第18話 真実
「正人さんは気功とかって信じますか?」
燃は真剣な顔でそんなことを言い出した。
「気功?・・・どうだろうなあ・・・信じてるような、信じてないような・・・」
「この世界の全てのものには気の流れというものがあります。それを操るのが、気功というものです。」
「成る程!お前はそれを使っていたのか!」
正人がそう言うと燃は首を横に振った。
「少し違います。エネルギーの使い手って知ってます?」
「エネルギーの使い手?・・・どっかで聞いたことがあるな・・・」
「エネルギーの使い手とは、自分の持っているエネルギーを自在に使いこなす者のことです。」
「おお!そうだ思い出した!俺も聞いたことがあるぞ!確か裏の世界の伝説にあったような・・・」
燃はうなずいた。
「その通りです。それが裏の世界の一般で知られている、エネルギーの使い手です。」
「何だその一般って?」
「本当のエネルギーの使い手はエネルギーと気、両方を使いこなす者のことを言います。」
「ふ〜ん。」
正人はいまいち分かっていないような表情を見せた。
「じゃあよ、実際に見せてくれよ。言葉だけじゃ分かんねえよ。」
「・・・・・・はあ・・・分かりました・・・」
燃は呆れた表情をしてそう言った。
なぜなら、おそらく正人は理解しているのだ。
だが見たいので分からない振りをしているのだ。
燃は周りの気の流れを読み取り、それを自分の手に収束した。
すると、燃の手は黄色い光を帯びた。
「これが気功です。」
燃はそう言った。
「ほ〜お・・・」
正人は面白そうに見ていた。
燃は次に丹田からエネルギーを手へと流し込んだ。
すると、燃の手の周りの空間は真っ赤に染まった。
「これがエネルギーです。」
「へ〜え。」
燃は部屋の隅を見て黙って手を横凪に振るった。
すると、手に纏っていたエネルギーは燃の手から離れ、衝撃波を起こした。
ガシャンという音を立てて蜂のような機械が崩れ落ちる。
「早速来ましたね。」
「ああ・・・偵察みたいだけどな。」
「・・・・・・まあ、とりあえずこれが、俺の力・・・エネルギーの使い手の力です。」
「なるほど・・・でもお前、まだ何か隠してるだろう?」
燃の体がびくっと動いた。
「まあ、そこまで追求するつもりはねぇから、安心しろ。」
「はい。ありがとうございます。」
正人はそのまま部屋を出て行った。