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第四話 迷宮学園

 登場人物紹介その3


 ・アポロン――古代ギリシャの太陽神と名乗るフェレット。


 ・天城麻耶――沙希や茜が所属する部活の先輩。


 ・ミカエル――サマエルの姉。実は彼女も。


 ・ラファエル――サマエルの兄。


 ・土屋出雲――沙希が所属する部活の仲間。通称ツチグモ。


 ・新山春人――沙希達の仲間であるマザコン生徒会長。


 ・加藤涼子――沙希が所属する部活の仲間。新山春人とは幼馴染。


 ・蔵内麗華――リア充な沙希と同じ部活の仲間。


 ・和泉杏子――転校生。沙希と同じ部活の仲間。


 ・霧島綾――沙希が所属する部活の顧問。32歳独身。


 ・三島紫――元不良生徒な沙希の仲間。通称、ゆかりん。

 私、山崎沙希が通う学校――○○県立光桜学園は、数年前までは厳格な女子高だったようだ。んで、今のように男女共学校となるきっかけは、あの黒魔術殺人事件だって話だ。



「ああ、そういえば、遠田先生や及川先生ってまだいるの?」



「いますよ。あのふたりが武闘派で学校の不良達が恐れられています!」



「ハハハ、私がいた頃と変わりないわね♪ てか、そろそろ定年退職だわねぇ」



「ううん、だからさぁ、ウチの学校の不良共が活発化しそうで迷惑かも……」



 私と悠太、それにアーたん、ついでに穏行の術で姿を見えないようにしている狼姫とヘルメスは、早苗姉ちゃんのお友達であり、同じく警察官でもある光桜学園の近場にある交番が勤務地である池口友里さんの愛車の中に乗り込んでいる。



「勤務している交番のすぐ近くなのに、こうして間近で見ると懐かしい気分になるわ」



 さて、光桜学園の校門前に到着する。そういえば、友里さんや早苗姉ちゃんは卒業生だったわね。久しぶりに来ると、流石に学生時代の哀愁が込みあげてくるんだろうなぁ。



「あ、そういえば、新校舎と旧校舎の間にある杉の木に日本には棲息していない外国のほら犬みたいな顔をした大型の蝙蝠が巣食っている話があるけど、本当の話なの?」



「うーん、どうなんだろう? てか、無責任な飼い主に捨てられた個体が帰化したモノだってウワサを聞いたことがありますけど、私はそんな蝙蝠を見たことがないですね」



「右に同じく! てか、赤いデジカメを首からさげているってウワサもありますよ」



「え、赤いデジカメを? 変なウワサねぇ……と、まったねぇ、沙希ちゃん&悠太クン!」



 旧校舎と新校舎の間に杉の木がそびえ立っているのは間違いないけど、そこに首からデジカメをさげている奇妙な蝙蝠が棲息しているってヘンテコリンなウワサ話はともかく、私達は友里さんと別れ、光桜学園の新校舎の玄関へと駆け込むのだった。



「わあ、サーキやユータと同じ格好をした人達がいるね、ここに? なんなのここ?」



「むぅ、サーキじゃなくて、私は沙希よ、沙希!」



「と、とにかく、ここは学校という学生が勉強を行う場所さ」



「みゅ? 学生? 勉強? 美味いのか、それ?」



「「ちょ、おまっ!」」



「ムム、なんで怒ってるの? 僕には理解できないよ……」



「「…………」」



 と、とまあ、そんなアーたんのボケに私と悠太は唖然とするわけだ。このコ、学校を、勉強がなんたるかを本当に知らないわけ? 生まれたばかりに赤ちゃんや獣ならともかく、老若男女に問わず普通なら知らない者なんて絶対にいないはずの教育が行われる施設である学校のことをマジで知らないのかしら!? アーたんって一体、何者なのよ!?



「ハハハ、このわらわでも学校という場所がどんなところか判るというのに、コイツと来たら……プククク♪」



「アンタも理解できてなそう。無理しなくてもいいのよ……」



 狼姫も、あんまり理解できていなそうだ。さて、我が校――光桜学園には登校する際、必ず学校指定の制服を着なくちゃいけないって校則がある。今は夏休み中だけど、部活の用事でチラッと来てみただけなんだし、別にいいじゃん! そう言いたいけど、いざ校則を破ると内申点に地味に響くのよねぇ。ふう、こんなちっちゃな違反でも、なんだかんだと気にしてしまう私は、何気に小心者なのかもしれない。




「いんだよ、細けぇことは! で、済ます豪快な某漫画キャラのようになりたいかも……」



「ん、茜さんが来たよ、姉ちゃん」



「沙希ちゃん~! あ、悠太君も一緒ね。もしかしてウチの部に入部したいの? 部長の天城さん曰く中学生も入部OKらしいよ」



「うーん、微妙だなぁ。でも、あの部はまったりできるから、何気に好きだったりするけど……」



 ああ、説明していなかったかしら? 悠太は私と同じ光桜学園に在学する生徒である。そのおかげか高等部にはエスカレーター式で入学できるので受験で忙しい他校の中学三年生よりは、有意義な日常を送れているわけだ。



「ねえ、ところで悠太君?」



「ん、何々?」



「そのフェレットみたいな襟巻きはなに?」



「あ、これは……」



「おい、人間の娘! 私は襟巻きではないぞ!」



「わ、しゃべった!」



「フン、当然だ。私は神だからな!」



 と、悠太が首に巻いている季節はずれな襟巻き――いや、一匹のフェレットがひょいっと地面に飛び降りる。むぅ、コイツなのよねぇ、悠太へ私室の響きわたった聞き覚えのない声の正体というのが――。



「やあ、兄さん。こうして顔を合わすのは何年ぶりかな? ああ、最後に会ったのは遥かなる神話の時代だったかな?」



「ん、ヘルメスか? しかし、その姿はなんだ? さて、それはともかく、一年も経っていないだろう? ついでに弓子が殺されるのを一緒に見たじゃないか――」



「そうだったね、アポロン兄さん……」



 ああ、このイタチ――いや、フェレットはギリシャ神話の太陽神アポロンを自称している。ヘルメス曰く、あの太陽を模したアクセサリーがつい首飾りに宿っていたそんな太陽神アポロンの分霊が、茶の間に飾ってあるフェレットの人形に宿り、本物へと転じたモノらしい。しかし神の力ってのはすごいなぁ。



「ああ、どうでもいいけど誰か来るわ! 悪いけど姿を見えなくしてもらえる? 学校はペットを連れ込んじゃいけないところだし!」



「ペ、ペットだと! むぅ、貴様、私なんだと……く、仕方がない」



 舌打ちをするアポロンの身体が、スゥと周囲の情景に溶け込んでいく。んで、完全に姿が消えるの同時に、キリスト教の尼僧(シスター)の格好をした金髪碧眼の女の人が左手を降りながらやって来る。



「あ、ミカエル先生。夏休みだというのに、お疲れ様です!」



「ウフフ、山崎さんは部活ですか? 確か、オカルト研究部でしたっけ?」



「まあ、そうですね」



「ああ、そういえば、生徒会の連中が、アナタ達の部室を旧校舎の方に移すって話をしていましたよ」



「な、なにィィィ!! く、講義しに行ってやるか!」



 キリスト教の尼僧の格好をした女の人は、高等部の二年生の英語の授業を担当するアメリカ人講師のミカエル・アーミティッジ先生だ。ちなみに、旧校舎の一階に教会をつくり、生徒達のお悩み相談室なんてものを開いちゃっている。



「あ、そうだ! 私の妹が留学してきたので紹介しますね、ウフフ♪」



「先生の妹? へえ、ラファエル達以外にもいるんですね」



「はい、たっくさんいますよ、私の弟や妹は――」



 ミカエル先生は、ウチの学校の英語の教師として来日する際、ガブリエル、ラファエル、ウリエル―-とまあ、そんなミカエルという自身と同じ大天使の名前を持つ弟を三人連れてくるのだった。



「ちょ、ミカ姉! 先へ先へと行かないでください! ここは初めて来る場所なんだし、迷子になったらどうするのよ!」



「あ、お前はサマエル!」



「にゃっ! アンタは熊女!」



「く、熊女! ア、アンタは蛇女じゃん!」



「だだだ、誰は蛇女よ!」


 ムムム、ミカエル先生の妹というのは、あのサマエルのことだったのかァァ~~!! 以外な再会だわ!

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