第2幕 おじいちゃんの名(?)推理が炸裂
おじいちゃんが「世界反メロンパン連盟」の陰謀などとひとたび口にしたら、もう止まらない。
「ぱみゅ子!」おじいちゃんが力強く叫ぶ。
「あ、はい……?」杏子はすっかり慣れた様子で返事をする。
「世界反メロンパン連盟が裏で手を回したに違いない!」おじいちゃんの目が輝いている。
「どこにそんな連盟あるのよ~!」杏子は頭を抱えた。
「いや、これはただの偶然ではないのじゃ!メロンパンは歴史と伝統を誇る食文化じゃ。そこを変えるということは、ただ事ではない!」
「おじいちゃん、それはただのレシピ変更だから……」
杏子が冷静に言うと、おじいちゃんは即座に反論する。
「変える?食文化を? これは単なるレシピ変更ではない!サクサクメロンパンをしっとりさせるということは、全世界のメロンパンを新しい形にする革命が始まったということだ!」
「革命?」杏子は頭を抱えるが、しっかりと声を抑えて言った。
「おじいちゃん、ちょっと冷静に考えて。そんな大げさな話じゃないよ」
だが、おじいちゃんの耳には届かない。彼はすでに自分の中で「メロンパン革命」なるものが起こったと確信しているらしい。
「さあ、ぱみゅ子!商店街を調べるぞ!」おじいちゃんは勢いよく杏子の手を取って、歩き始めた。
商店街で調査開始
おじいちゃんの指揮のもと、杏子は仕方なく商店街を歩くことになった。おじいちゃんは歩きながら、周りの店をじっと見回している。
「うーむ、みんながしっとりメロンパンを買っているこの状況、まさに陰謀の兆しだな。全員が変えられてしまっている!」
「それ、ただの人気商品の変化だから……」杏子は再びツッコむが、おじいちゃんには届いていない様子。
通り過ぎた八百屋の前で、近所のご婦人たちが集まっておしゃべりをしていた。
「最近のメロンパン、食べやすくて嬉しいわぁ。あれ、しっとりしてるから、どんどん食べちゃうのよね」
「ほんとほんと。サクサク感がなくても、これもアリよねぇ」
おじいちゃんはその会話を聞き、急に顔をしかめた。
「な、なんじゃと?!」
「おじいちゃん、どうしたの?」
「これこれが陰謀の証拠じゃ!」おじいちゃんが突然叫んだので、周りの人たちが一瞬驚いた。
「メロンパン文化が破壊される!世界中のパン屋がサクサクを放棄して、しっとり派に変わろうとしているんじゃ!」
「ちょっと、静かにしてよ!目立つから!」杏子は慌てて小声で言うが、おじいちゃんは全く意に介さない。
「みんな!気づいておらんのか?!この流れが次第に広がって、最終的にはすべてのメロンパンがしっとり化してしまうんじゃ!」
「それって、そんなに悪いこと?」杏子は疑問に思ったが、おじいちゃんの目はますます熱くなっていく。
怪しい男を発見!
その時、突然、おじいちゃんの目が鋭く光った。
「見ろ!あの男だ!」
杏子はその方向に目を向けると、パン屋の前で誰かが何やら怪しげに話しているのを見つけた。男は黒いスーツにサングラス、そして妙に気取った口調で話している。
「メロンパン革命の時が来たな……」男が呟くように言った。
「ほら!言ったじゃろう!」おじいちゃんは指を差して言った。
「奴が黒幕に違いない!」
「いや、ただの通行人じゃん……」杏子は思わずツッコミを入れるが、おじいちゃんはすでにその男を追いかけていた。
「待て、黒幕!何を企んでおる!」
「ちょ、おじいちゃん、待ってよ!」杏子はすぐに追いかける。
おじいちゃんは歩くのが遅いため、すぐに追いつくが、男はまるで気づいていない様子で、悠然と歩いていく。
「なにか怪しいことをしているはずじゃ!」おじいちゃんは言いながら、男をつけ回す。
「おじいちゃん、本当に変な人に話なるからやめてよ!」
杏子はため息をつきながら、なんとかおじいちゃんを追いかけるが、その瞬間、男がパン屋に入っていくのを見届ける。
「ほら、行ったぞ!」
「ちょっと待って、本当にただの通行人かもよ?」杏子は半信半疑だったが、おじいちゃんの興奮が収まらない。
「この店、きっとメロンパンの裏取引が行われているに違いない!」おじいちゃんの推理はますますヒートアップしていた。