表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/118

第十一話 悪魔と天使と新人魔法少女 その9

登場人物紹介


・馬夫――真名アムドゥスキアス。ド下手なギター演奏を得意とする悪魔。

「フン、武器なんぞなくとも、俺は強いぜ、ブルルル!」



 と、言い放つ馬夫の身体中からは、轟々と燃えあがる炎が噴出し、おまけに奴が周囲に張りめぐらせている闘気のバリアが警戒反応し、馬蹄型の波動となって近寄る者を弾き飛ばしてしまう。さてさて、どうしたものか――。



「あううう、師匠、吹っ飛ばされてしまったっす!」



「あら、元気そうね」



「はいっす! あの程度じゃ俺は倒れないっす!」



「その調子よ、ヤス! んじゃ、これを渡しておくわ」



「ん、鉄パイプっすか?」



 馬夫の放つ馬蹄型の闘気の奔流に飲み込まれて、ドガガガッと吹っ飛んだヤスだったけど、なんだかんだと元気そうだわ。とまあ、そんなヤスに対し、私はお手製の武器を手渡す。



「はわわ、鉄パイプのあっちこっちに鋭い牙に生えた口があるぞ! き、気持ち悪いィィ!」



「わああ、ホントっすね! き、気持ち悪い武器っすね、師匠!」



「フフフ、気持ち悪いのは確かね。つーか、その棒は生きているし――」



「生きている!?」



「ま、そいつがあれば、あの馬野郎をボコれると思うわ」



「マジっすか! うおおお、やってやるぜェェ~~!」



 うーむ、実はつくって間もない試作品なのよね。ヤスに手渡したあっちこっちに鋭い牙の生えた口が見受けられる鉄パイプは――え、ヤスを使って、あの武器の効果を試そうとしているんだろうって? アハハ、そのまさかよ!



「ブヒヒヒン、なんだ、その悪趣味な棒は! ぬうううん!」



 馬夫は悪趣味だってニヤニヤと笑いながら、ヤス目がけて馬蹄型の闘気を放ってくる。全身から吹き出す炎もそうだけど、馬夫に近寄るためには、あの闘気も面倒くさいのよね。



「うおおおー!」



「ヤス、闇雲にぶん回してもダメだ!」



「そうっすか、フレイヤ? だけど、あの闘気を吹っ飛ばしたっぽいっす!」



「わお、マジだァァ~~! そのままやっちまえェェ~~!」



「な、なにィィ!」



 ヤスが鉄パイプを振り回す度、馬夫が周囲に張りめぐらせる闘気のバリアをガリガリと削る!



「フフフ、上手くいったわ~☆」



「上手くいった? 沙希、あの目玉の鉄パイプは一体!?」



「説明しよう! あの鉄パイプに見受けられる牙に生えた口は、馬夫が張りめぐらせている闘気のバリアを食べているのよ。ああ、全身から噴出している炎も飲み込んでいるわよ」



「す、すごいわね。でも、気持ちが悪い……」



 つくった私自身も気持ち悪いと思っているのよねぇ。ま、でも、あれはバリアなどを張りめぐらせる面倒くさい輩専用につくったものだ。なんだかんだと、実験は成功! 役に立っているようだわ。



「よっしゃあああっ! もうぶん殴れる範囲までバリアを食ったぜ、このキモい棒は!」



「ヒヒヒン! チ、チートを使いおって……ブルルギャン!」



 ガリガリバクバクとヤスが振り回す鋭い牙があちこちに見受けられる鉄パイプ――名づけてキモい棒は、馬夫が自分の周りに展開する闘気のバリアを粗方、食べてしまう。そのおかげで闘気のバリアのでっかい穴が生じる。んで、一撃を加えるなら今がチャンスとばかりにヤスは、キモい棒を渾身の力で穴の中に突っ込むのだった……わお、馬夫の額にクリーンヒット!



「ブヒヒン、モギャアアッ! 俺のバリアがァァ~~!」



「怯んでいるわね。よし、封印するなら今ね! ヘルメス、あの本を――」



「OK、沙希! ん~、とりあえず、コイツを使えそうなのは、新人の中じゃ真田先生くらいかなぁ?」



「そうねぇ、確かに、あの四人の中じゃ一番、魔力係数が安定しているわ。真田先生、起きて!」



 パチンとヘルメスが指を鳴らすと、フッと題名の書かれていない一冊の赤い本が、私の頭上に出現する。さてと、気絶している真田先生を起しておくか――。



「あううう、気絶していたようですね、私は……ん、なんです、その本は?」



「おお~う、その本からズズーンとすごい魔力を感じるでおじゃる」



「は、はあ、とりあえず、受け取っておきます」



「んじゃ、早速、その本――無名の魔道書で、あの馬面悪魔を封印してもらいます」



「わ、私がですか!?」



「はい~☆ さ、その本の表紙を開いたところに書いてある呪文を唱えてください!」



 さてさて、早速、真田先生には、私が手渡した無名の魔道書で馬夫を封印してもらおうかしら! え、どこに封印するのかって? フフフ、決まってるでしょう。無名の魔道書によ。




「これはラテン語ですか? あ、でも、何故か読めます! ええと、うぇざいあ、うぇざいあ、ぶるぐとむ、いあいあ、ゆるゆる、もふもふる、ふたぐん、あいあい、もふもふ!」



「師匠、なんですか、あのヘンテコリンな呪文は?」



「お、あれはウチら妖精族に伝わる封印の呪文じゃん! 沙希、いつの間に、あの呪文を?」



「フフフ、私は様々な世界に通じているわ。ま、そういうことよ。さて、見て見て、馬夫の身体が光子変換されていく様を――」



 真田先生が唱えたヘンテコリンな呪文だけど、ヤスの使い魔である小妖精のフレイヤなど妖精に分類(カテゴリー)されるモノ達の間にのみ伝わる悪魔封じの呪文である。私は、あの呪文をヘルメスを介して得たってところかしら?



「オオオオウ、ノオオオオ! 俺の身体がっ……グギギギ、させるかぁぁ~~!」



「わ、光の粒子になった馬夫の身体が元に戻っていく!」



「ふむ、抵抗する気ね。ここはひとつ私が……蛇地獄だ!」



 なんだかんだと、馬夫は抵抗する。光子変換されパアアアと光の粒子と化し、消えていく両腕がズギュウウンと再生し始めたし――お、サマエルが大量の蛇を馬夫に向かって投げ放つ!



「へ、蛇!? 俺はニュルニュルしたモノが大嫌いなんだ! ヒヒヒン、しまった、油断したっ! ド、胴体が光の粒子にっ……嫌だ、嫌だ、嫌だァァ~~!」



 ドパアアアンッ! と、馬夫の身体が一瞬で砕け散る――とはいえ、例の呪文によって光の粒子に変換されただけである。しかし、悪魔のクセに蛇が苦手とか意外すぎて笑えるわね。



「光の粒子に変換された悪魔のお馬さんの身体が、本の中に吸い込まれていく! ん、題名が浮き出してきましたよ、山崎さん! そんな題名は悪魔の音楽集ですね」



「馬夫の真名は音楽を司るとされる悪魔のアムドゥスキアスだし、ある意味で妥当な題名かもしれないわ。それに本の中身も楽譜で占められていますし――」



 馬夫こと音楽を司るとされる悪魔のアムドゥスキアスを吸収、封印することで無名の魔道書の赤い表紙に、ドンッ! と、悪魔の音楽集というある意味で妥当な題名が出現する。



「あ、その本は真田先生にあげます。好きに使っちゃってください!」



「そ、そうですか? それじゃ遠慮なく……わ、本が動いています!」



『お、おいィィ! 俺をここから出しやがれ、ブルルッ!』



「ひゃ、アムドゥスキアスの声が聞こえます! 大丈夫なんでしょうね?』



「大丈夫ですよっつーか、馬夫、聞いている? アンタはこれから、その人の使い魔だ、いいわね!」



『な、なにィィ! フン、いいだろう。〝あのクソガキ〟に従うよりはマシだからな、ブルルル』



「あのクソガキ? アンタを召喚した輩のことかな?」



『ああ、マジカナって名乗っていたぜ、ブルルル。さて、契約の証だ、受け取れや、ヒヒヒン!」



「あ、指輪! とりあえず、受け取っておきます」



 馬夫の奴、本の中に閉じ込められているっていうのに、妙に元気だわ。契約の証として青い宝石がはめ込まれた指輪をヒョイッと本の中から出現させてしまうあたりを見ると――ん、奴を旧校舎内に召喚した元凶は、どうやらマジカナって人物のようね。



「さ、次の悪魔を捕まえに行こう!」



「そ、そういえば、まだいたんだったわね」



 ヘルメスに言われて思い出したけど、マジカナって人物によって召喚された悪魔は、馬夫ことアムドゥスキアスだけじゃなかったわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ