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第七話 ライバルは魔法少女!

 登場人物の紹介


 ・アテナ――白い梟の姿をした女神。


 ・ミスティア――沙希たちが住むS市の隣町であるO市からやって来た魔法少女。

        見た目が可憐な女のコだけど、実は……。


 ・ファム――夢魔を自称する悪魔っ娘のような外見をした妖精。


 ・魔道創生会戦闘員――悪いウワサが絶えない邪神討伐機関の戦闘員。

「フフフフ、この町に来るのは初めてだったな」



「つーか、アンタが面倒くさがり屋なだけじゃね? S市ってO市の隣町じゃん」



「うっせぇな! でも、この町でもプンプンと鼻孔を襲ってきやがるぜ! 悪のニオイってヤツがよぉぉ!」



「悪のニオイ? ニャハハ、女性型夢魔(サキュバス)の私を連れている時点で、アンタも邪な輩のひとりのような気がするんだけど? まあいいや、ニヒヒヒ♪」



「おーい、そんな場所でなにをやっているんだァァ! そこは登っていい場所じゃないぞ!」



 と、相槌を打つ二人組――某魔法少女を連想させる白とピンクで基調された衣装に身を包む小柄な金髪の女のコと頭に山羊のような角、背中には一対の蝙蝠のような翼が生えた派手な衣装に身を包む小妖精(フェアリー)……いや、悪魔っ娘ってヤツかな? とにかく、そんな二人組がいる場所は、なんと電信柱の天辺である。



「ゴルァァァ! 聞いているのかァァ!」



「はわわわ、今、降りま……うおおお、降りれないっ!」



「ギャハハハ、登ったまではいいけど、結局、降りれないなんてさ。ばぁぁぁかじゃねぇの?」



「馬鹿にすんな、ファム! う、ううう、うおおおおっ!」



「なにィィ! 飛び降りただと!?」



 さて、そんなヘンテコリンな二人組がいる電信柱の下には野次馬がゾロゾロと……あ、飛び降りた!



「うぎゃー! 着地に失敗……ね、捻挫したっ! 超痛いィィ! だ、だが、無事に降りることができたぜ……行くぞ、ファム!」



「アハハ、捻挫とか超笑えるんですけどっ! つーか、どこに行くのよ? そういえば、この町に知り合いなんていたっけ?」



「そ、その前にあんな場所から飛び降りて無事とか、別の意味ですごいぞ、お前ら!」



 と、野次馬のひとりはそうつぶやきながら、目の前から立ち去るヘンテコリンな二人組の背中をジッと見つめ続ける。んー確かに、別の意味ですごいわね。電信柱は間違いなく十メートルはあるはずなのに――てか、何者なのかしらね、あの二人組は!?



               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「ちょ、なんで我が家に住みついちゃうわけ?」



「いんだよ、細けぇことは!」



「てか、お姉さん、大歓迎だったね♪」



「ね、猫好き、恐るべし! まさかOKするなんて……」



 やれやれ、早苗姉ちゃんの猫好きには困ったもんだわ。妹の私について来た二匹の猫――シャム猫の霧崎ジョーとアメショーの神崎朱莉の姿を見るなり、『キャー! 超可愛い! 飼う……飼うっ!』と勝手に二匹を飼うって決めちゃったわけだ。つーか、拒否れよ、アンタ達!



「わあ、マダム弓子の遺品がたっくさんあるね!」



「どれも見覚えがある代物だぜ。てか、遺品に宿っていた分霊がほとんど消えてしまっている。分霊(みんな)どこへ行ったんだろう?」



 さて、私――山崎沙希の私室内は、お父さんが預かっているマダム弓子が組織した邪神討伐機関XXXの主要メンバーであった神々の分霊が宿っていた遺品の倉庫みたいな場所となっている。まあ、部屋の広さに関しちゃ我が家にある部屋の中じゃ一番だから気にはならないんだけどね。



「しかし、狂奈さんは母親であるマダム弓子の遺品をどう思っているんだろう? そんな遺品を返すって言ったら要らねぇ~って拒否るし……」



 なにかしらの確執があったのかな? マダム弓子こと天宮弓子の一人娘である私立探偵の雉飼狂奈――本名、天宮葵は、そんな母親のマダム弓子の遺品を返すかって私が訊いたら、要らないって即答してきたわけだし……。



「狂奈――いや、葵は今の君と同じ年の頃だったかな? マダム弓子と大喧嘩してね。んで、つい最近まで絶縁状態だったんだよ。遺品の返還を拒否したのは、そこらへんが関係しているのかもね」



「あ、カイム! ちょ、ここは二階だよ、どうやって!?」



 ん、私の私室の開いた窓からカイムが入り込んでくる。ちょ、ここは二階だよ! すごいジャンプ力だなぁ、それか空を飛んできたか――。



「へぇ~そうなんだ」



 やっぱりなんだかんだと確執があったわけね。



「カイムさんがここへ来たってことは、この町で〝なにか〟あったってことですか?」



「そのまさかさ。まあ、敵かどうかは判らないけどね」



 敵かどうかは判らないけど、面倒くさい輩がS市にやって来た!? ああ、そういえば、カイムが聖なる猫の会という陰からS市の平和を守る組織を結成したようだ。でも、メンバーの中に人間がひとりも含まれていないのが、なんだか頼りない気がするんだよなぁ。



「敵かは判らない? な、なにがやって来たのよ!」



「ありていに説明しよう。君と同じ魔法少女さ」



「ま、魔法少女!?」



「うん、敵ではないけど、君や茜と違い私達と協力関係のないフリーの魔法少女がやって来たんだ」



「えっ? 私っていつの間にアンタ達の協力者になっていない?」



 お、おいおい、いつの間にカイムが率いる聖なる猫の会の協力者になったのよ、私は!? ついでに茜も……。



「そこで提案なんだけどさ。件の魔法少女をスカウトしてきてほしいんだ」



「え、私が!? 面倒くさいなぉ……」



「面白そうだね。ちゃっちゃとスカウトしてみようか、沙希」



「ちょ、勝手に決めないでよ、ヘルメス!」



 ちょ、面倒くさいわね! なんで私が……おい、勝手に決めんな、ヘルメス!



「まあ、そう面倒くさがらないでよ、沙希。私達は今、仲間を増やさなきゃいけないんだ。ちょっとでいいからさ、協力してよ」



「ムムムム……」



 ふーん、仲間集めねぇ。件のフリーの魔法少女を仲間に引き入れようって魂胆かしら?



「ああ、報酬も出すよ、それなりに――」



「お、マジで! じゃあ、件の魔法少女を探しに出張ってみるかー!」



 それなりに報酬を出すねぇ。こりゃOKするっきゃないよね、グフフフ♪ 



「んじゃ、早速、件の魔法少女を探しに行こうか、沙希!」



「え、今から? てか、午後九時か、近所のコンビニへ出張るついでに探してみるかなぁ」



 さてと、とりあえず、行動に移るとするかな。ついでにコンビニにでも立ち寄って飲み物でも買ってくるとするか――。



               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「あ、ヤベェ! 件の魔法少女の特徴を聞き忘れた……」



「どうでもいいが、このシュークリームって食い物は美味いな♪ もう一個くれ!」



「あああ、いつの間に! か、返してよ、馬鹿ァァ!」



「な、なんだと! だが、もう無理だ、ハッハッハ!」



「ぐ、ぐぬぬぬ……ま、とにかく、魔法少女っぽい輩がいないか探すわよ!」



 コンビニで買い物を終えてから、ハッと気づく。カイムにスカウトするようの頼まれた魔法少女の特徴がどんな感じかってことを聞くことを……てか、狼姫に三個買ったシュークリームのうちのひとつを取られてしまったわ、ぐぬぬぬ!



「わあ、夜空で煌々と輝いている月がキレイだね」



「うん、まあね」



 ヘルメスと狼姫、それにアーたんもついて来る。そんな私達は時間帯的に誰もいない自宅の近所にある公園の公衆トイレの前にあるベンチに座り、ボーッと夜空を……あ、流れ星だわ!



「あら奇遇ね。てか、こんな場所でなにをしているのよ? ああ、もしかしてカイムに頼まれたんでしょう? 隣町からやって来たフリーの魔法少女をスカウトしてほしいって?」



「あ、サマエル! ず、図星だわ……てか、なんでそのことを!?」



「私もあの猫に頼まれたのよ。キョウタロウを介してね」



 ん、天体望遠鏡を抱えたサマエルが愛猫であり使い魔でもある黒猫のキョウタロウと一緒に、私達がいる公園に現れる――ん、そんなサマエルはカイムと知り合いっぽいわね。



「さて、隣町からやって来たフリーの魔法少女だけど、どうやら〝この公園〟が出現ポイントみたいよ」



「そ、そうなの!? しかし我が家の近場とか奇遇もいいところだわ……わ、今、なにか飛んでいたような?」



「ちょ、冗談はやめてよ! なにもいないじゃん!」



「む、むぅ、気のせいだったのかなぁ……」



 サマエルの話が本当なら奇遇もいいところだわ! じゃあ、いつ現れてもおかしくない状況っぽいわね……うおっ! 〝ナニ〟かが煌々と満月が輝く空を飛び交ったわ! うーん、気のせいだったのかなぁ?

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