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第六話 邪神降臨! その2

 約一年ほどまで崩壊してしまったけど、マダム弓子――天宮弓子が率いる邪神討伐機関が存在したことを私は知る。



 んで、そんな邪神討伐機関の構成メンバーは、リーダーであったマダム弓子の趣味に反映し、主に古代ギリシャ神話の神々――と言っても、その分霊で構成されていたとか。



「俺達が属していた邪神討伐機関が崩壊した時、マダム弓子の仇を打つためなどなどの理由から、独自に行動を取り始める構成メンバーが現れた」



「私達はそんな独自に行動を取り始めた者のひとり猫の神バステトの分霊が宿りし猫カイムさんとともに行動する者です」



「猫の神バステト? 古代エジプトの? 古代ギリシャの神々が主だった構成メンバーじゃないないわけだ?」



「あくまで主だったメンバーです。別系統の神々の分霊も、そこそこいますよ。例えば、北欧神話の美神フレイヤや雷神トールなどなど。ああ、我が国、日本の月の神である月読様も、マダム弓子の盟友として活動していました。さてさて、そんな単刀直入に言います。マダムの死霊秘法を受け継いだアナタ――山崎沙希、私達に協力を要請したいのです!」



 ふーん、分霊かもしれないけど、シャム猫の霧崎ジョーとアメショーの神崎朱莉は、古代エジプトの猫の神バステトの分霊が宿ったカイムという猫に仕えているようね。さて、協力を要請されたわ。どうしたものかしら……。



「ところでさ、幹部構成員の行方を知りたいんだけど、君達は知っているかい?」



「さぁねぇ。ああ、ポセイドンなら、海洋生物で組織されたチームを組織し、マダムを殺した〝あの野郎〟の行方を捜索中らしいが……」



 ポセイドンといえば、ギリシャ神話に出てくる海の神だったわね。てか、ジョーの物言いを聞いている限りじゃ、マダム弓子を殺害した者が誰なのか!? ――と、それはすでに特定されているようね。



「ん、マダム弓子とやらを殺した者を特定できているわけ?」



「ああ、だが、そいつの名前は判らん! だけど、轟々と燃えあがるような三つ目が描かれた仮面をかぶった男だった」



 マダム弓子を殺害した人物を名前までは特定できていないようね。でも、特徴的な仮面をかぶっていたようだ。



「あ、そうだ。私達と一緒に来てほしいところがあるんです」



「え、まあいいけどさ」



「よし、話は早ぇ! 玄関の外で待っているからついて来てくれ!」



「う、うん、判った」



 シャッとシャム猫の霧崎ジョーとアメショーの神崎朱莉は、私の私室の窓の外へと飛び降りる。むぅ、とりあえず、ついて行ってみるか――。



               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 私、山崎沙希は変わり者なのかな? よく出張る顔馴染みの店は繁華街の路地裏にある店ばかりだしね。ああ、どんな店があるのか? それをいくつか説明すると、洋書専門の古本屋、外国産の怪しい商品を取り扱った雑貨屋、レトロなレコード専門店などなどかな? ああ、雀荘が入っている雑居ビル、おんぼろな食堂、それにヤ○ザ屋さんの事務所なんかもあるみたいだわ。



「よし、着いたぜ! カイムさんは、この雑居ビルの二階にいるぜ」



「古い雑居ビルね。浪岡第三ビル、築四十年は確実に……ん、雉飼探偵事務所?」



 さてさて、私は元人間だっていう二匹の猫――霧崎ジョーと神崎朱莉に誘われるかたちで馴染みの店が立ち並ぶ○○県S市の繁華街の路地裏に立つおんぼろ雑居ビルのひとつの前にやって来る。てか、探偵事務所なんてあったんだ! うーん、初めて知ったわ…ムムム、灯台下暗しね。



「さあ、こっちです!」



「あ、待ってよ!」


 チリンチリンと首輪についた鈴の音を鳴らしながら、朱莉は浪岡第三ビルの階段を駆けあがる。



「おーい、沙希ちゃーん!」



「茜、待ってたよ!」



 さてと、メールで茜を呼んでみたわけだ。さあ、私達も行くとするか、浪岡第三ビル二階にある雉飼探偵事務所に――。



「あ、そういえば、ここって……」



「ん、知っているの?」



「うん、お兄ちゃんの元同僚が運営している探偵事務所だったかなぁ?」



「ふむ、じゃあ、早苗姉ちゃんとも知り合いね」



「そうなるよね。てか、変な人らしい……」


 そういえば、茜のお兄さんは、私の姉、早苗と同じく警察官だったわね。なるほど、そんな早苗姉ちゃん達の元同僚が運営している探偵事務所なのね。え、変な人!?



「へ、変な人?」



「う、うん、詳細は判らないけど、お兄ちゃんの話じゃ〝猫絡み〟で退職したっぽいわ」



「猫絡みねぇ……」



「ムムムム、猫のニオイがプンプンするぞ! これは一匹や二匹ではないな」



 猫絡みで退職した!? うーん、どんな人なのか気になるわね。ん、狼姫が猫のニオイがするって言い出したわ。もしかして猫がたくさんいるわけ?



「狂奈さん、俺です。開けてください!」



「狂奈さん、開けてください!」



 浪岡第三ビル二階にある雉飼探偵事務所の出入り口であるドアの前にやって来たジョーと朱莉が、ガリガリとドアを引っかきながら口走った狂奈さんとは、雉飼探偵事務所の主のことかな?



『ふぁ~眠い。勝手に開けて入っちゃって……』



「はい、判りました……って、ドアノブに手が届かない!」



「沙希、頼む!」



「うん、判ったわ」



 ドアノブに飛びつけば、上手い具合にそんなドアノブが回って扉が開く場合もある。そういえば、ドアを開ける器用な猫の様子が動画としてアップされていたわね。ま、いいわ。私が雉飼探偵事務所のドアを開けるとするか――。



               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「わあああ、猫がたくさん!」



「ここって猫喫茶じゃないよね?」



「間違いなく違いますね」



「つーか、ここにいる猫達はカイムさんを除くと、みんな元人間だ!」



「「な、なんだってー!」」



 むぅ、とりあえず、驚いておくか。さて、雉飼探偵事務所内の光景は、まるで猫喫茶である。キャットタワーがあっちこっちにあったりするしね。ちなみに、元人間だという猫が最低でも二十匹はいるかな?



「ん、メイドの恰好をした外国人の女のコとタキシード姿の外国人のお爺さんがいる……ん、ソファに寝転がっている赤いジャージの上下という恰好の女の人の姿もいるわね。あ、あの女の人は日本人みたいね」



 ん、たくさんの元人間だという猫の中に紛れ込むかたちでいる三人の人間の姿が見受けられる。外国人のメイドと執事、場違いな人員のような気がするなぁ。ソファに寝転がっている赤いジャージ上下という恰好の女の人は、一応、私や茜と同じ日本人のようだ。



「お帰りなさい、ジョーさん、それに朱莉さん。ほら、狂奈さん、起きてください」



「むぅ……いんだよ、眠いから無視!」



 メイドさんがジョーと朱莉に声をかける。さて、狂奈さんとは、赤いジャージ上下という恰好の女の人のことのようだ。



「おや、客人も一緒のようですよ、お嬢様」



「客人? 面倒くせぇー……クリストフ、任せた。んがぁぁ!」



「ああ、眠っちゃった! なんなのよ、あの女!」



 赤いジャージ上下という恰好の女の人――雉飼探偵事務所の主、雉飼狂奈はほんの数秒だけソファから身を起こす。でも、すぐにポテッと倒れ込みイビキをかきながら眠り込んでしまう。ちょ、眠るの早すぎっ!



「狂奈――いや、葵は寝るのが得意技なんだ。そこらへん許してやってくれ」



「ん、古代エジプトの装飾品を連想させる首飾りをつけた猫!? アンタがもしかして――」



「初めまして、沙希。私の名はカイム。猫の神バステトの神霊を宿す猫だ」



 ん、真っ白な猫が話しかけてくる。この猫がカイムのようだ。そういえば、ジョーと朱莉を介し、私の協力を要請してきたのはコイツかな? なんだかんだと詳細を聞かなくちゃね。

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