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…LIFE:WAR…  作者: OGRE
1/4

寡黙な少年

「皆!気をつけてね!」

早朝から学生服を着た少年がエアバイクで道を走っている…車があまり通らない道のようだ閑散としている住宅外の早朝はこんなものなのだろうか…その後ろから少年を追いかけているらしい少女がジェットブーツで追いかけてくる…

「皇!置いていかなくてもいいでしょ!こんなかわいい子と登校できるなんて皇は結構幸せなんだぞ!」

「お前さ…朝起きるのも飯食うのも遅すぎ…」

もう気がついたでしょう…この時代は大きく科学の進歩した時代です…それは豊かさを生みました…表向きは平和なように見える世界…彼らにはそうは見えていないのです…

「で…皇!今回のテストはどうだったの?」

「何故そんな事を聞く?」

少女は唸り少年に向って大きな声で叫んだ…

「だって皇が今回のテストの合計で勝ったらデートに連れて行ってくれるって言ったもん!」

「…知らないぞ…」

「良いの!今約束した!」

少年が呆れた顔でスピードを上げながら急カーブを大きく曲がった…彼らの通う高校は山奥にあるようだ…少女が少し遅れてスピードを上げて追いついてくる…

「皇!待ってよ!」

「…着いたぞ…スピード落とさないとぶつかるぞ…」

少女が急ブレーキをしながら止まり専用の車庫にエアバイクを入れている少年の所に行った…少年としてはあまり少女に関心は無いようだ…

「約束だよ!破ったらおじさまに言い付けるからね!」

「解ったよ…」

諦めたように返事をしてそれぞれの教室にむかった…下駄箱の名前を見ると彼は夜井皇太というようだ…下駄箱を開けると手紙の束が落ちてくる…それを鞄にしまい教室へと歩き出した…彼は理系クラスのようだ、しかも生物学で個人の研究ブースがある所を見るとかなりの切れ者のようだ…鞄を置き講義のある大教室の名前の書いてある席に座り手紙と便箋とノートと教科書を机の上にのせて手紙を読み始めた…

「さぁ!授業を始めるぞ!」

「起立!礼!」

お決まりのあいさつを形式どおり他の生徒とともにしたのち再び先ほどの作業を開始した…そうなるとやはり教師は目をつける…

「夜井!授業を受けなくても全部解るのか?それとも退屈すぎてしょうがないか?」

「いえ…ノートも取りながら書いているので気にしないでください…」

「そういうわけにはいかないんだよ!夜井!ここの問題解け!」

「人体の細胞とナノマシンの結合は極めてまれなケースである…なぜなら…個々の遺伝子の一つ一つの情報が違うためナノマシンを公用化はできない…というのが適切な答えでしょう?もう一つの要因…」

「よし…わかった…座れ…」

生徒の間ではクスクスと笑いが飛び交っている…構わず大爆笑している奴もいる…皇太が教諭を笑い物にするのがよほど気分が良かったのだろう…しかし皇太自身は顔色一つ変えず黙々と手紙の返事を書いていた…


「皇!テスト!」

少女は満面の笑みを隠さずに皇太に詰め寄りテストの結果を確かめに来た…彼女の征服のバッチを見ると文系クラスのようだ…皇太は四つ折りにしてある紙を手渡し下駄箱に向った…

「うそ~!そんな馬鹿な!」

「嘘じゃない…実力だ…」

皇太はかなり口数が少ない…必要最低限のことしか言わないようだ…少女の答案の名前を見ると音羽天那と書いてある…天那はその場に座り込んで落ち込んでいる…いつの間にもどって来たのか皇太は壁にもたれてそれを見ている…しばらくして…

「どこに行きたい?」

「へ?」

「どこに行きたいと聞いている…ちなみにNGは個室で密接するところ…」

「じゃぁ…遊園地!」

一回うなずき時計を指さし教室に帰っていった…三時間目が始まり調理室に立っている皇太…何故か女子に混ざっている…よく見ると彼をふくめ三人男子がいるようだ…

「では各般に分かれて調理を始めてください!出来上がった班から挙手をしてください…採点が終わり次第試食しても構いません!」

「皆…落ち着いて行こう…」

25分後…皇太が挙手をした…メニューはフルコース…早い…

「夜井班は完成したようですね…では採点をします…」

四人班の残りの女子生徒たちが唖然としていた…手際良し…包丁裁きは流れるよう…並べ方や食器の置き方のマナーまで完璧…

「夜井班の得点は堂々の満点ですでは試食してください…」

高校に入学して約一カ月が経過しているが知らなかった…こんなに料理ができるとは…

「すごいね!夜井君!どこかのイタリアンのレストランに出入りしてるの?」

「いや…親父が味にうるさいだけだ…マナーは基本中の基本だし…な」

この無口でクール?な反応が女子の間では人気らしい…が本人はそんな感情はまったくない…そして少し変な奴だ…

「おい…皇太…お前二時間目になにしてたんだよ?」

「手紙の返事を書いていた…」

「もしかしてそれ下駄箱にはいってなかったか?」

「あぁ…そのとおりだ…どうかしたのか?」

このようにラブレターにも一通一通全て丁寧な断りの文を書きコインを添えて下駄箱に入れに行くのだ…

「…まぁお前らしいな…」

と…こんな男なのだ…彼は成績優秀で運動も完璧にこなす…しかし女の子の扱いほど解らないものはないようだ…そして今日は金曜…

「皇!行こう!」

「あぁ…」

皇太のエアバイクは大型で二人ぐらいなら余裕で乗れる…皇太が車庫から出してまたがると後ろに抱きつくように飛び乗った…

「乗せてって!」

「はぁ…ヘルメットないだろ?使えよ…」

 

天那がヘルメットをかぶってしがみついたのを確認すると皇太はバイクを急発進させて急カーブの坂を下って行く…それを羨ましそうに周りの生徒たちは見ていた…天那にとってこういう瞬間が一番幸せなのだ…何故か皇太の背中が少し盛り上がっているのが少し気になったが…それに前までいつもきれいに切っていた爪も尖っている…何かがへんだ…



次の日…皇太が朝早く起きて着替えを始めた…天那も珍しく早起きしている朝八時…

「天那…そんなにはしゃぐな…ほら…お前用のヘルメットだ…」

「ありがと…少し早いけど行く?」

皇太のバイクの後ろに乗り一時間ほど走っている皇太の運転は性格に合わずかなり荒い…しかしプロのスタントマン並の運転をする…

「大丈夫か?」

「この運転で大丈夫な人はいないと思うけど?」


数分後…オーシャンパークに近づいていく…フルフェイスのヘルメットのため顔は確認できないが感情的観点では…

「…お前…はしゃぎすぎ…」

「良いじゃん!たまの外出なんだし!」

「…」

皇太は天那との会話をしながら別の物に注意をしていた…銃を持った連中が三人…武装機動兵が各所…その他αとβの混合部隊が皇太の周りに張り付いている…

「天那…今日はここの付属のホテルに泊まるか?」

「え?別に良いけど…どうして?」

「決まりだな…」

このレジャーの施設で昼間に大規模な戦闘をするわけにはいかない能力のことも含めても…それに天那も巻きこむ訳にはいかない。夜に機会をうかがい殲滅するのが皇太の作戦だ…

「じゃ…はい…お願いします…」

総一郎に連絡をして一室にチェックインした…普通、高校生がそんな大金を常時持ち歩いているはずはないのだが…

「皇!お休み!」

「おう…」

天那が寝たのを見計らい部屋を抜け出した…

「よし…」

外には正規軍や殺し屋の類が昼間よりも多く集まっている…が所詮は皇太の相手ではない…

「夜井皇太!これだけの人数相手にお前一人では戦えまい!降伏しろ!」

「…お前たちは普通の人間なんだろう?ならここは引け…皆殺しにされたくなければな…」

「何だと!このクソガキ!」

皇太としては諌めたつもりなのだろうが明らかに逆効果になっている…敵は銃器やナイフなどで巧みに攻撃してくる…それでも不思議な体技や憲法を駆使して一人また一人と蹴散らす…

「こいつ!舐めやがって!」

「舐めてなどいない…」

粗方の敵は皇太の戦闘能力に恐れをなし逃げて行く…そして新手の敵が集結してくる…αクラスの戦闘員…それはマインドコントロールされた人形兵器でβクラスの戦闘員数名が式をとる…

「死ね!シャシャシャ!」

「フン…」

敵の腕が刃物に変形し皇太の首を狙う…しかし刃は首には届かずに生身の腕で抑えられた…服を切り裂くと鱗がのぞいている…次の瞬間には切りつけた男の首が胴体から離れ落ちた…その後惨劇は続く…皇太の精神を食い荒らし…龍は暴れ出す…その真相や起している本人は確認できなかったが…天那がそれを目撃してしまった…

「や…やめろ!殺さないで…ギャー…」

「おい…お前…くっ…来るなぁ!」

「総員退避!…がっ…馬鹿な…こんなことが…」

そこに居た敵の全てが意識のない人形のように転がっている…皇太の反暴走的な行動により本当に皆殺しにあったのだ…

『やめろ!OGRE…この体はお前の物じゃないんだ!』

『君さ…なんか勘違いしてるよ…僕は君の一部なんだ…君の考えてることはすぐに解る…早く君が僕を受け入れることを祈るよ…』

皇太の体表の鱗や角が消えた…そして激しい痛みが彼を襲う…係員がそれまでの戦闘の音を聞きつけ集まり始めている…

「君!君!大丈夫かね!」

「早く…犯人が…まだこのパーク内に…」

皇太の演技により自信の秘密やその戦闘で命を落とした者たちのことの後処理をする余裕も作ることに成功した…しかし…

「皇!どうしたの!なんでこんなことに…」

「夜に飲み物を買いに出たら怪しげな集団の抗争に巻き込まれたんだ…」

「皇太!大丈夫だったの!」

「親父!その言葉早く治せよ!」

一応病院に搬送された皇太だった…皇太の父である総一郎、天那はもちろんのこと…紫神と誠司もいる…

「皇太…この後天那ちゃんと遊んできなさい…そのあとに話しの詳細を聞く…」

「おう…親父…」

父親…総一郎の組織する…MINDS…その組織の参考研究素体の夜井皇太…この男は国連の開発機構EDENにより実験個体として作られた…そして失敗作として捨てられその組織に対抗するために設立されたMINDSの創設者夜井総一郎に養子として引き取られ皇太の了承のもと生体実験の経過を見ている…最近覚醒の兆候が見られ総一郎の目が離せない状態が続いているのだ…

「天那…医者の許可が出た…他に行きたいところがあるか?」

「でも…」

「天那ちゃん行ってらっしゃい…皇太が珍しく乗り気なうちに!」

総一郎の勧めで二人は外に出た…手をつなぎ傍から見れば恋人のように歩いている…そして天那はあることに気付く…皇太の手が固い…そして温度が低い…

「皇…やっぱりまだ体調が…」

「大丈夫だ…行こうぜ映画…」

皇太が父…総一郎から告げられたのは…『お前の体が暴走し出しているのは覚醒の兆候かもしれない…今日一日天那の相手をしてあげなさい…』…ということだ…天那と会えるのは今日が最後になるかも知れない…

『総一郎に言われなければ全く気付かなかった…天那は俺のことが好きだ…そんなことは考えたことすらない…思えば…

「皇!どれが良い?」

「天那が決めな…俺はなんでも良いから…」

「SF…これ!」

皇太の手を引いて歩いて行く天那…本当に楽しそうだ…しかし…皇太の心が満たされることはない…自分の『存在理由』それはなんなのかを考えていた…

「皇…すごい迫力だよ…」

映画に食い入り皇太の手を握り力を込めながらスクリーンに映る映画を見ている…戦闘シーンの途中に兵士が人を襲うシーン…えぐられたかのような痛みが目に走る…手に龍の爪や鱗が出る…そして天那が…

「皇?…皇?大丈夫?」

「あぁ…」

『気付かれた!』しかし…天那が何もその話題には触れない…不審に思い皇太はこれから天那を監視するようになった…天那は皇太の手の鱗と目の特徴を覚え心に刻んだ…彼に何が起きているのかを知るために…

「あ~…楽しかった!今日はありがと…皇!」

「おう…また行きたかったらいいな…できる限り付き合うから…」

 皇太の様子がおかしいのは天那も察しがついていた…しかし何のためにかは未だに解らないようだ…

次の日…

「皇太!天那が起きてくる前に目を隠しなさい!」

「…へー…俺はこんな化け物なのか…」

皇太の体に徐々に変化が現れ始めて二日…大きな変化が現れた…右目が金色で瞳孔の広い目に変わった…総一郎の話しでは『龍の目』が発達したらしい…

「天那!遅刻するぞ!」

「ふぁ~い…」

眠い目をこすりながら階段を下りてきている…皇太が弁当を三つ鞄に詰め込みバックをエアバイクのサイドアタッシュにいれて天那にヘルメット投げ乗せて急発進した…その間およそ三十秒…

「キャー!皇ぉ!スピード落としてぇー!」

「遅刻するのと絶叫するのはどっちがいい?」

「遅刻の方が断然良いー!」

時速100キロ…エアバイクで爆走…高校生にそんなことができるわけがない…そして…もはや道路交通法…云々の話では…車庫にバイクを入れ…腰が抜けた天那を抱きかかえて教室に送り自分も研究ブースに荷物を置いて教室に入り着席…この間十分…それで涼しい顔をしている…文系クラスでは…

「天那…今の理系クラスの夜井君だよね…彼とどういう関係なの…?」

「…居候…」

「どっちが?」

「あたし…」

天那の友達にねぼりはぼり聞きだされている…皇太は天那のクラスの黒板の上部に固定式監視カメラと盗聴器をつけていた…

「おっす!皇太!どうした?その右目…」

「あぁ…塩素系の洗剤が目に入ってな…医者の話しでは失明はしないしすぐに視力は回復するだろうと…言っていたから心配するな…」

「まぁそれなら良いが…」

天那の他にもう一人皇太を調べ始めた生徒が一人…学級委員のバッチをつけている…彼女の名前は紅 京香…理系クラスで三番目に頭がいい…皇太が目に胞帯を巻いていることを聞きつけて湧くように現れる女子の中に混じり皇太を観察している本人は既に気付いているようだが…

「皇!そう言えばその目大丈夫?」

「お前…朝バイクで送っただろ…気付けよ…」

少しざわめいている…皇太と天那の関係について朝のこともあり付き合っているのではないかと噂が横行し遂には校内新聞の一面も飾った…皇太は相変わらずで感情を顔に出さず寡黙で冷静な生徒を演じているが心打ちは穏やかではない好奇心と恐怖の狭間て自らの体についてどうしても見つけなければいけない…そして…友のためそれを暴こうとする者と皇太の正体ついて記憶と母の残した記述をもとに探す者…それぞれの思惑が重なり交差する…そして…

「やはりな…俺の体にはこいつの遺伝子情報が組み込まれている…後戻りはできない…か」

天那も母の資料の中から見つけた…皇太の正体を…しかし…それを受け入れるのには少し時間がかかりそうだ…愛する人は…

「そんな…皇が…人造人間だなんて…それに皇太も警戒し始めてるし…あんまり深入りはできないし…皇が気が着く前に辞めないと…」

次の日…

「おはよ!皇!先に車庫で待ってるね…」

「珍しいこともあるものね…皇太が朝寝坊なんて…ほら…天那ちゃんが待ってるわよ!」

「親父…俺も『人間』だからそれぐらいある…」

天那の心をえぐる言葉…『人間』…皇太がどのように思っているかが知りたかった…しかし…とてもそんな勇気は出ない…自分から彼が離れてしまいそうで…

「皇…今日の夜…時間ある?」

「あるが…どうした…?」

黙った天那を見るとだいたい察しがついた…しかし、あえて追求はしなかった…自分も見つけた真実をまだ受け入れられないのだから…

夕方…皇太は一応、総一郎に連絡し遅くなることを告げた…

「皇…あたしね…皇の本当の姿を知ってからこのことを言うべきか迷ってたの…でも…もう迷わない皇!…」

「俺は…人造人間…試験個体番号UT―444…俺も自分の運命を呪ったさ…だが…」

「言わないで!…もういいよ…皇…皇がどれだけ辛い思いをしてきたか何となく解った…でも皇は皇は…いくら遺伝子を改造されていてもあたしの好きな人には変わりないんだから!」

「…やっと本人の口から聞けた…正直な…お前のことは親父から話を聞くまで何とも思ってなかった…だがお前の…いや…またにしよう…だけどだな…だんだんと…なんつーか…」

「皇…」

次の瞬間…いきなり皇太が天那の前に立ち叫んだ…

「テメェ等!こそこそしてんじゃねぇよ!」

「皇?」

林の中から現れた人間でも機械でもない生物…問答無用で攻撃してくる…

「キャー!」

「ちっ!」

皇太が龍翼を開き天那を抱え飛びあがる…直後敵はマシンガンで撃墜を試みる…しかし当たらずに空中戦闘用と見える戦闘員が追尾してくる…

「皇!飛んでる!」

「天那!目をつぶれ!それから早く腕にしがみつけ!」

「キャー!」

爪で切りおとし撃墜…皇太は数百メートル離れた公園に着地し天那に逃げるように言った…

「天那…俺が時間稼ぎをする…早く親父の所にいけ!」

「でも…皇が…皇が…」

「今は俺よりも一般人のお前を守ることが先だ…頼む!行ってくれ!」

やはりサイボーグ…追尾能力が高い…天那は上手く逃がした…ここからが正念場…しかもさらに数が増えている…

「夜井皇太…お前を生け捕りにして来いっつう命令だったが…ガキにしてはやるようだから少し痛めつけさせてもらうぜ!」

「…」

形勢は互角…皇太一人でなんとか時間稼ぎはできる…後は天那が総一郎を呼んできてくれれば…完璧なはず…しかし…

「皇!後ろ!」

「天那!なんで!」

敵は弱みを着け狙う…ミサイルランチャーが天那に向け射出された…皇太は迷わず飛び込む…それが敵の狙いだ…でも…天那を守れなければ…

「キャー!」

「くそっ!」

爆破まで5・4・3・2・1・…爆音が鳴り響き公園の地面ごと吹き飛ばした…普通の人間はこの時点でクロこげのはず…しかし遺伝子操作で体を高質化されている皇太は…

「熱く…ない…?」

「くっ…ハァ…ハァ…これぐらいで…」

「皇!」

龍翼で包みなんとか天那を守った皇太…しかし皇太はまだ遺伝子の覚醒が完全に始まっておらず生身の人間よりは強いがそれでも耐え切れるものではない…火傷や弾丸が激突した時にできた打撲や切り傷がひどく…もはや戦うことはできない…

「皇!皇!」

「天…那!早く…に…逃げ…ろ!」

サイボーグは再び攻撃を開始…皇太は最後の力を振り絞り天那を池の方向に投げ飛ばし攻撃を真っ向から受けた…意識はあるはずもない…

「ふん!他愛もない…こいつ本当にβランクを殺したのか?」

「兄貴!どっちでもいいじゃねぇか…俺たちはこいつの捕獲が任務だろ?」

「そうだな!行くぜ野郎ども!」

皇太は精神の浸食を止められなくなっていた…OGREが意識のない皇太の体を使い再び惨劇を引き起こした…

『皇太…君が僕を認めていないうちは僕も自由にやらせてもらうよ…』


「死ね…君たちにこの体を明け渡す気はない…僕はこの男を死なせるわけにはいかないからな…」

サイボーグの中で皇太の頭を握り運んで行くリーダー格の男の腕に見覚えのない腕がつかみかかった…

「おい!こいつ!」

「兄貴!そいつだ!そいつを放して!」

手を放し皇太の体が自由になった…しかし…相手をしているはずの皇太は今までと違う形態に変化し人間の形を模した龍が現れた…それはサイボーグなど簡単にひねりつぶしてしまえる力がありそれを実行した…天那が池から這い上がり見た惨劇…それは…

「皇?…皇なの?」


「君が天那ちゃん?早く助けないと後三十分後には死んじゃうよ…こいつ…こんな体でよく動いていたと思うよ…僕はOGRE…皇太にとりついた遺伝子の精神…説明はまたの機会に…早く…総一郎さんを…呼びに…いって…」

皇太とは違う声が皇太から聞こえる…そして天那は皇太のバイクに飛び乗り総一郎を呼びに家にむかった…皇太の怪我は普通の人間なら死んで当然の怪我だそれに怪我といえるレベルではない…大量出血…頸椎損傷…眼球破裂…科学薬品での火傷…内臓破裂…各所骨折…左腕の断絶など…生きている方が不思議だった…

「おじさま!死んじゃう…皇が…皇が!」

「天那ちゃん!落ち着いて!皇太はどこ?」

場所と大まかな怪我の内容を伝え総一郎とともに皇太の元に急いだ…その頃…

『皇太…君は…生きたいか?運命を曲げてみたいか?』

『あたりまえだ…俺は望んで死ぬほど馬鹿じゃねぇ…運命にでもなんにでも逆らってやろうじゃねぇか!』

『解った…お前は未熟すぎる…だがその希望には答えよう…お前は俺を認めて生きていけるか?それが大きな課題だ…お前が曲げる運命そのものだ…』

『俺は…お前がなんであろうと認めてやるよ…体を共有するんだ…お前が俺を認めてくれたなら俺も認めてやるよ!』

この時…天那と総一郎が到着し処置を始めた…処置は十分ほどで終了しその後到着したMINDSの面々が皇太を本部に搬送した…

「これで3時間は大丈夫だろう…しかし油断はできん…天那ちゃん今すぐに出発だ!急いで!」

「はい!」

皇太は緊急手術室に搬送され総一郎が手術を開始する…普通の人間と違うため普通の医師では手に負えないのだ…そこで総一郎が大きな賭けに出た…

「ナノマシンを使用しなくては…細胞が足りない…」

「しかし…局長!皇太さんは適応したコアがありません…」

「一か八かやるしかないんだ!」

「しかし…あれが拒否反応を起こせば今の皇太さんでは命が持たない!あなたは息子を殺す気ですか!」

「私とて…できればこんなことはしたくない…だが…1%でも生き残ってくれるなら…」

その時…皇太から違うこえがする…その声は皇太の覚悟を伝えて来た…

「早く…皇太を助けろ!こいつがいなければ…負の連鎖は途切れない…こいつは…僕とともに闘う覚悟を見せてくれた…早く!」

総一郎は迷わず皇太にナノマシンSを投入した…皇太が生き還ってくれることを願って…そして

「ここは…」

「皇!よかった…」

天那がベッドにより掛総一郎を呼びにった…皇太は天那が居なくなった時点で怪我と体の欠損部分の確認を始めた…かなりひどい…

「…人の体ではない…ナノマシン…俺に適合はなかったはず…」

「皇太…申し訳ない…」

「そう言うことか…ありがとう親父…」

負傷した程度の場所はOGREの細胞の活性能力を利用して完全に治った…しかし欠損部分はもはや治ることはない?

「皇太…お前はこれからどうするつもりだ?」

「親父…入団書をくれ…」

「お前…MINDSに入団するつもりか?…」

ナノマシン…それはいろいろな用途に使用する…皇太は体細胞と結合させ欠損した部分ですら再生させる…皇太のナノマシンは『S』と呼ばれるまだ実験段階のコアだ…なんとか皇太本体とOGREに結合した…しかし…OGREは国連の研究データにもないデータらしい…これから皇太はこのデータをさらに覆すことをするようだ…天那とともに… 

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