第11話 再び
燃は次の日も下校におびえていた。
だがいつまでも達也を頼っていてはいけないと思い。1人で帰ることにした。
「うわ、完璧に震えてるよ・・・情けないなあ・・・」
燃は自分の手を見てそんなことを呟いた
今日も嫌な天気である。
それがまた、燃の不安をかき立てた。
「あれ?」
空に黒い点のようなものが見える。
燃はとっさに塀の陰に身を隠した。
その途端、空から強い光が降ってきた。
「くっ!」
燃はあまりの眩しさに目をつぶった。
その後、激しい嵐のような風に襲われた。
しばらくすると、風は止み、光も無くなった。
「あの時と同じ・・・だな。」
もう震えは止まっていた。
怖さよりも好奇心の方が強まったのである。
「お?」
そこには変な通信機のようなものを持った1人の男性がいた。
燃はまたもや身を隠した。
また、刺されるかもしれないと思ったのである。
「ガガ・・・大丈夫?カール?」
通信機から女性の声が聞こえてきた。
燃はこの声に聞き覚えがあった。
リンだ。
「・・・はい。とりあえず気は失いませんでしたが、すごい圧力がかかります。改善されただけマシになったかと・・・」
カールと呼ばれた男は辛そうに返事を返した。
「そう・・・ご苦労様。」
「いえいえ。」
「!カール!近くに生命反応あり!多分人よ。」
「っ・・・こんなときに!」
燃は身の危険を感じすぐに逃げようとした。
だが、カールの方が一足速く、燃の目の前へ現れた。
「すまんな。これも仕事でさ。」
カールはそう言って懐からナイフを取り出し、燃の方へ向かってきた。