第十一話 悪魔と天使と新人魔法少女
登場人物の紹介
・山崎沙希――主人公。ホッキョクグマに変身することができる。神猫カイムから新人勧誘を依頼される・
・山崎早苗――沙希の姉。とある事情から若返る。んで、新人魔法少女としての道を歩むことになる。
・ミスティア――見た目は可愛い女のコだけど、中身がオッサンな魔法少女。
・清水祥子――元人間を自称するしゃべる蝙蝠。
・天城麻耶――沙希が所属するオカルト研究部の部長。邪神討伐組織のひとつである天空守護者に新人魔法少女としてスカウトされる。
「おい、知ってるか? 光桜学園の制服はマニアに人気なんだぜ~☆」
「ヒッ……制服マニアって気持ち悪い!」
「うっせぇ! 俺はこの学校の制服が大好きで仕方なかったんだ。だから、こうして~☆」
「うえっ! そういえば、光桜学園の制服を着ちゃってる! 生徒の中に紛れ込む計画を立てていたでしょう?」
「ししし、失敬な! 俺は紳士だ……あ、今は淑女か? だから、そんな下衆で無粋なことはやらんぞ、沙希!」
「ね、ねえ、そんなことより、新人を探すんでしょう? 私みたいな……」
「うんうん、そうだったねぇ、早苗姉ちゃん。あ、ところで若返った気分はどう?」
「嬉しいけど複雑な気分だわ、ふう……」
さてさて、私――山崎沙希は、猫で構成された邪神討伐機関である聖なる猫の会のリーダーである神猫カイムから、猫以外にメンバーを仲間にしたいので勧誘してきてくれって依頼されるのだった。
そんなわけで、同じ穴のムジナ――魔法少女のミスティアと一緒に、夏休みというわけで部活に勤しむ連中や先生方くらいしかいない光桜学園へとやって来るのだった。
あ、そうそう、私の部屋にある危険物を不用意に触ってしまった早苗姉ちゃんが、なんと-七歳若返ってしまい私と同い年の十七歳の少女になってしまったわけだ。ブヒャハハハ、大爆笑かも――と、そういう理由もあり、新人魔法少女のひとりとして勧誘したわけだ。てか、あんまり乗り気じゃないのよねぇ。
「乗り気じゃないみたいね?」
「そりゃそうよ! いきなり七歳も若返ってしまったんだし! ぐぬぬぬ、今日は非番だからいいけど、明日は出勤しなきゃいけないのよ! ぬああああ、この姿で出勤なんかできないわァァ~~!!」
「え、そう? 童顔になったことはともかく、スタイルなんてほとんど変わってないじゃん……イラッ! ピキピキ!」
「う~ん、そうかな? でも、バストサイズがFからEに変わったよ……ん、なんで怒ってるの?」
「怒ってなんかいないっ!」
「な、なあ、胸の大きさって気になるものなの? 俺はでかい方は好きだけどな~☆」
「ムムムッ! 判るはずがないわ! アンタは元男だし!」
早苗姉ちゃんは私と同い年に若返ったとはいえ、バストサイズはほとんど変わっていないのが憎らしい! なにがFからEに変わったよ。貧乳を馬鹿にしているわ、ウガアアー! ああ、ミスティアだけど、コイツは元男で、本名は松浦定春だったかしら?
「そこのアナタ達! 校門のところでなにをやっているのかしら?」
ん、そんな私達のもとに、ツンツンした感じの眼鏡の女教師がやって来る。うえぇ、生徒達の生活指導を担当する真田真美子先生だ。
「ん、アナタは二年D組の山崎沙希さんでしたね。一緒にいるふたりは……」
「あ、沙希の姉で保護者です! 妹が進路のことで担任の先生に呼ばれたので同伴しています」
「あ、ああ、私は転校生です!」
「転校生、それに山崎さんの姉? うーん、お姉さんは山崎さんと同い年くらいに見えますが……ま、いいでしょう」
「そ、それじゃ私達は、校舎へ行きますね」
「そうそう、最近、我が校の周辺に化け物の格好をした変質者が出るらしいので帰宅の際は気をつけてくださいね」
早苗姉ちゃんが真田先生に怪しまれたけど、なんとか光桜学園の校舎内に私達は入ることができる。さて、真田先生曰く、最近、化け物の格好をした変質者が光桜学園の周辺に出るらしいけど、まさかねぇ……。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
後数日で夏休みも終わってしまうのよねぇ、ふう――とまあ、そんな時に担任の霧島綾先生に進路指導のことで呼び出しを食らったのよ。それが光桜学園にやって来た理由その2ってわけだ。
「とりあえず、旧校舎へ向かうわ。私が所属するオカルト研究部は四階にある図書館を再利用しているわ」
「旧校舎かぁ、嫌な思い出がいっぱいなのよねぇ……」
「そういえば、早苗姉ちゃんは黒魔術殺人事件の被害者だったわね」
「あ、知ってる! 何年か前に、この学校で起きた代未聞の大参事って騒がれた事件だろう? 確か事件の首謀者がマジで黒ミサだったかサバトをやっちまったとか?」
「ヒッ……思い出したないから、あの事件のことを口にしないでっ!」
「お、おう、悪かったな、アハハハ……」
早苗姉ちゃんは、あの事件――黒魔術殺人事件の被害者なのよね。精神的外傷を穿り返すようなことになりそうだし、触れないでおくとするかぁ。
「あら、沙希、部室にでも行くのかな? 私も丁度、部室に行こうと思っていたところよ」
「あ、天城先輩、それに清水さん」
ん、新校舎と旧校舎をつなぐ通路へとやって来た私は、所属するオカルト研究部の部長である天城麻耶先輩と旧校舎の住んでいる蝙蝠の清水祥子さんと出会う。
「そういえば、天空守護者のアテナさんにスカウトされたんですって?」
「うん、清水さんを介してね」
「へぇ~、どこの邪神討伐機関も新人勧誘に勤しんでいるっぽいわね」
「ま、そうなるわ。アテナさんは人間のお仲間を求めてますし……ん、沙希と一緒にいるのは早苗かな? わお、魔法少女になったのね、クスクス」
「わ、蝙蝠がしゃべった!?」
「早苗、魔法少女になったんだから、この程度で驚いちゃいけないわよ。ウチらの世界じゃ当たり前の話なんだし~☆」
「て、てか、その声は、まさか……!?」
「フフフ、やっと気づいたようね! アナタの大親友の清水祥子よ。忘れたなんて言わせないわよ!」
早苗姉ちゃんはやっと気づいたようね。目の前にいる蝙蝠が行方不明(?)になっている友人であり、心的障害の元凶である黒魔術殺人事件の主犯格という濡れ衣を着せられた存在である清水祥子だということに――。
「祥子、何故、蝙蝠なんかに……」
「ま、色々あってねぇ……」
「哀愁に浸るのもいいけどさ。ガラの悪い連中に囲まれてる奴がいるぜ」
「うん、あれはイジメかもしれない!」
早苗姉ちゃんは学生時代、そして清水さんは人間だった頃――それぞれが過去の哀愁に浸る。それはともかく、私の視線の先にガラの悪い男女数人に囲まれたオタク風の少年の姿が映り込む……イジメ!? もしそうなら許せないわね!




