第十話 失われた記憶を求めて! その18
「コイツらは特別製ィィ! タダの鬼と思わないことねェェ~~! だけど、私はそれ以上!」
「むう、戦輪か! そんなモノはキャッチしてやる!」
シャッ! シャッ! と、戦輪を着こなす真っ赤な派手なドレスのスカートから取り出し、私の向けて投げ放つメーディア! だけど、そんなモノは軽くキャッチしてやる!
「戦輪に気を取られたわね! 今度はコイツだー!」
「うう、鉄球! ちょ、なんで、そんなモノまでーっ!」
うわ、サッカーボールほどの大きさではあるが鉄球も真っ赤な派手なドレスのスカートから飛び出してくる! ホッキョクグマのモノに変えた両腕を交差させて防いだけど、私は吹っ飛ばされてしまう!
「追撃の手は緩めないのが、私の信条! 次はコイツだァァ~~!」
「危なっ! わああ、刃のついたブーメラン……うへ、紙一重だった!」
うへぇ、しゃがむことでなんとか紙一重で回避できたけど、刃のついたブーメランまで飛び出してくるなんて! メーディアが着こなすあの真っ赤な派手なドレスのスカートの中は武器庫なんじゃ!? ――って、マジで思ってしまったわ!
「ディオニュソスさん、お覚悟を!」
「眠いから、さっさと終わらせる……ふあああ~」
赤い肌のイケメン鬼こと勇鬼、それに青い肌の眼鏡っコな鬼こと亜鬼も、私に襲いかかる! 三対一の戦いはきっついわね!
「鬼拳!」
「ちょ、拳じゃない! それは蹴り! ぐうう、とにかく、重い一撃だ!」
鬼拳と言いながらも回し蹴りを放ってくる。だが、重いっ! 受け止めた左手がビリビリする!
「これでお仕舞……」
「わあああ、なんじゃ、あのでっかい金棒はっ!」
うわっ! 亜鬼が自身の身長の五倍はある巨大な金棒を振り下ろしてくる! ひゃああ、間一髪のところでかわせたけど、直撃したら不味い!
「あ、外しちゃった。おかしいなぁ、おかしいなぁ……」
「洒落にならない馬鹿力ね! 今度は私の番だ! 熊マグナムーっ!」
亜鬼は巨大金棒を横薙ぎにブン回す! あぶなっ……いい加減にしろ! 再び紙一重に回避する私は、亜鬼の顔面目がけて右拳の一撃を――熊マグナムを放つ!
「いたたたっ! でも、この程度じゃ私は倒れない……」
「わ、なんて頑丈なっ! しかも眼鏡が割れていないとか嘘でしょ!?」
「私の眼鏡は特別製……フレームはオリハルコン……レンズは……あれ、なんだっけ? まあいいや、今度は連続で突いちゃうよ……かわせるかな、かな?」
熊マグナムは間違いなく亜鬼の顔面を捉えたはずなのに!? 効果なしって嘘でしょう? おまけに眼鏡が割れていないとか――うぬぅ、今度は巨大棍棒の連続突きか!
「あ、当たってたまるもんかァァ~~!」
「フフフ、亜鬼の攻撃を避けても、俺がいる!」
「うげ、鬼はもうひとり……やばっ!」
ゲェ、勇鬼って鬼もいたわね! く、亜鬼の巨大金棒による連続突きはフェイントだったわけ? 背後から刃渡り三メートルは確実にありそうな巨大日本刀の切っ先を突き立てた状態で、私目がけて突撃してくる勇鬼の姿が!? 挟み撃ちかァァ~~!
「そうはさせないぞ! 魔狼斬!」
「今度はなに!? うお、赤い鬼の右腕が吹っ飛んだ! わお、狼姫ーっ!」
むぅ、絶妙なタイミングで狼姫がやって来る! ヒュー、そんな狼姫は刃物のような犬歯で勇鬼の右腕に噛みつきグシャアアアッ! と、二の腕から下を食い千切る!
「ぐ、ぐぎゃあああ! 俺の腕がっ……キヒヒ、だけど、再生できてしまうのだ~☆」
むぅ、流石は妖怪だ。狼姫に食い千切られた勇鬼の右腕の二の腕から下が、あっと言う間に元通りに――だけど、なにか忘れちゃいないか、この鬼は?
「巨大日本刀GET!」
「やったね、沙希~☆ てか、そいつは野太刀と呼ばれているモノだよ」
「へえ、そうなんだ! んじゃ、早速……うらあああっ!」
ヘルメス曰く、巨大日本刀は野太刀と呼ばれる武器のようだ。んで、そんな狼姫が食い千切った勇鬼の右手から拝借した野太刀で早速とばかり私は、斬ッ――と、亜鬼が振りまわす巨大金棒を真っ二つに切り裂くのだった。
「あ、私の金棒が……うみゅ~……許さんっ!」
「うお、なんで俺に殴りかかるんだ! 斬ったのはアイツだろうがぁ!」
「五月蠅い! アンタがアレを奪われなかったら、私の愛用の金棒が真っ二つにならなかった!」
「だあああ、八つ当たりはやめろ!」
「まったく、こんな時にケンカをやってる暇はないわよ、馬鹿鬼共っ!」
「「アンタは黙っていろ!」」
「あんぎゃーっ!」
む、勇鬼と亜鬼が仲間割れを始める。んで、仲間割れに巻き込まれたメーディアの顔面に、ふたりが同時に放った鉄拳がクリーンヒット! 直撃したメーディアは、ギュルンと白目を剥いて気絶する。しかし、コイツも頑丈だなぁ。鬼の強力パンチを食らったのに気絶する程度だし……。
「あああ、メーディア様を殴ってしまった!」
「割って入ったメーディア様が悪い」
「ああ、確かになぁ!」
「まあいいや、ケンカはここで終わり、あの狼と貧乳の合成獣娘を叩き潰そう。真鬼、アンタの出番よ」
「ぷは~、やっと地面から出られた! よ~し、フルボッコだァァ~~!!」
ムムム、仲間割れはもうおしまい? 再び、勇鬼と亜鬼が私に襲いかかってくる。今度は一緒に狼姫も叩き潰そうと目論んでいるようね。ん、地面から派手な黄色い衣装を着たガングロギャルのような女の鬼――真鬼が飛び出してくる。
「ムムム、三対二の戦いになるわよ!」
「おう、望むところだ!」
「ふむ、ならば、私も参戦しようじゃない。メーディアには色々と恨みがあるからね。んで、あの三人の鬼をボコボコにしたら、キヒヒヒ……」
皇狐が私と狼姫の味方として参戦する。メーディアに恨みがあるようね。
「九尾狐、裏切るのか、ゴルァ!」
「裏切り者には容赦ない鉄槌を下さなきゃ……」
「どうでもいいけどさ。アイツらボコってもいいよね? オラアアアッ……な、なにィィ!? げふうっ!」
ガングロギャルのような鬼こと真鬼が右腕を大きく振りかぶりながら、殴りかかってくる。だけど、私はシャッしゃがむことで回避し、そのまま立ちあがり、脳天を真鬼の顎に叩き込む! しかし、あんまり効いてないみたいね。
「馬鹿っ! 考えもなしに突っ込むな!」
「ああ、馬鹿って言った! 勇鬼君、ひっどいィィィ!」
「お、おいおい、なんで俺を殴るんだよ!」
「馬鹿馬鹿馬鹿ァァ! 勇鬼君の馬鹿ァァ~~!」
むぅ、今度は勇鬼と真鬼が仲間割れを始める、やれやれ――が、今ならふたりを同時に倒すチャンスかもしれない! 私は狼姫に眼で合図を送る。同時に攻撃だ!
「油断は禁物って言葉があるよね? それを体感してみる? 熊ファントムッ!」
「氷の牙……冷光牙を受けてみろ、ウガアアー!」
ホッキョクグマの力+拳圧によって発生した静電気+音速の拳速の一撃を何度も叩き込む必殺拳――熊ファントムを私は勇鬼にドテ腹に叩き込む! 一方で狼姫はドンと軽い爆発音ととも人間の姿に変身し、シャッと真鬼の懐に素早く入り込み零距離からの冷気の波動を打ち込むのだった!
「し、しまった! ぐううう、なんだ、腹がメチャクチャ痛いっ……げふっ!」
「やあああん! 身体がカチンコチンにィィ……寒い、寒い、あうあうあう!」
むぅ、頑丈すぎるなぁ、コイツら! 普通なら再起不能レベルだと思うんだけど気絶程度で済んじゃっているし――あ、真鬼なんて鼻水を垂らしながら寒い寒い連呼している程度だけど、再起不能には陥っちゃいないわね。でも、しばらくは動けない様子だ。
「ああ、ふたりがやられちゃった。うーん、この場合は……」
「お前の相手は私だ!」
九本あるモフモフした尻尾の先端を巨大な拳に変えた状態の皇狐が、残りの鬼こと亜鬼と対峙している。どっちが先に攻撃をしかけるのやら……ん、亜鬼が動いた!?
「面倒くさいから私の負けでいい……ぐう~」
「え、負けでいい? てか、眠っちゃった」
ドサッと亜鬼が仰向けに倒れる。面倒くさいから負けでいいって? うへ~なんか眠っちゃったわ。
「うーん、少し気絶していたかも……って、うわああ! 私以外、再起不能なわけ!?」
「メーディアさん、まだ大丈夫っすー! ただ動けないだけだしー」
「眠いから起こさないでね」
「ややや、役立たずゥゥ! こうなったらァァ~~!」
気絶した勇鬼はともかく、真鬼と亜鬼は別段、再起不能ってわけじゃないわね。さて、気絶から立ち直ったメーディアが着こなす真っ赤な派手なドレスの中から、黒くて丸いボーリング玉のような物体を取り出す……んん、ひょっとして爆弾ですかー!?
「ハハハ、アンタの服ってまるで四○元○ケ○ト? てか、それは爆弾?」
「ご名答! お前らは、コイツで爆破してやる!」
「またコイツで打ち返してやる!」
「キャハハハ、無駄無駄無駄無駄ァァ~~! コイツは私の手許から離れたら最後、〝なにか〟に触れた瞬間の爆発する代物よ! そんなわけで……おりゃあああああっ!」
「わ、わああ、なんて危ないモノを!」
うっがぁ! なんちゅー危ないモノを! メーディアの手許から離れた瞬間からなにかに触れただけで爆発するんじゃさっきのようにバルザイの偃月刀で打ち返すなんてことをやっている暇なんてない! く、どうする、私――っ!




