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…LIFE:WAR…  作者: OGRE
4/4

最後と最初

生命戦争は急展開を迎えた…オーバーテクノロジーは人間の思惑を超え手のつけららない次元に発展…

 作戦実行日…MINDSの部隊及び関連機関の戦闘員がニューヨークへと進出を開始…作戦は最初から難航していた…

「皇太!原生生物が動き出した!どうする!」

「AランクとBランクは前線を防御!普通の狙撃兵は風間の周辺に待機!」

「皇!準備出来たよ!」

「今!行く!」

 皇太の作戦はこうだ…天那のフルパワーの光線で皇太の周辺を固め風間の作成した時空制御装置を中に押し込み広がり続ける空間を縮める寸法だ…

「皇!行くよ!」

「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「行けー!」

 この作戦の最大の欠点は時間…天那がどこまで持つか…そして皇太が時空間に飲み込まれないこと…もうひとつ…原生生物に対してMINDSの戦闘員が持つかどうか…

「皇太…やばいぞ!押し切られる!」

「ちっ…三分か…ここまで来て…」

 そして…最悪の事件が起きた…天那が倒れ皇太がそこに居られなくなった…回避して体制を立て直すにも原生生物の攻撃が激しさを増し味方の数が少なすぎる…一度帰還することになった…MINDSの力が及ばず作戦は失敗に終わった…

「皇…そんなにがっかりしないでよ…まだチャンスはあるんだし…」

「…あれを消すにはもっと大きな戦力と時間が必要になる…」

「確かに…だが…諦めるわけにもいかないだろう?皇太…」

「一つわかった…俺達ヒューマが全員で力を合わせればあれを消せる…そのために…天那や誠司…紫神、レイ、光、拳我…その他のメンバーのシンクロ率を上げなくてはならない…そうするとお前たちは人間の姿に戻れなくなってしまうかも知れない…」

MINDSのホールに集合したメンバーへ一通り説明した…天那や紫神は元々人間に近い形をしているためシンクロ率は高い…しかし…皇太やレイのような獣人型は低めで一度上げてしまうと二度と戻れない可能性があるのだ…

「科学調査機構へ風間から連絡は入れた…後はお前らの意志だけだ…」

「…」

 言い残しホールを出て行った…もちろん本人はシンクロ率を上げるために…皇太自身の覚悟を見せるためにという意味もあったが大きな賭けである事には変わりない…

「…兄上…」

「俺も行くかな…レイ!お前も行くんだろ?」

「あぁ…親衛隊長が行かなくてどうする?親衛隊最後の生き残りとして俺はこの世界を彼とともに世界を守る…」

「ならば私も腹をくくろう…守るか…今度は絶対無理はさせない…」

 徐々にメンバーが動き出した…皇太について行った天那と紫神の後に続き次々に中央ラボに行く…他の組織のメンバーがMINDSの戦闘員を見るたびに何かの覚悟を見た…そして…

「お願いだ!兵器だけでいいんだ…この通り!」

「そんな…困ります…」

 MINDS所属の人造人間以外のメンバーが知り合いの組織を訪れ交渉を始めた…次々にMINDSへの協力を決定した…理事会でも…

「私は夜井理事の代理で音羽慶二と申します…今回の緊急招集の内容は皆さんへのお願いが目的です…我々は一度作戦に失敗しました…それは我々MINDSが単体で事に挑んだ事が原因です…それを踏まえMINDSはみなさんと協力戦線を組む事が今回の問題解決においての…」

「…解りました…しかし…それを行ったところで勝てる勝算はあまりにも低い…というより無いに近い…」

「…我々PHOENIXはMINDSに協力したいと思う…仮にMINDSが例の空間に飲み込まれても我々は宇宙に避難する事が出来る…だが…MINDSは我々の同士だ…このような場合は我々はこの世界に生まれた仲間として共に戦わなければならないのだと私は思う…」

「その通り…あくまで自分たちの組織の利益のみを考えていただいて結構です…我々に協力していただければ…それに地上の人類はほぼ壊滅しました…今更争いをしたところで何も生まれません…我々は共存すべきなのです…」

シンクロ率強化でほとんどの者は体には出ず変わらなかった…poseidonn内の組織も徐々にMINDSへ協力する姿勢を固め始め…作戦の第二弾の準備も開始した…

「…遂に来たな…この時が…」

「あぁ…しまって行こう…皆死ぬなよ…」

『オォ―――――!』

「各隊に次ぐ…指示された防衛線は絶対に死守してくれ…頼んだぞ!」

 作戦の第二弾も発動された…風間や各組織のメカニック、プログラマー、科学者、情報伝達士などがposeidonnから操作…空を飛べる戦闘員が皇太や誠司、レイ、慶二の警護を始め敵を寄せ付けない…陸では各組織の戦闘員が奮闘…紫神と拳我がそれを補助…陣形に不足は無い…

「皇太!作業は終わったか?」

「終わった!これより第二段階に入る!」

「よし!皇太、レイ、誠司、慶二以外は異次元発生空間から離れろ!」

 その時…突発的な襲撃がhebunnの残党部隊により勃発し原生生物のみでも手を焼いていたMINDS連合に多きな打撃を与えた…予定変更の合図が出されMINDSのメンバーで攻撃を空間の外郭に当て萎縮させるはずの作戦を変更し誠司とレイが地上へ援護に向う…慶二はナノマシンの戦闘員のため作戦には参加できない…

「この…カスどもが!わらわをどれだけ怒らせれば気が済むのだ!全て消し去ってくれようぞ!」

「離れろ!黒姫が力を出すぞ!」

 hebunnの残党は諦めない…いくら仲間が紫神になぶられようと殺されようとお構いなしに皇太に向って攻撃を繰り出してくる…異空間に当たった攻撃は中からの原生生物の出現を増長する…皇太一人で今のところなんとかなっているが地上も空中も劣勢…これでは前回と同じ展開になってしまう…

「皇!後ろ!」

「チッ…こいつらぁ!」

地上では各隊と紫神と拳我が奮戦している…しかし原生生物の中に巨大種が現れ始め劣勢である事には変わりない天那や紫神はそろそろ危険になってきた…

「皇!紫神ちゃんが小さく成り出した!」

「今行く!紫神!」

「兄上…おきになさらず…私とてMINDSの戦士…これしきで負けはしませ!今こそ新たに力を解放する時…」

「紫神!」

 巨大なオーラの塊になって紫神が攻撃を開始した…それに恐れをなしhebunnの残党は逃げ始めた…その次は拳我だった…

「逃がすかぁ!テメェらのしてきた事はけして許さない…皇太さんのおかげで俺は生まれ変わった…この力もな!」

黄金の獅子…hebunnの残党もろとも巨大な龍を殴り飛ばし次々に蹂躙しながら敵をなぶるそこに…

「俺だってお前らには借りがある…覚悟しろよ?部下の事…俺の事…この大陸の多くの住民の事…ここに迷いこんだ生き物には悪いがお前たちにも消えてもらう…ここは俺たちの世界だ!」

 オオタカが舞い上がり次々に首を落としていく…

「私も参加させろ!ウオォォォォォォォ!」

  光…銀狼…凄まじいまでの力で敵を蹴散らす…

「俺だって!ラァァァァァァァァァァ!」

 誠司…

「俺たちも気合入れて行くぞ!MINDS!」

『オォォォォォォォォォォォォ!』

 地上は一転しMINDS連合が善戦…空中では皇太が一人で大量の生物と敵兵を相手に奮闘していた…しかし数が多すぎる…大型の生物の攻撃に気を取られ注意が散漫になっていた時…

「しまっ!」

 後頭部に強打をくらい異空間に吸い寄せられていく…

「皇!今行く!」

 天那の力…光の翼を広げ大きく空を舞い皇太の方向に飛んでいく…途中の敵もお構いなし…体当たりしながら異空間の表面に近づき間一髪手を掴んだ…しかしいくら引っぱっても抜けない…

「なんで!この!」

「姉上!」

 やはり敵は付け狙う…そこに黒い翼が現れ敵を迎撃した後天那の手を掴み引っぱり始めた…

「やめろ!この人たちは死なせない!あたしたちはこの人たちの仲間になっていればよかった!天使さん!あたしたちも協力するからなんとか引っぱりだして!この人がいなければ…このまま飲み込まれてしまう!世界が…世界が飲み込まれてしまう!」

この少女以外にも何人ものヒューマの加勢があり徐々に引き戻す…敵は人だけではない…獲物が群がればそこに群れてくる…巨大な龍や幻獣の類が我先にと襲いかかってくる…

「させるかぁ!」

「皇太さん!」

 誠司の背中から拳我が…レイの背中から光が飛び上がり拳の猛打を与えた…時間を稼ぐうちに地上からもレーザー砲が放たれ撃墜を始めているMINDS連合…徐々に腕、肩、頭と姿を現し抜けだし協力してくれているヒューマの数も増え始めた…

「頑張れ!もう少しだ!」

「ウオォォォ!」

『そーれ…そーれ!行けぇー!』

 皇太の体を異空間の中から引きずり出し地上に戻った一同…戦闘を開始して38時間…皇太が意識を取り戻し原生生物の襲撃が一時的におさまった…天那の看病のもと皇太も立てるようになった…

「…皆…心配をかけた…だがもう大丈夫だ…これ…」

「きゃっ!」

 その時…大きく地面が揺らぎ地面が空中に浮き上がった…皇太が最終形態へと変化し叫んだ…

「皆!今から言うことを聞いてくれ!これから最後の攻撃をする…俺と天那以外の皆は一度poseidonnに引き上げてくれ…何が起こるか解らない…残りたいものは残っても構わないが命の保証は…」

「水臭いな!俺たちは親友だろ?」

「新しい親衛隊もみな残る決意です…全ては貴方のために!」

「兄上…私もお供します…」

「皇太さん!俺ものこるぜ!」

「お前ら…」

 どんどん異空間が近づく…皇太と天那が翼を開き強力なエネルギー攻撃を始めた…紫神とMINDSの精鋭がバリアを張り他の普通の戦闘員を守っている…

「行くぞ!皆!」

「ハァァァァァァァァァ!」

 巨大な黒と白の光線が放たれ異空間に直撃した…周りを飛び交う仲間たちが群がる生物を攻撃し遂にその時がきた…

「離れろ!皆!」

「うわ!」

 強力な閃光と大きな衝撃波を放って異空間は崩壊した…その場にいたヒューマや人間はみな助かった…皇太と天那がとっさに張ったバリアのおかげだ…

「姉上!」

「紫神ちゃん!うわっ!」

 紫神が天那に飛び付きはしゃいでいる…こんな嬉しそうな顔は初めて見る…皇太の所には新生黒龍親衛隊が並び敬礼し…拳我は慶二の所に行き入隊をせがみ…光はレイに抱きつき離れない…和やかな空気が流れ少しした後…

「皆…poseidonnに帰って外に基地を広げる準備をしよう…」




poseidonnに帰還し数日後…皇太の他にも続々と地上に街を広げ今までのように生活を始めた…最初の戦闘から三年半…完全に終結した戦争…それは新しい文明を生み新たな人類が誕生した…新たに解放された『ヒューマ』と人間が愛し合い子供が生まれた…言い遅れたがこの世界に新たな王として皆に慕わている王…若く謙虚で頭もよい王は国を作り大きく広げ信頼のおける部下を次々に王に抜擢し世界を復興させて行った…

「あれから三年…皇太の奴もここまで成長するとは思わなかったな…」

「そうだな…俺もあの人に助けられ…王にまで成った…俺は彼に何が出来るだろうか…」

「邪魔するぜ!久しぶりだな…誠司と拳我…」

「レイ!」

 メンバーはほとんど昔のままだ…皇太と天那以外がみな集まった…

「皇太もくればいいのに…」

「無理ですよ…兄上は我々と違い本国の国主…そこまで暇ではないですよ…」

「そうでもないぜ?」

「兄上!」

 建国してから三年…アメリカから始まり南アメリカ…アフリカ…ユーラシア…奥地…南極…と国連の参加国が進出していった…

「皆久しぶりだな…」

「お前こそ!こんなところに来るなんて珍しいな…」

「悪いか?」

 宴会になり昔話に花を咲かせている…各国の王になっても皆これまでの仕事は変わらず本国にいる…レイは今や一億人にまで膨れ上がった親衛隊の総隊長…拳我は新生MINDSの副官もちろん慶二が総司令官である…光はレイと結婚したのちも陸軍総帥…誠司は空軍総帥…紫神は皇太の秘書兼隠密機動衆の局長ちなみに誠司と婚約中…紅は技術科学局局長の風間と結婚し今は日本跡地に建設中の海上要塞『大和』に風間とともに居住…皇太はもちろん天那と結婚しアメリカのニューヨークを拠点とした新国家『桜花』の国王として治めているもちろん天那は王妃…メンバーはみな重役に着き高い地位にある…皇太が王になり毎年一度スピーチをしている…それがこれまでこの世界の平和を保ってきた…この世界の危機を救った英雄の言葉は大きいのだ…

「我々ヒューマはこれまで三年という短い間に争い事が全く起きずにきた…これからもこの状態を維持しなくてはならない…本国を中心に栄えたこの世界…私の父総一郎が目指した世界を実現した今…」


「そうだよな…俺達も皆変わったけどアイツが一番かもしれないな…」

「えぇ…彼が私たちとこの世界を変えた…最初は頼りない優男でしかなかったあれがこうも変わったのは…」




それから数年…我が父皇太は私が幼い時に他界してしまった…享年30歳…それでも母天那はとても元気だ…私…つまり皇太と天那の長男の皇騎が職と家を継いでからおよそ10年…この国は…この世界は父と母の言葉に守られ…二代目になった…私も29歳になっている…私の妻は父の親友だったレイ氏の一人娘だ…双子の子供もいる…父皇太が行っていたスピーチは回数は減ったもののいまも続いており父の代よりの友情も我々に受け継がれた…

『皇騎…お前が大人になった時にこれだけは忘れてはいけないよ…命は…絶対にもてあそぶ事は許されない…特に自我を持つ生き物をゆがめる事は許されない…今でこそ過去だが“生命戦争”は多くの命を奪った…本当に失ってはいけない物は人を思いやる心なのだ…よく覚えておくんだよ…』

 父はそう言い残しあの世に行ってしまった…私は今それを心に全ての事に対して国を動かしている…争いは何も生まない…それを父のように私も息子に伝えられるだろうか…私は…いや…この世界にいる全ての生物は変化する世界で生きている…それが一番の幸せで一番大切な事ではないのだろうか…さぁ…外にいこう…今日も平和を守るために生きる事を守るために…歩んでいこう…

「皇!」

「あぁ…行くよ!」

 歩んでいこう…未来へと


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