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第19話 油断

正人は燃のいる病室を出たあと、1人でにやりと笑った。

燃は部屋の天井を見上げ、独りでに笑いがこぼれた。

正人に自分の秘密をばらして少し安心したのである。

それまでは何か悩んでも自分で解決をするしかなかったのである。

しかし今は正人が相談相手になってくれる。

そのことにより燃は大きな安心感に満たされているのだ。

1週間後、燃は無事退院した。

「は〜。久々の学校か・・・」

燃は正直、行きたくないと思っていた。

さすがに1週間も休んでしまうと、行く気がなくなってしまう。

燃は登校途中で大きなため息をはいた。

空は雲に覆われていた。

学校の休み時間、燃が机に突っ伏して寝ていると、達也がいきなり起こしてきた。

「なあ、燃。俺の親父がどこに行ったか知らねえか?」

「はあ?またかよ・・・正人さん、よく居なくなるなあ・・・」

達也の父、大蔵正人はたびたび居なくなるのだ。

「なんか最近変わったこと無かったか?」

達也が真面目な顔で聞いてくる。

「まあ、変わった事と言えば・・・」

燃は非常に嫌な予感がした。

「ど・・・どうした?」

達也が心配そうに聞いてきた。

「正人さんは多分何とも無いと思う。」

「?」

達也は意味が分からなかった。

「そっか・・・あの知りたがりの医者があのまま引き下がるわけが無かった・・・」

どうやら燃はひどく落ち込んでるようだった。

「どうしたの?」

横から渡辺洋子が口を出してきた。

「いや・・・なんか俺の親父が居なくなったって言ったらいきなり落ち込みだしたんだよ。」

達也が首をかしげながら答えた。

「ふ〜ん。」

洋子が燃の顔を覗き込もうとした瞬間、燃の携帯がなった。

携帯の画面には大蔵正人と書いてあった。

燃が開いてみると今すぐ来いとだけ書いてあった。

「遅かった・・・・・・」

燃は一言だけ呟くと立ち上がった。

「ごめん、俺早退する。」

燃はそう言うと同時に走って教室を出て行った。

「なになに?どうしちゃったの燃?」

洋子が状況がつかめず、達也に聞いた。

「知らねえ・・・俺に聞くな。」

達也も状況がつかめていないらしい。

燃は正人のもとへ全速力で走っていった。

「よお、燃。」

そこには不適に笑う大蔵病院の院長、大蔵正人が資料を持って立っていた。

「何のようですか?」

燃は嫌な予感がしながらも聞いてみた。

「ちょっとお前のもう1人の師匠について聞きたいんだよ。」

正人は楽しそうに笑いながらそう言った。

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