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バレンタイン

「ねえ飼い主、明日ってバレンタインなんだって。知ってる?」



「あー、今日って2月13日か。忘れてた」


 それにしても、椛の方からバレンタインの話を持ち出すなんて、驚いた。そういう行事みたいなのは興味無いかと思ったけど。


「でも、バレンタインに興味あったんだな。少し意外だよ」



「別に。興味はない。ただ知ってるか確認しただけ」



 なんだ、確認しただけか。え、なんで確認したんだろ。まあいいか。それにしても。


「バレンタイン。バレンタインか••••••」



「飼い主、どうしたの?」



「いや、なんでもないよ」


 チョコを作ってみるのもありか? でも俺、料理下手だし、チョコなんて作れないよな。市販のものでも喜んでくれるか。


「なあ椛、バレンタインチョコとか興味ある?」



「え!? チョコ••••••」



「ん?」



「いや、ないない。興味なんてないない」



 急に慌ててどうしたんだろ。やっぱり、バレンタインに興味でもあるのかな。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ビックリしてないなんて言ったけど、正直ある。少しだけ。飼い主にあげてもいいのかな。なんて少し思う。

 飼い主もなにか考えてたみたいだし、もしかしたら飼い主もチョコを? 


「飼い主、スマホ貸して」



「え、良いけど、なにするの」



「教えない。いいから貸して」



「? まあいいか。はい」



 スッ



「ありがと」


 これで、手作りチョコの作り方を調べて。



 ポチポチ



 あ、あった。

 難しいのと材料がかかるものは作れないけど、溶かして型に流し込んで固めるタイプなら出来そう。そこに色々と手を加えて好きな形に。これにしよう。



「飼い主、スマホ返す」



「え、もういいの?」



「うん、もうメモはし。いやなんでもない。いいから返す」


 危ない、メモをしたって言いかけた。ほとんど言っちゃったけど。飼い主が知ったら間違いなく何をメモしたのか聞いてくるはず。



「そ、そう? 用事終わったならいいんだけど」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 さて、椛にあげるチョコを考えるか。

 市販の板チョコも良いが、チョコのケーキ。いや、そもそもミルクチョコじゃなくてビターの方が好み?

 本人に聞くのが1番良いけど、聞いたらバレンタインチョコってバレるし。それはそれで恥ずかしいな。


「お! いいこと思いついた」



「いいこと? 飼い主、いいことって何?」



「いや、なんでもないよ。こっちの話」



「そう?」



 ここは思い切って、チョコケーキとかガトーショコラ? チョコは種類が多くて悩むな。

 いや、思い切って聞いてみよう。うんそれがいい、何を恥ずかしがってるんだ俺。家族にチョコをあげるのは、何もおかしい事じゃない! そうだよな。


「椛、ちょっといい?」



「どうしたの?」



「チョコって、何食べたい? ほら、どんなチョコが良いとか」



「え!!??」



 急に大きた声を出して、俺までビックリした。そんなに驚かなくてもいいだろ。


「それで、どんなチョコがいい?」



「飼い主、それって、もしかして」



「うん、もしかしなくてもバレンタインチョコ」


 なんだ、意外と察しがいいんだな。

 いや、さっきまでバレンタインの話をしてたのにこんな話したら、そりゃ気づくか。むしろ気づかなかったら、少し引くよ俺。



「なんで私に聞くの。本当バカ」



「いや、だって。椛の好みのチョコ考えてもわかんなかったし」



「うるさい、知らない。バカ」



 そこまで言わなくてもいいじゃん。

 てか教えてくれないんだけど、どうすればいいのこれ。


「そ、れ、で! どんなのがいいの」



「••••••チーズ」



「あー、チーズ。え、チーズ? それは、チーズ食いたいって事? それとも、チーズ型のチョコ? なんだチーズ型のチョコって」



「両方」



「んー、分かった。両方用意しよう」


 バレンタインにチョコとチーズを渡す人間とか、絶対人類初だろ。少し誇らしい。



「少しだけ、期待しとく」



「え? あ、うん! 期待しててくれ」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 飼い主もチョコあげる気だったんだ。びっくりしたけど嬉しい。私も満足して貰えるチョコ作らないと。


「飼い主、期待してて」



「お、おう。分かった。期待しとく」



 飼い主、なんの事かわかってないような顔。話の流れ的に察して欲しい。本当に飼い主は。



「飼い主、明日買い物行くよ。朝から」



「え! 朝から!? そんなに早起きできるかな」



「ほら、早起きするために今日はもう寝て」



「まだ21時半だよ。もう寝るの?」



「5時には起きてね」


 早起きして買い物して、早く作りたい。私もそろそろ寝よ。



「まあ、そこまで言うなら」



「じゃあ、おやすみ。明日楽しみだね」



「そうだね。おやすみ」

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