パチンコが人生を壊すまで

18歳で地方都市の大学に進学した主人公は、孤独と空虚を埋めるようにふと入ったパチンコにのめり込んでいく。最初は遊びのつもりだったが、勝敗に一喜一憂するうちに、生活の中心がパチンコにすり替わっていく。恋人・奈央の献身や、家族からの期待も裏切り続け、借金を重ね、ついには奈央の大切な品を勝手に質入れし、彼女とも決定的に別れてしまう。

追い詰められた主人公は自殺未遂を起こすが、奇跡的に一命を取り留め、病院のベッドで目覚める。依存症という「病気」と向き合いながら、母の支えのもと回復施設に通い始め、少しずつ心を取り戻していく。そしてやがて、自らの経験を語る側——依存症回復支援の現場で働くようになる。

再発の誘惑、家族との溝、過去の後悔。依然として痛みは消えない。それでも、同じ苦しみを抱える人々と向き合い続けることで、主人公は「壊れてしまった人生にも、もう一度始め直せる場所がある」と実感していく。過去の自分を救うように、いま目の前の誰かを支える——それが、主人公にとっての新しい人生だった。