体が消えてなくなる・・・」
あんなは自分の手を見つめながらそう言った。
「何でだよ?」
正人はあんなが不審なことを言い出したので、一応聞いてみた。
「知らない・・・何故だか燃くんは使っても平気だったんだ。前に一度、燃が悪戯で合わせたことがあって・・・
死にはしなかったんだけど・・・すごい傷を負ったんだ・・・」
「なるほど・・・」
正人は燃の腕の傷を見ながら呟いた。