第16話 エネルギー
燃の頭の前にシールドのようなものが張られていた。
続けて燃は金色に光る剣を出現させてロープをそれで切った。
「くらえ!」
カールはナイフを投げてきた。
燃はそれをシールドのようなものを張り、はじき落とした。
突然、燃の周りに暴風が吹いた。
それは、リンたちが来る前の風とは違った風だ。
「くっ!」
リンは思わず手で顔を覆った。
燃はカールに向かって手をかざした。
すると衝撃波が燃の周りから放出され、カールは5メートルほど吹き飛んだ。
「ぐあっ!」
カールは思わず声をあげた。
「カール!?」
リンは吹き飛ばされたカールを見て驚いた。
果たして普通の人間にこんなことが可能なのだろうか。
燃がリンに向かって手をかざした。
リンが死を覚悟した瞬間、突然風が止んだ。
見ると燃が肩を抑えてうずくまっていた。
どうやら先ほどの傷が痛んだらしい。
「ふう・・・死ぬかと思った。」
リンは突然、力が抜けたらしくその場に座り込んだ。
「それにしてもこいつは危険ね・・・殺しておいた方が得策かも・・・」
そう言ってリンは気合を入れて立ち上がり、燃に向けてレーザーガンを構えた。
引き金を引こうとした瞬間、何かがリンの目の前に下りてきてレーザーガンをはじいた。
それは大蔵病院で院長をしている大蔵正人だった。
「よお、家の弟子がお世話になったな。」
「あなたは・・・・」
リンはふと燃の言っていたことを思い出した。
「ただの医者だ。」
リンは思わず笑ってしまった。
「なるほど・・・あなたがこの人の師匠ですか。」
「ああ、そうだ。」
「仕方ありません。見られた以上、あなたも死んでもらいます。」
「殺せるんならどうぞ。」
リンはレーザーガンを構えた。
引き金を引くと、正人はその直前で伏せてかわした。
その後、掌底で肘を打ち、さらに伏せたままの状態で後ろ回し蹴りでリンの膝を打った。
「くっ!」
リンはたまわず転がった。
勝つのは無理だと思ったのか、通信機を取り出した。
「緊急事態発生!直ちに転送お願いします!」
リンが通信機に向かってそう言った瞬間、空から2本の光が落ちてきた。
嵐の後はすでに誰もいなかった。
「ちっ・・・」
正人は舌打ちをした。
「おい、燃!大丈夫か!?」
正人はうずくまっている燃を見て近寄った。
「滅茶苦茶痛いです・・・」
燃はかろうじて声を絞り出した。
「とりあえず乗れ!」
いつの間に来た救急車に燃は乗せられた。