第17話 秘密
「で?何があった?」
燃の手術が終ると、正人は最初にその言葉を発した。
「何がって言われても・・・いきなり嵐が起こって、現れた人に襲われたんですよ。それ以外は何も知りません。
燃はベットから体を起こし、正人の質問に明確に答えた。
「ほ〜う・・・じゃあお前、あいつらに何か恨まれるようなことでもしたんじゃないのか?」
「何もしてませんよ!」
「本当か?」
正人は疑わしそうな顔をした。
「はい・・・というか、正人さんだって命狙われてたじゃないですか!」
「・・・・・・じゃあ、恨みとは違うな・・・・多分。」
「何ですかその多分は・・・」
「まあ、気にするな。じゃあ、秘密でも隠しているのか・・・・」
「いや、むしろそっちじゃないですか?変な方法で移動してきてるわけですし。」
燃は始めからそっちだと確信していた。
「実はお前に仕返しをするために、はるばる遠いところからやってきた、とか?」
「どんだけ執念深いんですか!?第一、その仮設は崩れたはずです!」
「じゃあ、冗談は程ほどにしといて、本題に移ろう。」
正人はいきなり真面目な顔になった。
「・・・・・・」
正直、燃としてはあまり本題に移って欲しくなかった。
「お前の戦い方についてなんだが・・・・・・」
燃の体がびくっと動いた。
「師匠からの視点で言わせてもらうと、お前は強くなった。」
「正人さん・・・」
燃の顔には褒められた嬉しさの中に安堵の表情が見えた。
正人はその表情を見逃さなかった。
「だけどな・・・」
「・・・」
再び燃の表情に緊張が走った。
「一般の視点からいうと、何だあの人間離れした戦い方は。」
「どこがですか?正人さんだってあのくらいはできるでしょう?」
かすかに燃の声が震えていた。
「ああ、確かに。・・・肉弾戦の方は確かに俺でもあのくらいの動きはできる。」
「だけど、さすがに俺でも衝撃波や風を吹かせたりはできない。」
「・・・・・・」
「何か隠していることはわかっていた。聞かないでおこうとも思った。だが、さすがに聞けずに入られない。」
正人の顔は本気だ。
「・・・・・・」
燃は思わず正人から目を逸らした。
正人は笑いをこぼした。
「まあ、気が向いたら話してくれ。そん時は師匠として何でも聞いてやるよ。」
正人はそう言って燃に背を向けた。
そして、正人は燃の病室を出ようとした。
「正人さん。」
燃はうつむいたまま口を開いた。
正人が振り返った。
「知りたいですか?俺の真実・・・・」