第15話 再戦2
もう燃とリンが戦い始めてから相当な時間が経っている。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
リンは大分息を切らしている。
それに対して燃は全く疲れていない様子である。
「あなた、すごい体力ね。」
「まあなあ・・・それが俺の特技みたいなものだし・・・」
どうやら燃の兄、慎之介のときは血を大量に失っていたことが原因だったようだ。
「じゃあ、これ以上戦っても意味ないわね。」
「?」
リンは明らかに疲れているのにまだ本気を出していないような口ぶりだった。
リンは懐からあるものを取り出した。
「なっ!?お前それヒキョウ・・・」
リンの手に握られていたのはよく映画などで出てくるレーザーガンのようなものだった。
リンは躊躇無く撃った。
燃もかわそうとしたが、赤い線のようなものは燃の肩を貫通した。
アスファルトに燃の血が滴り落ちる。
「くっ・・・」
燃は何とか痛みをこらえているようだ。
「うわ・・・すごい。よく避けたわね。心臓狙ったのに。これ避けられる人なんてそうそういないわよ?」
「それはどうも・・・・」
燃は顔をしかめながら言った。
「でも、さすがに次はその傷じゃ、避けられないでしょう。」
燃は何も言わずに足にエネルギーを送った。
リンは狙いを定めて燃に向かって撃った。
燃はリンが撃つ前に高く跳躍し、塀の上に立った。
リンがまた撃つと今度は民家の屋根の上に乗った。
燃は転がるようにして次の弾も避けた。
燃は急いで屋根から降り塀の角に隠れた。
「あなたの跳躍力すごいわね。」
リンが語りかけてきた。
「まあな・・・」
「ねえ、大人しくこっちに捕まらない?」
「はあ?何でだよ?」
「あなたに色々聞きたいんだけど・・・」
「嫌だ。」
「それは残念ね。カール、お願い。」
「はい!」
燃の前の方から声がした。
「くっ!しまった!」
燃はもう一人のほうを完全に忘れていた。
バサッと燃に網がかけられた。
ー数分後ー
燃は縄でぐるぐる巻きにされていた。
燃はリンをにらみつけていた。
「そんな怖い顔しないでよ。いきなり殺したりはしないから。」
「どうせ、後で殺すんだろ。」
「それは分からないわ。上官の決めることだから。」
「ふん。」
「で。まずあなた、何で殺したのに生きているの?」
リンは最初から思っていた疑問を燃に投げつけた。
「知らない。」
燃は思い切り嘘をついた。
「そう・・・じゃあ、さっきの跳躍力は?」
「知らない。」
また嘘をついた。
「どちらかでいいから答えなさい。」
リンは銃口を燃の頭に突きつけながら言った。
「だから知らないって。」
燃は震えるのをこらえながら言った。
「そう・・・」
燃は一瞬あきらめるのかと思った。
だが、ドヒュッという音を立ててリンは燃の足に向かって撃った。
「ぐあっ!」
燃はあまりの痛さに悲鳴をあげた。
「もう一度だけチャンスをあげる。」
リンはそう言って燃の頭に狙いを定めた。
「だれが言うか。」
「・・・」
リンは黙って引き金を引いた。
燃の頭を貫くはずだった赤い線は燃の頭の直前になって止まった。
「なっ!?」
リンは思わず驚きの声を上げる。