第21話 師匠
燃は歩きながら後ろを見た。
正人は嬉しそうに後ろからついてきている。
「一応連絡しましたけど、留守電でしたから居るかどうか分かりませんよ?」
「いいぞ。いつまででも待ってやる。」
燃は深いため息をはいた。
辺りはもうすっかり森の中である。
「しっかし、こんなところに人が住んでるとはなぁ・・・」
正人が呟いた。
「こういうところが好きな人なんですよ。」
燃は懐かしそうに言った。
「そういや、お前いつ修行してたんだ?」
正人が思い出したように言った。
「えっと・・・一年前ぐらいですかね・・・」
「お前・・・一年で修行ってどんだけだよ・・・」
正人は呆れた顔をしていった。
「そりゃ、何回か死にかけましたよ・・・」
「どんな師匠だよ・・・」
「見れば分かります。・・・あっ、見えてきましたよ。」
燃が指した方向には木で立てられた、家があった。
「本当にこんな森の中にあったんだなあ・・・」
正人が感心していると燃が家のドアに近づいていった。
「師匠ー!」
燃が家に向かって叫んだ。
返事がない。
「師匠ー!お客様です!居たら出てきてください!」
燃が何回か叫ぶと家からドタドタという音がしてきた。
しばらくするといきなりバタンッとドアが開いた。
「燃く〜〜んっ!!」
何かがそう叫んで燃に突進をかました。
「ぐはっ!!」
燃はたまらず吹っ飛んだ。
燃にしがみついていたのは金髪でロングヘアーの見た感じ13歳ぐらいの女の子だった。
「あ・・・あのー、お嬢さん?」
さすがの正人も不意を打たれたようでためらいながら話しかけた。
「燃くん!久しぶりだね!!」
女の子は正人を無視して元気良く燃に挨拶をした。
燃は苦しくて声が出ないようだ。
「あのー」
正人はもう一回話し掛けてみた。
「何?」
今度は振り返ってくれた。
「とりあえず燃の師匠と話したいんだけど、燃の師匠って今居るのかな?」
正人は小さい子に話し掛ける口調で聞いてみた。
「何言ってるのおじさん?私が燃の師匠だよ?」
女の子は不思議そうに言った。
「なっ!?」
正人は驚いて燃を見る。
燃はまだ声が出ないようでコクコクとうなずいた。
「じゃあ、自己紹介しよ〜。私の名前は小泉あんな。一応日本人。燃くんの師匠をやってます。」
正人は開いた口がふさがらなかった。