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序章 魔道書と魔法少女

 すべての始まり――いや、元凶は、古い洋書の蒐集鬼である父親が外国から取り寄せた死霊秘法(ネクロノミコン)という本である。



 あの本を読まなかったら、恐らく私の人生はなにもない穏やかなものだったかも知れない。



「うわああああああああっ!!」



 さてさて、私は悲鳴をあげる。


                         

 え、何故かって? 説明すると長くなるので簡単に話すわね。


 

 件の死霊秘法という本に記されていた変身魔術という項目を呼んだ途端、私――山崎サキの姿は、白い巨獣――ホッキョクグマの姿に変化してしまったわけ!



「う、うえええ、どうするのよ! こんな姿じゃ人前に出られないじゃん!」



 はわわわっ……ど、どうしよう! 元の姿に戻らないと人前に出られないわ! つーか、このままじゃ動物園に送られちゃう!!



「姉ちゃん、飯だぜ……うわああああっ!!」



 うええ、なんてこった! この姿を弟の悠太に見られてしまったぞ!



「は、はわわ、悠太! こここ、これにはワケが……」



「うおおお、シロクマが喋った……え、その声は姉ちゃん?」



 む、むぅ、悲鳴をあげたくせに意外と冷静だな、コイツ。まあ、とりあえず、私――アンタの姉である山崎紗希であることを判ってくれて助かったかも……。



「ほう~この本を読んだら変身しちまったってわけか?」



「う、うん、そんな感じ……」



「てか、なんて書いてあるのか俺にはさっぱりだなぁ」



「え、読めないの? 日本語で書いてあるじゃん!」



「はあ? 英語だろ、これ? シロクマになったせいで頭がおかしくなったのかよ?」



「む、むぅ……」



 ウソ! 死霊秘法は日本語で書いてある本じゃん! 悠太はなにを言っているの?



『ハハハ、彼には読めなくて当然さ。その本を読めるのは選ばれし者――キミじゃないとね』



「えっ……今、なにか言った?」



「はあ? 俺はなにも?」



「そ、そっかぁ……あ、元に戻った!」



 空耳だったのかなぁ? それはともかく、私の姿はホッキョクグマの姿から人間の姿に戻る。変身していたのは、ほんの短時間だったわけだ……ふう、良かったぁ♪



「うお、姉ちゃん! やっぱり姉ちゃんだったのか!」



「そ、そうよ、悪かったわね!」



「しかし、どんなマジックを使ったんだよ?」



「知らないわよ! この本を読んだら突然、変身しちゃったわけだしね。ホッキョクグマの姿に……」



「まあいいや、早く飯を食いに茶の間に来いよ」



「うん、すぐ行くよ」



 マジックなんて使ってないっつうの! でも、そう思うだろうなぁ、絶対……。



『弟君は立ち去ったみたいだね』



「わ、また声が!」



『ああ、そうだ! 君はその本に選ばれし者――魔法少女となったわけだ』



「ま、魔法少女!?」



 悠太が私の部屋から立ち去ると同時に、さっきの空耳が再び……え、私は魔法少女になった!? どどど、どういうことよ! ワケが判らないんですけど!



『さて、キミは魔法少女になったわけだし、手始めに使い魔との契約から洒落込もうか――」



「使い魔との契約!?」


 

 謎の声は使い魔との契約を――なんて言っているけど、私に一体、“なに”をさせる気なんだろう?



『そうだなぁ、近くに狐や狸、熊のような野生動物が生息している奥深い森林はないのかい?』



「はっきり言ってない! 野生動物というか身近な場所で見かける動物は野良猫やカラスくらいだわ」



 狐や狸、それに熊が生息している奥深い森林なんて、私の実家の近くにはないわ。そんな私の実家は、○○県S市の中心街から徒歩で十分、自転車なら五分程度で到着できる都会にあるわけだし……。



『キミのお爺さんは、確か○○県の田舎に住んでいたよね?』



「ちょ、なんでそれを!!」



『フフフ……僕に知らないことはないよ』



「む、むう……」



 僕に知らないことはないだぁ? むぅ、プライバシーを覗き見された気分だ。腑に落ちないわっ!



「う~ん、たまに遊びに行ってみようかな? どうせ、夏休みだし……」



 たまにお爺ちゃんの家に出張ってみるか! 今は夏休みだし、それに避暑地としては最適なのよね。お爺ちゃんの家があるあたりは――。



『ひとりで往くのが嫌なら弟クンでも――』



「いや、アイツはやめておく。ゲームができねーとか文句を絶対に言うと思うし……」



『そ、そうなんだ。じゃあ、別の者を――』



「そのつもりよ」



 悠太は絶対にNO! アイツは田舎は不便だって騒ぐに違いない。それにお爺ちゃんは携帯ゲーム機などを毛嫌いしているので余計に……。



「そうだなぁ、茜にでも声をかけてみるか……」



 悠太の代わりに、親友の蓮田茜にでも声をかけようと思う。絶対、暇をもてあましていそうだしね。



「さ、善は急げってヤツね。早速、茜に電話をかけてみるか!」



 さて、茜に電話をかけてみよう。そして、お爺ちゃんの家がある田舎に出張ってみるか――。

 ヘタクソですがよろしくお願いします!

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